中学受験で「親はこれでいいのかな」と迷ったときの関わり方
中学受験、正解が分からない中で親ができることは?
教育
中学受験で「親はこれでいいのかな」と迷ったときの関わり方
こんにちは。多様な教育ナビゲーター・あずみのこです。
約20年間、子育てや教育・福祉の現場で親子の相談に関わりながら、私自身も小学生と中学生を育てている、いわゆる共働きママです。また、子どもの中学受験に親として向き合ってきた一人でもあります。
この時期になると、進路や受験の話題が、少しずつ家庭の中に入り込んでくるご家庭も増えてきますよね。中学受験に向き合っていると、「これまでの関わり方でよかったのかな」そんな問いが、ふと頭に浮かぶ瞬間ってありませんか?
てつなぎの掲示板を見ていても、「中学受験」に関する投稿が、少しずつ増えてきたなと感じます。
不登校や発達特性、家庭の悩みなど、これまで多くの保護者の方とお話ししてきましたが、どのご家庭にも共通しているなと感じることがあります。それは、「正解がわからない中でも、子どものために一生懸命考えている」という姿です。
今日はそんな私が、「中学受験で親が迷いやすい関わり方」について、正解探しではなく、選択肢を増やすつもりで、みなさんと一緒に立ち止まって考えてみたいと思います。
中学受験が始まると、親の頭の中はずっとザワザワする
中学受験が視野に入ってくると、親の頭の中は、なんとなく落ち着かない感じになりませんか?「周りの子はどんどん進んでいるのに、うちはこのペースで大丈夫なの?」「塾の先生に任せた方がいいのか、それとも家でもっとフォローした方がいいのか」「口を出しすぎている気もするし、かといって放っておくのも不安...」「この関わり方で、本当に合っているのか分からなくなる」...などなど。
私も、子どもの学習や進路を考える中で、 「もっとやってあげた方がいいのかな」という焦りが浮かんでは消えて、気づくと頭の中で同じ問いを行ったり来たりしていた時期がありました。
中学受験は、子どもにとってだけでなく、親にとっても初めての経験であることがほとんど。だから迷うのは、とても自然なことなんですよね。
そしてこの迷いには、親の性格だけではない、“構造的”な理由もあると感じています。
みんなの声より|中学受験をするにあたって将来得られるものは何?
中学受験で親が迷いやすい理由は、家庭ごとの差が大きいから
中学受験が難しく感じられる理由のひとつは、家庭ごとの条件が本当にさまざまだという点にあると、私は感じています。
同じ塾に通っていても、宿題の量をどこまでこなせる体力があるか、理解にかかるスピード、通塾だけでどれくらい時間を使っているか。きょうだいの構成や、家庭ごとの生活リズムも含めると、置かれている状況は一人ひとりまったく違いますもんね。
それでも、模試の偏差値やクラス分け、合格実績といった数字は、同じ物差しで並べられてしまう。すると、比べなくていいものまで比べてしまって、親の心が揺れやすくなるのも無理はありません。
これは、親の覚悟が足りないからでも、判断力が弱いからでもないと思います。情報があまりにも多く、正解が見えにくい“構造”そのものが、親を迷わせているのだと感じています。
たとえば、てつなぎの掲示板には、こんな声も寄せられています。
「勉強は無駄にならないし、高校受験をしなくて良いのが最大のメリットかなと…ただ、不合格の場合、不合格だったことを12歳にして経験してしまうこと、それが不安でもあります。私自身、中学受験したことがないので、中学受験する意味はなんなの?と問う旦那にうまく説明ができず。結局は本人の意志とやる気なんですが。
(🔗 てつなぎ掲示板「中学受験される方に聞きたい」より)
走り出す前だからこそ、「やらせたいか」「やらせたくないか」ではなく、「この子にとって、今なのか」を考え続けている様子が伝わってきました。
ここからは、このように、成績のことだけでは説明しきれない、親の中に積み重なっていく不安や迷いが、どこから生まれているのかを、少しずつ整理していきたいと思います。
中学受験で、なぜ親はこんなに不安になるのか
中学受験の相談を受けていると、「子どもの成績が伸びなくて不安です」という言葉の奥に、いくつもの気持ちが重なっていることが多いと感じます。
話を聞いていくと、情報が多すぎて何を信じたらいいのか分からなくなっていたり、期待しているからこそ失敗が怖くなっていたり。
周りと比べて焦る気持ちや、「親として責任を果たさなきゃ」という思いが、知らないうちに重なっていることも少なくありません。
こうした気持ちが一緒くたになると、「何かしなきゃ」「今のままでいいのかな」という焦燥感が強くなりやすいんですよね。
