【掲示板の声×公認心理師】子どもに「死にたい」と言われたらー親ができる寄り添い方と“心のSOS”の受け止め方(第1回)

子どもの“死にたい”という言葉の背景 と親ができる寄り添い方とは?

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【掲示板の声×公認心理師】子どもに「死にたい」と言われたらー親ができる寄り添い方と“心のSOS”の受け止め方(第1回)

子どもから突然、「死にたい」と言われたらー。その言葉に、私たち親はどう向き合えばいいのでしょうか。

SNSには、知らない子どもたちの苦しい言葉が流れ、ニュースでは若い世代の自殺が繰り返し報じられています。「もし自分の子だったら…」と、そんな不安を抱える親御さんも、少なくありません。

てつなぎ掲示板にも、「どう受け止めればいいかわからない」 「追い詰められていないか心配」といった声が多く寄せられています。

厚生労働省が2026年1月29日に発表した統計【※1】によると、2025年度の小中高校生の自殺者数は532人と過去最多となりました(内訳:小学生10人、中学生170人、高校生352人)。10代の死因の第1位は依然として自殺であり、「子どもの命をどう守るか」は社会全体の大きな課題です。

学校、家庭、そしてSNS。子どもたちの周りの環境が複雑化するなかで、“心のSOS”が見えにくくなっている今、私たち大人はどのように寄り添い、守っていけばよいのでしょうか。

てつなぎでは、こうした声に寄り添うため、教育・福祉・メンタルヘルスの現場で約20年近く支援を続ける公認心理師・田村俊作先生にお話を伺う連載企画「掲示板の声×公認心理師インタビュー」展開しています。

今回は、てつなぎに寄せられたリアルな声をもとに、「子どもの“死にたい”という言葉の背景」「親ができる寄り添い方」 を、田村先生と一緒に深めていきます。

SNS時代に「死にたい」という言葉が生まれる背景

てつなぎ編集部
先日、てつなぎ掲示板に「子どもの自殺が増えてることについて」(2025.10.25投稿)という小6の娘さんをもつ保護者の投稿がありました。娘さんの友達グループの中で「死にたい」と深刻な悩みを抱える子がいると知り、戸惑いや不安に揺れた親御さんの気持ちが綴られていました。

最近、子ども同士のやり取りの中で「死にたい」という言葉を耳にする場面が増えているように感じます。特にSNSでは、そのひと言が一気に広がってしまうこともあって、親としては見ていて不安になることもありますよね。

こうした変化について、田村先生の現場ではどのように感じていらっしゃいますか?

子どもたちの「死ぬ」という言葉に起きている変化

田村先生
そうですね。今の若い子たちは、何かつらいことがあると、「死ぬ」っていう言葉を気軽に使う傾向があると思います。あと、昔みたいに、悪口みたいな感じで「死ね」とか「殺せ」みたいに“相手に対して”使うのではなく、“自分に対して”「死ぬ」って言うことのほうが多くなった...っていうのを、すごく感じてるところですね。
てつなぎ編集部
たしかに、SNSや子どもたちの会話でも「死ぬ」が軽く使われている印象がありますよね。昔と比べると、その言葉が“相手に向けられるもの”というよりも、“自分の内側に向かって発せられるもの”になってきている。その点は、大きな変化のように感じます。

SNSの「死にたい」に隠れている本当の気持ち

てつなぎ編集部
その背景には、いまの子どもたちが抱えている“しんどさ”が深くなっていることとも関係しているように感じます。 SNSでも、「死にたい」と書き込む子も多いですよね。こうした“SNSに書かれる死にたい”には、どんな気持ちが隠れているのでしょうか?
田村先生
「知ってほしい」とか「気づいてほしい」っていうのはありますよね。実際、SNSで“死にたい”と発信するようなケースでは、“遺書”ってあんまり残ってないんですよね。
本気で命を絶とうとしているというよりも、“誰かに止めてほしい”“苦しい気持ちに気づいてほしい”という思いが根っこにある。

