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後悔しない中学受験 - 合格する親子の習慣 -

中学受験の第一線で30年以上指導の講師が、中学受験で悩み、迷っている人の手助けとなるヒントを紹介します。

更新日:

渋田 隆之
国語専門塾の中学受験PREX代表、教育コンサルタント・学習アドバイザー。

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後悔しない中学受験 - 合格する親子の習慣 -

読書はじわじわ効いてくる

「本を読んでも国語の成績は上がらない」という話を聞くことがあります。

私は、読書には急激に読解力を上げるための即効性はないかもしれませんが、漢方薬のようにじわじわと効いてくるものだと思います。

本で読んだ内容と似たようなテーマの文章が出たとき、当然ながら有利になります。

さらに、本の内容に刺激を受けて、将来の夢が広がって受験に前向きになった子もいます。

読書の暇があれば目先の模試対策にあてたいと思う気持ちもわかりますが、本は子どもたちの視野を広げる大切な道具ですので、無駄だと切り捨てるのは、少し待ってください。

朝読書を行う私立中学は多くあります。

先生たちからは、国語以外の教科にも読書効果が出ているという話も聞いています。

英米大学の研究でも、次の4つの読書の効果が明らかになっています。

①集中力がつく

本の世界にのめり込む生徒は、集中力が高い傾向にあります。

②共感力が育つ

読書を通じて異文化への理解が深まり、共感する能力が育ちます。

英語がしゃべれても共感力がないと、コミュニケーションは成り立ちません。 

国語講師という立場からも、母国語を軽視すると、あるレベルから先が行き詰まる可能性があると思っています。

③脳内が活性化する

文章から得られる情報からイメージするとき、記憶や経験をたぐり寄せるために我々は脳のさまざまな領域を起動し、新たな神経経路を構築しています。

この働きは、テレビやゲームをプレイしているときには起こらないそうです。

④ストレスが軽減する

サセックス大の調査では、6分間の読書によって下がるストレスレベルは、音楽を聴いたり散歩に出かけたりして発散する際の4%以上も効果的であることがわかっています。

読書には時期がある。

 本とジャストミートするためには、時を待たねばならないことがしばしばある。

しかしそれ以前の若い時の記憶に引っかかりめいたものをきざむだけの、三振あるいはファウルを打つような読み方にもムダということはないものなのだ。

これは、ノーベル文学賞受賞者の大江健三郎氏の言葉です。

過去に、難関中学に合格した教え子が、5年生のときに『ソフィーの世界』を読み「よくわからないことがわかったよ、先生!」と言ったことを思い出します。

子どもが1ヶ月に読む本の数は、両親が読む本の数とほぼ同じだというデータもあります。

まずは、保護者が読書を楽しむ姿を見せ、本に触れる機会を増やしてみてはいかがでしょうか。

お手伝いで時間管理能力と決断力を伸ばす

生徒たちに「家のお手伝いは何をしているの?」と聞くことがあります。

 「食べたものをシンクに持っていく」 

「洗濯物を取り込む「たたむ」じゃありません 笑)」

「ゴミを捨てに行く」がベスト3でしょうか。

ゴミを捨てに行くのは、たいてい、分別してゴミ袋に入れるまでは保護者の仕事のようですね。

「お風呂を沸かす」と言った生徒がいましたが、多分スイッチを押しただけで、薪を取りに行ったりはしていないはずです。

 「沸かす」に対抗して「お風呂の栓を抜く」と応えた強者もいました。

実はお手伝いは「時間を有効活用することがさまざまな場面で役立つ」ことを教える絶好のチャンスです。

お小遣いのやりくりと同じです。

計画性のある子は決められたお小遣いの中で、上手にやりくりしています。 

欲しいゲームを買うために、好きな漫画を我慢したりもするでしょう。

時間管理も同じで、教材をいつも手に届く場所に置くなど、工夫すればもっとたくさん時間が使えることが体感できると、大いなる成長といえます。

部屋や机の片づけの効果の一つに、自分の判断に自信が持てるようになることがあります。

片づけるときには、モノを自分で捨てる捨てないの判断をするしかないので、自然と決断力が磨かれて、自信がついてくるといわれています。

ゴミ屋敷に住んでいるのは、捨てるという決断を諦めた人たちです。

ですから、片づけを先回りして保護者がやってしまうと、子どもの決断力を養う機会を逃している、ともいえるのです。

さまざまなお手伝いを通して、子どもの時間管理能力と決断力を伸ばしてあげてください。

また、よくできたときの「ありがとう」は、家族の関係をあたたかくします。

PROFILE

国語専門塾の中学受験PREX代表、教育コンサルタント・学習アドバイザー。

渋田隆之

神奈川大手学習塾で中学受験部門を立ち上げ、責任者として20年携わる。
同部門は、オリコン顧客満足度ランキングで、2010年度・2011年度の2年連続で全国1位を獲得。
毎年、塾に通う受験生全員と生徒面談を実施。保護者向けにも、ガイダンス、進路面談・カウンセリングを担当し、これまで関わった人数は2万人以上。一人ひとりの個性や、置かれた環境に寄り添ったアドバイスに定評があり、生徒・保護者から絶大な信頼を寄せられている。
保護者向けの講演会は年に80回以上。日々の思いを綴るブログ「中学受験熱血応援談」は年間100万件以上のアクセスを獲得している。
2022年7月に中学受験PREXを立ち上げ、現在も継続して中学受験の最前線に立ち続ける。国内最大の受験人数を誇る首都圏模試センターの中学受験サポーターも歴任し、中学校と受験生の橋渡しとなる情報提供を日々行っている。

「2万人の受験生親子を合格に導いたプロ講師の 後悔しない中学受験100」

著者名
渋田 隆之
出版社
 かんき出版

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