実際、民間の調査でも、中学受験を控える保護者の約7割が「強いストレスを感じている」と回答しています。さらに、「子ども自身もストレスを感じていると思う」と答えた保護者も7割以上にのぼっていました【※1】。
こうした数字を見ると、受験期の不安や揺れは、特定の家庭だけの問題ではなく、多くの家庭が直面している現実だということが分かります。
でも、不安を無理に抑え込もうとするよりも、「私は今、何が一番気になっているんだろう」と、一度立ち止まって分けて考えてみるだけで、取る行動が少し見えやすくなることがあります。
・情報に振り回されていると感じたら、あえて情報源を減らしてみる。
・期待が重くなりすぎているなら、合格以外に子どもが得ているものに目を向けてみる。
・比べてしまう気持ちが強いときは、他の子ではなく、自分の子のこれまでの変化を振り返ってみる。
・責任感で苦しくなっているなら、家庭の中で役割を分け直してみる。
「我慢する」より、「整理する」。
これは、受験期の親子関係を保つうえでも、とても大事な視点だと、私は感じています。
掲示板を読む|中学受検に関する投稿
中学受験で、親はどこまで関わるのか
また、中学受験の関わり方で迷いやすい理由のひとつは、「どこまでやっていいのか」が、その日その日で揺れてしまうからかもしれません。調子がよさそうな日は見守れるのに、うまくいっていない様子を見ると、つい手を出したくなる。そんなふうに、判断の基準が「感情」に引っ張られてしまうこと、ありますよね。
私がこれまで保護者の方とお話しする中で、そして自分自身の経験からも感じているのは、迷いが少ないご家庭ほど、「ここまでは親の役割」という軸を、どこかに持っているということです。
私自身が大切にしている考え方は、勉強そのものを代わりにやることではなく、「学習が回る環境を整える」こと。
目の前で問題につまずいている姿を見ると、解き方を説明してあげたくなったり、間違いをすぐに直してあげたくなったりしませんか?
ただ、親がいないと進まない学習になってしまうと、あとで苦しくなるのは子ども自身なんですよね。だから、点数や出来不出来だけを見るよりも、「このやり方で、明日も回りそうかな」という視点を持つように意識するのは大事かなと思います。
うまくいったかどうかよりも、「続けられそうかどうか」と。そのほうが、長い目で見ると助けになる場面が多いと感じています。
中学受験で親が迷わなくなるための、関与の基本方針
関わり方に迷ったときは、“戻れる場所”があると気持ちが少し落ち着くと思います。我が家でも意識してきたのは、「すべてをその場の判断で決めない」ことでした。
たとえば、
・安全や健康に関わること
・通塾の道のりや帰宅時間
・睡眠や食事、体調の管理
ここは子どもに委ねすぎず、“親が責任を持つ”部分として考えてきました。 一方で、“学習の細かい管理”については、最初から手を放すのではなく、少しずつ子どもに渡していく感覚を大切にしていました。最初は一緒に確認していたことも、いつの間にか本人に任せられるようになる。その変化を急がせない、というイメージです。
進路や選択についても、親がすべて決めてしまうのではなく、“選べる状態を整える”ことを意識してきました。選択肢を並べて、話し合って、納得できるところを探す。時間はかかりますが、そのプロセス自体が、あとから効いてくることも多いと思います。
こうした考え方を家庭の中で共有しておくと、感情が揺れた日にも、「今のこれは、親の役割かな、それとも見守るところかな」と立ち返りやすくなります。
学年が進めば、関わり方が変わっていい
そしてもうひとつ大事なのは、この「親の役割の軸」は、学年が上がるにつれて変わっていい、ということです。中学受験では、ずっと同じ距離感でいようとするほど、どこかで無理が出やすくなる気がしています。学年が上がるにつれて、関わり方が変わっていくのは自然なことですからね。
低学年のうちは、学習の流れやプリントの扱い方、通塾のリズムなど、土台を一緒につくる時間が多くなります。少し慣れてきた頃には、親の手を少しずつ減らしながら、自分で回す練習が増えていく。そして最終的には、親が細かく見ていない日があっても、何とか回る形を目指していく。
親が手を出せば、目の前のミスは減りますが、ずっとそれを続けると、親が回せない場面が来たときに、子どもが立ち止まってしまうこともありますよね。
ゴールは、親がいなくても学習が回る形。そのために、様子を見ながら、距離を少しずつ変えていけたら。それだけでも、十分なのだと思います。
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