子どもに良かれと思ってやったのに・・・親心の陰に潜む教育虐待とは?
子どものためにやっているのに・・・行き過ぎるととても危険な状態になります。
教育
子どもに良かれと思ってやったのに・・・親心の陰に潜む教育虐待とは?
コラムの更新頻度が遅くて上司に叱咤激励されました、てつなぎ編集部の”はるたさくらこ”です。これからがんばってコラムを書いていきたいと思いますのでみなさんよろしくお願いします。
今回は「教育」について取り上げさせてもらいました。
突然ですが、お子様の中学受験は考えていらっしゃいますか?
「てつなぎ掲示板」でも中学受験関連の投稿が頻繁にされています。「子どものやる気が感じられない」「塾や家庭教師にお金をかけているのに成績が上がらない」「勉強をしない子どもに大声をあげてしまった」など投稿の多くは子どもに対する葛藤です。悩みや不安、イラつき、モヤモヤを多くの親御さんが吐き出しています。
その気持ち、何となく分かるような気がしませんか?子どものことを考えているから、子どもと真剣に向き合っているからこそ生まれる感情なのかなと思います。私も投稿者の方々と同じく葛藤の連続です。その度に「子育てって難しいなぁ」と思います。
ここで本題に入ります。今回のテーマは「教育虐待」についてです。 みなさんは「教育虐待」という言葉を耳にしたことはありますか?
この「教育虐待」という言葉ですが、2010年代以降に広く使われるようになりました。私の小学校、中学校時代にはもちろん耳にすることすらありませんでした(私の年齢は想像にお任せします)。
本コラムでは「教育虐待」に関する3つのトピックを取り上げています。1つ目は「教育虐待とは?」 2つ目は「教育虐待の具体的なケース」 そして3つ目は「教育虐待を防ぐためのチェックポイント」 です。
子どもの将来を強く考える親御さんであればあるほど、知らず知らずのうちにこの「教育虐待」なるものをやってしまう傾向があるかもしれません。子どもたちのことを大切に思っているからこそ教育虐待が子どもたちに与える影響、教育虐待をしないためのポイントを押さえる必要があるかもしれません。
教育虐待とは?
そもそも「教育虐待」とは何でしょうか?
教育虐待とは教育という名のもとに、子どもに過度なプレッシャーを与えてしまい、子どもの心身にも悪影響を及ぼすことです。
まだまだ学歴社会の傾向が強い日本では子どもの最終学歴や成績を重視する風潮があります。この風潮を意識するあまりに子どもの意思や気持ちを無視して、過度な期待を押し付けてしまいがちになり、心身ともに深刻な影響を及ぼしてしまうことがあります。
親の「良かれと思って」やったこと により子どもが強いストレスを抱えたまま成長し、自己否定感が強まり、人間関係もうまく築くことができない、健康や社会適応にも悪影響が及ぶことが懸念されています。実際に各地で多くの事例が報告されています。
また、親や学校、学習塾など教育に関わる大人たちがプレッシャーを与えすぎると、子どもの自由に学ぶ機会を失ってしまい、学習そのものが苦痛になり、学習意欲が損なわれる結果につながることも少なくありません。
特に近年はインターネットを通じて成功体験や学習法を簡単に知ることができます。本当に便利な世の中になったと実感しています。その一方で、周囲の子どもたちとの競争に巻き込まれやすくなりました。自分の子どもが競争に負けるのは嫌だと親が思うのは当然のことだと思います。その熱が高まりすぎると「やる気が足りない」「もっと努力できる」「あなたのためにやっている」「将来後悔させたくない」と厳しい教育や指導を強いるケースが増えていきます。それは知らず知らずのうちに子どもを追い込んでいくことにもなります。
私の周りにも「あなたの将来のために」と小学校から塾や家庭教師と猛勉強をしている友達がいました。晴れて第一志望の中学に合格しましたが、家から遠いということもあり寮生活を送ることになりました。親元を離れた途端に水を得た魚のごとくたくさんの遊び友達を作り、全く勉強もせず、最終学歴は親が全く望んでいない大学へ進学しました。
教育虐待の具体的なケース
もちろん教育虐待に反発する子どももいます。 ここまで読んで頂いた方であれば子どもが反発してきたときは、子どもの思っていることをまずは聞いてみる、そして子どもと真剣に話し合い今後のことを決めるといったことをやるのではないでしょうか?中には頭ごなしに子どもの意見を詰む親御さんもいるかもしれませんが・・・。
何はともあれ、子どもにとって「一番良い影響を与えるにはどうしたらいいだろう」と子どもと一緒に真剣に考えると思います。子どもたちは自分の思っていることを吐き出すことができ、さらには親が親身に聞いてくれたことによって学習意欲や自己肯定感が急激に高まるかもしれません。そうなれば結果オーライです。
