言葉でやる気にならない!?行動で示しその気にさせてしまおう!「子育ての心理テクニック#03」
テクニックを知るだけで、子育てはもっとうまくいく! 感情×イメージを刺激する科学的に正しい子育て法#03
しつけ/育児
言葉でやる気にならない!?行動で示しその気にさせてしまおう!#03
やってみせれば子どもは誘導できる
子どもに、「わかったよ。じゃあ、そろそろ、やろうかな」と思わせるのは、意外と簡単です。
ポイントは、言葉でやる気にさせるのではなく、行動で示し、その気にさせてしまうことです。
具体的には、まず「××をしますよ」とひと声かけたあと、子どもよりも先に親がやり始めること。ただし、親がしてみせるのは、最初のところだけにするということです。
「これは○○(子どもの名前)がします、ハイ!」
と言って、あとは子どもにさせるわけです。
たとえば片づけを促す場合には、こんな感じになります。
まず、遊んでいる子どもにむかい、サラッと「片づけるよー!」と言って、親が片づけを始めます。
そして、「コレとコレは、○○(子どもの名前)のぶんだからね。ママはもう片づけ終わっちゃうよ!!」などと言って、子どもの分を示しながら促します。
子どもが誘いにのって片づけることができたら、「ハイ、オッケー!」と言って、認めてあげることができます。
このやり方で効果が期待できる理由は、3つあります。
ひとつめは、母親のつくりだす雰囲気が、子どもに対して強い影響力をもっているからです。
母親がなにかを始めると、その場の雰囲気が変化します。
その雰囲気は、子どもにとって、言葉で促されるよりも強力なメッセージになります。
ふたつめが、やって見せることで、行動のイメージが明確になり、動きやすくなるからです。
3つめの理由は、母親が子どもを認めてあげやすくなるからです。
そもそも、何度も「○○しなさい」と声をかけてようやくとりかかったことに対して、「よくできたね」と認めてあげるのは難しいもの。
きっと「何度も同じこと言わせないでよね!」と言いたくなってしまうでしょう。
一方、親の動きをマネするように行動すれば、母親の心理としてイヤな気はしないものです。
「ハイ、よくできたね!」などと言って認めてあげやすくなるのです。
「でも、そこまでしたら、甘やかし過ぎなのでは?」と思う方もいるでしょう。
でも、けっしてそんなことはありません。
このやり方は、親がイライラしながら何度も促してやっと行動をきりかえるのとはちがい、親のイライラと行動のきりかえとを結びつけずにすみます。
それよりも、子どもの記憶に残るのは「自分ですることができた」という感覚です。
だから「自分でできるんだ」という自己イメージがどんどんつくられるのです。
たとえば着替えを促すときは、最初、子どもが服を脱ぐところを手伝ってあげます。
服を少し脱がせ、続きを自分でさせるのです。
着させるときには、片方の袖を通したり、片方の脚を入れておき、続きを自分でやらせるようにします。
ポイントは、「最後は自分でできた」という感覚を抱かせること。
そして片づけをし終わったときと同じように、「ハイ、オッケー!」と言って、区切りをつけてあげましょう。
考えてみれば、着替えをする朝や夜はグズグズ言いたくなる時間帯です。
ですから 親からの声かけひとつでパッと行動に移せる子はそう多くはいないでしょう。
親がしてみせて、雰囲気をつくり、子どもがしたことを認めてあげれば、子どもは動くようになるものです。
千葉県浦安市教育委員会 主任心理相談員 公認心理師(国家資格) 臨床心理士(協会認定資格)
日本大学大学院文学研究科心理学専攻博士前期課程において、目の動き(という「行動」)を調べることで、いかに「イメージ」が行動のプランとして機能しているのかを研究。
その後、子どもの発達に関する相談機関(児童相談所・教育研究センター・保健所など)で勤務し、いかに「感情」が人の発達を導き、社会的な行動を豊かなものにするのかということに関心が向かい、浦安市こども発達センターにて発達に偏りのある子どもの情緒の発達を中心とした心理的サポートに従事するようになる。
現在は、千葉県浦安市教育委員会の主任心理相談員として、発達に偏りのある子のいるクラスの担任に助言をしたり、不登校の子どもや保護者のカウンセリングを行ったりしている
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