アニミズムを応用して遊び感覚で行動を促す「子育ての心理テクニック#01」
テクニックを知るだけで、子育てはもっとうまくいく!感情×イメージを刺激する科学的に正しい子育て法
しつけ/育児
アニミズムを応用して遊び感覚で行動を促す!#01
物やおもちゃにしゃべらせよう
子どもは、おもちゃで遊ぶとき、まるでおもちゃが生きているかのように扱います。
たとえば人形遊びをするとき、子どもは人形が実際に生きているかのように扱い、ミニカーで遊ぶときはミニカーが意志をもっているように動かします。
子どもがお絵かきをして遊ぶときには、キャラクターたちが二次元の世界から子どもにむかって語りかけます。
子育てにおいても、この子ども独特の世界観を利用しない手はありません。
無生物が生きているようにふるまって見える世界を「アニミズム」と言いますが、この「アニミズム」を応用して子どもに話しかけたり、行動を促すと、子どもはびっくりするくらいその気になることがあるのです。
やり方は簡単です。
・ 人形劇や腹話術のようにして、物たちに語らせる
・ 声に感情を乗せて、物たちがしゃべっているようにして、子どもに話しかける
たとえば、ご飯をなかなか食べない子の場合、大人がスプーンを手にして、あたかもスプーンがしゃべっているかのように動かしながら、「○○クンにご飯を食べて欲しいなぁ」などと言って子どもの口にご飯を運びます。
あるいは、パンを指さし、「あ、パンくんがなにか言いたそう。なになに?」とパンに耳を近づけ、「え?ボクがおいしいってこと、○○クンは知らないのかなぁ?○○くんに教えてあげたいなぁ、だって!」などと言って、パンがしゃべりながら自分から子どもの口に入りたがっているように演出するのです。
遊びに夢中になって、お尻をもぞもぞし始めてもなかなかトイレに行こうとしない子には、こんなふうに声をかけます。
「あれあれ?パンツくんの声が聞こえるよ。トイレに一緒に行こうよだって!」
あるいは、その子が遊んでいるブロックの一片を手にして、
「さぁ、ボクと一緒にトイレだ!行こう!」
などと声をかけます。
こうすればかなり高い確率で子どもはその気になるはずです。
出しっぱなしにされたクレヨンには、「さみしいよー。ひとりぼっちになっちゃったよー。ボクを友だちのところへ連れてってよー」などとしゃべってもらいましょう。
ポケットに指人形を忍ばせておくのもおすすめです。
ときおり指人形を登場させ、子どもにするべきことを促すときに指人形で語りかければ、子どもは目を輝かせてその気になるでしょう。
こんなふうに、大人が子どもにするべきことを促すとき、物が生きているように扱っていると、子どもは大人が遊んでくれているような感覚になります。
ですから、大人は、日々の生活のなかで、子どもと遊ぶ時間がないと言って嘆く必要はないのです。
なぜなら、子どもは、しなければならないことを促されているときでも、大人と遊んでいるような感覚になることができるのですから。
ことさら、「子どもと遊ぶ時間をつくらなきゃ」などと思わなくてもいいのです。
子どもは、遊び感覚で身のまわりのことをこなします。
しなければならないことをしているときも、大人が思うほどまじめな気持ちでとり組んでいるわけではないのです。
遊び感覚でしていたら、いつの間にかするべきことをしていた、というくらいでいいわけです。
ところで、このようなアニミズムを利用した促し方は、いつごろまで通用するのでしょうか。
これには個人差がありますが、小学4年生くらいになっても、思いのほか子どもは喜んでその気になるものです。
ただし、家の外では恥ずかしがって嫌がることもあったり、父親がいるときは恥ずかしがることもあります。
そのあたりは配慮してあげるとよいでしょう。
千葉県浦安市教育委員会 主任心理相談員 公認心理師(国家資格) 臨床心理士(協会認定資格)
日本大学大学院文学研究科心理学専攻博士前期課程において、目の動き(という「行動」)を調べることで、いかに「イメージ」が行動のプランとして機能しているのかを研究。
その後、子どもの発達に関する相談機関(児童相談所・教育研究センター・保健所など)で勤務し、いかに「感情」が人の発達を導き、社会的な行動を豊かなものにするのかということに関心が向かい、浦安市こども発達センターにて発達に偏りのある子どもの情緒の発達を中心とした心理的サポートに従事するようになる。
現在は、千葉県浦安市教育委員会の主任心理相談員として、発達に偏りのある子のいるクラスの担任に助言をしたり、不登校の子どもや保護者のカウンセリングを行ったりしている
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