ただ、中には教育虐待への「抵抗の声」を上げることができない子どもも多くいます。 親の期待に子どもが応えようとしてくれている、子どもがやる気になってがんばっていると勘違いしてしまい知らず知らずのうちに過度な教育虐待につながるケースも少なくありません。
そもそも、周囲の大人が「勉強を頑張ることがすべて」という価値観を押し付ける状況では、子どももそれが当たり前だと思い込んでしまうケースがあります。その結果、自由に遊ぶ時間やリラックスできる環境を確保できず、慢性的なストレス状態に陥るリスクが高まり、心身ともに不健康になっていきます。次に教育虐待の主なケースの説明をします。
学業成績第一主義による親の過剰な介入
学業成績第一主義とは「成績が全て」「有名大学に入れば幸せになる」といった価値観のこと です。私の中学、高校時代にも「医者にならなければ幸せになれない」と親に言われ続けていた友達がいました。模試の結果が悪ければ叱責される毎日。親の思いに応えたい、親を失望させたくないと血のにじむような努力をしたにも関わらず結果は3年連続の不合格。最終的に「親のために勉強するのは疲れた」と家に引きこもるようになりました。
その後の彼女の人生は分かりません。親としては有名大学に入ると子どもの可能性が広がるという期待がもちろんあったと思います。親だから子どもに希望を持つのは当然です。
ただ、その前に子どもの個性や努力をまずは認めてあげることが大切ではないでしょうか?
子どもの立場になって考えたとき成績だけで評価されるのってちょっとイヤじゃないですか?
「この子のことを思って・・・」という気持ちが強くなったときは一度深呼吸でもして、落ち着いてみてください。
子どもの意思を無視した習い事や塾の強制
良かれと思ってやったこと・・・と言えば確かにそうかもしれませんが、子どものことを思うあまりに子どもの心身が耐えられる限界を超えて、塾、スポーツに音楽と習い事を強制する 親御さんもいます。
私の周りにも「子どもがやりたいと言うから、全力でサポートしているんです」という親御さんは多くいます。子どものやる気をサポートすることは親心であるとも思います。ただ、子どもにとってはこの親心が負担になるケースもあります。ストレスや不安から心身に影響が出たり、親への恐怖心を抱く結果になる可能性もあります。
ちょっと習い事を詰め込みすぎかもしれないと思ったときは、習い事のスケジュールを子どもに決めてもらったり、習い事と勉強の間には積極的に休憩時間や遊びの時間を持ってみてください。 何でも「ほどほどに」の精神が大切かもしれませんね。子どもが最高のパフォーマンスを発揮するための環境作りも親の大切な役割の一つです。
暴言や暴力による支配
成績や習い事の成果が自分の思い描いていたものと違ったときに「何でこんな結果なの?」「どうしてこんな簡単な問題も解けないの?」「努力が足りない」など暴言を吐く、暴力を振るう親がいることも報告されています。 子どもに期待しているからこそ、このようなことが起きるかもしれませんが、これらは返って子どもの自尊心を傷つけて心に深い傷を残すことになります。子どもだって子どもなりに頑張っているんです。自己肯定感は下がり続け、不登校やウツ状態になるケースもあります。
暴言を防ぐためには親自身の感情のコントロールや切替がとても大切になります。 子どもの良い所を探して、声に出して褒めてみたり、子どものできているところに目を向けたりするだけでも全く違う結果になると思います。
子どもと他者を比較する
子どもを兄弟や同級生といった他者とついつい比較する親御さんもいらっしゃると思いますが、これも教育虐待になりうる可能性があります。子育てをしていると「他の子どもはできているのに何でうちの子はできないの?」と思うときもきっとあると思います。 私もこれまで数えきれないくらい思ったことがあります(今でも思うときがあります)。ただ、これを言葉にして子どもに何度も何度も浴びせるように言い続けると子どもの自己肯定感はダダ下がりになります。「どうせ自分はダメな人間だ」「自分なんて生まれてこなければ良かったんだ」と。子育てをしていて子どもがそのように思うことほどつらいことはありません(少なくともこのコラムをここまで読んでいただいている方には)。
日常的に子どものできること、得意なこと、苦手なことを観察して個性を伸ばす意識を持つだけでも気持ちが変わると思います。自分の子どもは子ども、他者とは違う。 子どもの個性を尊重しましょう。
ここまで教育虐待になりうる4つのケースの説明をしました。