ただ、自分の思いを“遺書のように”訴えて、そのまま気持ちが一気に“極端な選択”へ傾いてしまう子も一定数いるかなと思います。実際に、SNSで配信した勢いのまま行動にうつしてしまった...っていうケースもけっこうありますもんね...。

「死ぬ」っていう部分への“敷居の低さ”というか、「死にたい」っていう気持ちへの“アクセスのしやすさ”だったりが、今の子どもたちにも大きく影響しているのかなと思います。

身近な“死”が子どもに与える影響(後追い・共鳴)

田村先生
それに、同年代の若い子が亡くなると「自分も死ねるんじゃないか」って身近に感じる子もいる。昔、X JAPANのhideさんが亡くなったあと、“後追い自殺”する人が多かったように...。

最近は、メディアも自殺報道のガイドラインに沿って“詳細を伝えすぎない”など規制が進んできていますが、やっぱりそうした“共鳴”“後追い”のような現象が、いまSNSの中でも起きている気がします。
てつなぎ編集部
そうですよね…。「死ぬ」という言葉が、子どもたちにとってすごく“現実に近いもの”として流れてしまっているというか...。SNSの中では、つらい気持ちや極端な表現がそのまま共有される場面も多いので、子どもたちへの影響はやっぱり大きいなと感じますよね。

子どもが「死にたい」と言うとき、心の中で起きていること

てつなぎ編集部
もし、自分の子どもが「死にたい」と言ってきた時、親としてはすごく動揺してしまいそうです。 子どもが「死にたい」と口にするとき、その背景にはどんな気持ちや状況が隠れているのでしょうか?

自己肯定感の低下と「1つの失敗=全部ダメ」と感じてしまう心

田村先生
いろいろあるかなとは思いますけど、「自己肯定感が低い」っていうのは背景のひとつにあるのかなと。 “他の人と比べてうまくいかない”“期待に応えられない”みたいな感覚が続くと、どうしても“自己肯定感”が高まらなくて、結果「もうダメだ」「死にたい」っていう極端な気持ちにつながってしまうこともあります。

若い子にありがちなのが、1つの出来事をすごく大きく捉えちゃう傾向っていうのはあって。 「自分には他にこれがある」っていうような別の自信がなかなか見出せずにいると、“1つの失敗=自分の全部がダメ”というふうに感じやすく、自己肯定感がさらに下がってしまう傾向があるのかなと思いますね。
てつなぎ編集部
たしかに、子どもたちって“今目の前で起きていること” をすごく強く受け止めやすいですよね。大人から見れば「小さなつまずき」に思えることでも、子どもにとっては“自分の全部が否定”されたように感じてしまう、みたいな感覚は、お話を聞いていてとてもよくわかる気がします。
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孤独感・期待・比較がもたらす心理的負荷

てつなぎ編集部
自己肯定感の話ともつながりますが、子どもたちは日常の中で、周りと比べたり、期待に応えようとしたりして、“見えないプレッシャーも抱えやすいんじゃないかと感じます。
田村先生
そうですね。「この苦しさを理解してくれないんじゃないか」っていうような“孤立感”だったり“孤独感”。そういうのも、多分どこかにあったりするのかなと思います。 “親からの過度な期待”だったりとか、“やらなくちゃいけない”っていうところの負担感も大きいのかな。
てつなぎ編集部
そうですよね。大人が思っている以上に、子どもにとっては重たく感じられているのかもしれませんね。

