子どもの算数力の育て方――算数の偏差値アップで生涯賃金もアップ

算数を「苦手」から「好き」に変え、算数の力を伸ばすことで、子どもの可能性は大きく広がります。 未来を切り拓く算数力を養う、新しい時代に必携の一冊です。

教育

スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長/哲学博士/EdTechコンサルタント
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算数ができないのは才能のせいではない

1つ目の基本ポイントは、算数嫌いのサクラのストーリーに関係しています。

基本ポイント

算数の力は誰でも身につけることができる

算数の才能がある人と、そうでない人がいて、そうでない人たちは算数が苦手になってしまう。

そうした考えは間違いです。

算数が苦手であったり、嫌いな子どもたちも、適切にサポートすることで、しっかり算数の力を身につけることができます。

これは、数多くの研究で明らかにされてきました。

そのため、子どもの算数の成績がよくなかったり、算数が嫌いだったりしても、「算数に向いていない」「才能がない」とあきらめてはいけません。

たとえば、サクラのストーリーでは、家系的に理系の才能がないからサクラは算数に向いていないと決めつけてしまっています。

「子どものせいではない」と慰めたい気持ちはわかりますが、親があきらめてしまうと、本来身につけることのできる算数の力を伸ばす機会を止めてしまうことになります。

「算数の才能がないから苦手のまま」と決めつけてはいけません。

その子に合ったサポートがこれまでされていなかっただけで、しっかりしたサポートをすれば算数ができるようになると、考え方を転換する必要があります。

そもそも、ほんのちょっとしたきっかけで、算数に遅れがでてしまったり、算数嫌いになってしまっているだけ、そんなことはしばしば起こるのです。

私たちの脳は、学習するごとに常に変化していきます。学習の積み重ねは驚くほどの変化を脳に引き起こします。

たとえば、ロンドンのタクシー運転手の例は大変有名です。

彼らは、資格取得までに、数年かけて複雑な道路網と数多くの目的地を学んでいきます。

そうすることで、脳がどんどん変化して、実際に、空間情報の処理を担う海馬が大きくなることがわかっています。

しかも、引退すると海馬が元のサイズに戻る。

つまり、学習が脳の構造そのものを大きくして、学習をやめれば縮む。

脳は使い方次第で柔軟に変化するのです。

さらに度肝を抜かれる例もあります。2007年に脳の半球切除術を受けたキャメロンという少女。

切除した側にしかない脳の機能を失ってしまうため、長期の麻痺が予想されていました。

しかし、数カ月でキャメロンの認知機能は完全に回復したのでした。

つまり、彼女の残された半分の脳は、切除された側の脳のもっていた機能を、短期の間に、新しい神経結合によって再び育て直したのです。

脳はしっかりトレーニングすれば、あっという間に、目的とするスキルを習得することができる。

算数の成績が悪くても、適切なサポートをすることで、子どもの算数の成績を劇的に改善することは可能です。

実際に、わずか3週間の算数トレーニングでも参加者の脳に大きな変化が確認されたという報告もあります。

そんな短期間でさえ脳の構造が変わるなら、1年間の算数学習がもたらす成長はどれほど大きいことでしょう。

この本では、どのようなサポートをすれば子どもの算数の力が開花していくかを詳しく解説していきます。

そうしたサポートの第一歩は、子どもへの算数の「才能がない」とか「向いていない」という意識を大人側が捨てることなのです。

PROFILE

スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長/哲学博士/EdTechコンサルタント

星 友啓

1977年東京生まれ。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。 TexasA&M大学哲学修士、スタンフォード大学哲学博士課程修了。同大学哲学部講師として論理学で教鞭をとりながら、スタンフォード・オンラインハイスクールスタートアッププロジェクトに参加。2016年より校長に就任。現職の傍ら、哲学、論理学、リーダーシップの講義活動や、米国、アジアにむけて教育及び教育関連テクノロジー(EdTech)のコンサルティングにも取り組む。 著書に『スタンフォード式生き抜く力』(ダイヤモンド社)、『スタンフォード・オンラインハイスクール校長が教える子どもの「考える力を伸ばす」教科書』(大和書房)、『スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長が教える脳が一生忘れないインプット術』(あさ出版)など。
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