子どもと一生懸命に向き合っている、子どもの将来を強く思うが故に発生しするものもあると思います。そんなときは、一度子どもの立場に立ってみてください。「言われてどう思うか?」「やられてみてどう思うか?」 と客観的に考えることも大切だと思います。さらには自分自身が第三者から言われてどのように思うのか?を考えてみてください。
教育虐待を防ぐためのチェックポイントと支援制度
過度な教育が虐待へと発展する前に、防ぐための早期発見や制度・専門家による支援体制を知っておきましょう。
教育虐待を防ぐ第一歩は、親や教育者が子どもの状況を客観的に見つめ直すこと です。勉強時間の長さや成績だけでなく、子どもの表情や普段の言動からストレスを察知するきっかけを作るように心がけることが大切です。
また、問題を感じた際には一人で抱え込まず、行政や学校のカウンセラーに相談するなど、外部のサポートを活用すること も重要となります。こうした支援窓口や相談先を理解しているかどうかで、子どもを救える可能性が大きく変わってきます。
さらに、法律や制度の活用も視野に入れることが求められます。教育虐待は、周囲が早期に気づき・通報・連携を行うことで重症化が防ぎやすくなります。社会全体での理解と協力が不可欠になります。
児童虐待防止法や関連法律から見る対応策
教育虐待は児童虐待防止法の対象となる場合があり、特に精神的虐待として認定される可能性があります。これは過度な言葉の暴力や強制的な勉強による心身の負担が、子どもの健康な成長を妨げる からです。
法律上、教育虐待の疑いがある場合には児童相談所や警察などの公的機関との連携が想定されています。親が虐待を続けることで深刻な事態に陥る前に、早期に外部から適切な介入を行うことが重要となるのです。
ただし、法律に頼るだけでは解決しない部分もあり、周囲の大人たちが子どものSOSに気づくためのアンテナを張っておく必要があります。ヘルプを求める子どもの声を見逃さず、自発的に話を聞き、サポート体制を整えることが大切です。
スクールカウンセラー・専門機関の活用法
学校にはスクールカウンセラーが配置されている場合が多く、子ども自身が相談しやすい窓口となり得ます。親も子どもの様子が気になる時には、積極的にカウンセラーへ連絡を取り、第三者の視点を交えたアドバイスを受けること ができます。
さらに、地域の児童相談所や家庭児童相談室なども、教育虐待に関する相談を受け付けていることがあります。行政のサポートを受けることで、問題が大きくなる前に解決策を見つけるきっかけを得られるでしょう。
一方、教育虐待が表面化しづらいケースも多いため、学校や地域全体での見守り体制が求められています。特に教員や近隣住民が子どもの異変にいち早く気づき、周囲と連携してサポートにつなげることが、被害の拡大を防ぐ重要な手段となります。
まとめ
ここまで教育虐待について書いてきました。親が子どもに厳しく教育方針を押し付けてしまう原因は今の日本の「社会構造」や「心理面」も大きく関係していると私は思います。
学歴社会のプレッシャーや就職市場の厳しさの影響もあるかもしれません。「自分の子どもに挫折を味わせたくない」「より良い将来を手にいれてもらいたい」という思いを持つのは当然のことです。ただ、その思いが行き過ぎると過度な勉強漬けの毎日、つい子どもに暴力的な発言をしてしまう、他者と子どもを比べてしまうといった日常を生み出すきっかけにもなります。
中には自分の子ども時代と比べて苦しくなる親御さんもいるかもしれません。
心理的に子ども時代の自分と比べてしまう親御さんもいます。 「自分の子どもの頃はもっとがんばっていた」「自分がもっとがんばれたんだからこの子ももっとがんばれる」「自分はもっと成績が良かったのに何でこの子はこんな問題する解けないの」もどかしてくしょうがないその気持ちもわかります。自分にできたことは子どもにもできると思っているから。
ただ、それが行き過ぎると親自身の価値観や理想像をおしつけてしまう結果になり、子どもの個性を伸ばす機会を奪っている可能性もあります。
最後になりますが、子どもの未来を守るためには、大人が教育への向き合い方を見直し、自分自身の価値観や社会のプレッシャーを再確認することが必要です。
子どもにとって一番大切なことは何か?それが成績や目に見える成果なのでしょうか?それらももちろん大切だと思いますがそれ以上に子どもの自主性や多様な趣味や関心への尊重が健全な成長に不可欠であると私は思います。
長くなりましたがここまで読んでいただきありがとうございます!
もし共感できるような内容でしたら「❤」ボタンを押してください。コメントもお待ちしています!
※当サイトはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を掲載しています。
記事の内容がよかったら「イイね!」ボタンを押してね