子どもを取り巻くSNS環境と、親ができる関わり方

てつなぎ編集部
しかも今は、学校だけじゃなくて SNSでも他人の生活や成果が常に目に入ってくる時代ですから、その影響はさらに大きくなりますよね。

「みんなできているのに、自分は…」「自分だけ遅れている気がする」そんなふうに、比較のプレッシャーがSNSによってさらに強くなってしまう子も多いのかなと思います。

SNSいじめ・比較のストレスと、世界的な危機感

てつなぎ編集部
てつなぎ掲示板にも、こんな投稿が寄せられていました。

「SNSいじめが原因で子どもが自殺する事件が多く、海外では16歳未満の利用禁止が始まったと聞いた」(SNSの制限/ちさぽん☺︎/40代

2025年12月には、オーストラリアで16歳未満のSNS利用を禁止する法律が施行されました【※2】。いじめや有害投稿から子どもを守るための国内初の大規模規制で、世界的にも「子どもとSNS」の距離を見直す動きが広がっています。

SNSは、子どもたちにとって“つながり”を生む便利なツールである一方で、いじめや孤立が起きたり、他人と自分を比べて落ち込んでしまう子もいますよね。

こうしたSNSとの関わりの中で、親としてどんなことを意識するとよいでしょうか?

禁止よりも「話せる関係」とメディアリテラシー

田村先生
そうですね。「ダメダメ!」って“禁止”とか“監視する”っていうのは、あまり良くないのかなと思うし。今、子ども同士、やっぱりSNSがないと関係性を作りづらい部分があったりするから、SNSから離れて「やめなさい」なんて言うのは難しいのかなと。

結局は“信頼してもらえる関係性”。この「信頼」っていうところを作って、親子で話ができるようにしていく。そこが一番大切なんですよね。

たとえば、スマホのことで落ち込んでる場面があったときに、“相談しやすい関係”でいることですよね。「LINEグループの中でこんなことあって…」っていう話を、「それは嫌だったね」って親が聞けるような関係性が、ひとつかなと思います。

家庭で作るスマホルールの考え方

てつなぎ編集部
スマホやSNSの「ルール」については、どう考えたらいいでしょうか。 使い方をめぐって、家庭内でトラブルになることも多いですよね。
田村先生
「ご飯の時は使わない」とか、寝る時間を確保するためにSNSやゲームも含めて「夜の11時以降は使わない」といったある程度の“利用のルール”は、ある種“しつけ”に近い部分になるのかなと思う。ただ、ルール作りは実際崩壊しちゃうことの方が多いですけどね(笑)。
てつなぎ編集部
親としても危険はわかっていても、現実的には「完全に禁止」は難しいですよね。子どもにとっては、SNSが人間関係の入口になっている場合もありますし……。

親自身のネット理解が子どもを守る土台になる

田村先生
そうですね。やっぱり実際にそういう部分はあると思うので、完全に否定するのは難しいと思う。でも、“しつけ”って部分で言えば、「こういう危険性があるよ」っていうことを子どもたちはやっぱり知っておかなくちゃいけないのかなと。いわゆる“メディアリテラシー”ですね。

「X(旧:Twitter)」なんかも、世界に発信されてるっていう自覚が少ない子が多いみたいで。LINEとは違って「限定的じゃなくて、どんどんみんなに発信されちゃうんだよ」っていう理解もしなくちゃいけないし、親もそれをしっかり分かってなくちゃいけない。

やっぱりスマホって、親の責任で持たせますからね。そういう意味でも、親がちゃんと管理しなくちゃいけないのかなとは思いますけどね。
てつなぎ編集部
そうなんですよね。てつなぎにも、スマホについての投稿は本当に多いんです。「いつから持たせたらいいのか」「どんなルールを決めたらいいのか」という相談がよく寄せられます。

スマホを持たせることには親の責任もともなうし、「もし取り返しのつかないことが起きたら…」という不安もある。でも、持たせないことで別の問題が起きることもあって、本当に葛藤が大きいんですよね、スマホって。
田村先生
難しいですよね...。本当に難しいと思います。でも、単純に“スマホ=SNS”ではない気がするので、やっぱり使い方次第なのかなとは思います。
てつなぎ編集部
これから先、SNSとの付き合い方はますます難しくなっていくと思うのですが、やっぱりまず親が“ネットリテラシー”をしっかり身につけていくことが、いちばんの近道なのかもしれませんね。

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