後悔しない中学受験 -「塾に通いたい」と言われたら -
中学受験の第一線で30年以上指導の講師が、中学受験で悩み、迷っている人の手助けとなるヒントを紹介します。
教育
「塾に通いたい」と言われたら
メンタルヘルスの世界では、「負荷が高くても、裁量の余地が大きければメンタルは壊れない」とされています。
なぜなら、「やらされている」 勉強は、他人が思っているより負荷が高いからです。
「塾に行きたい」と子どもに言われたとき、気をつけてほしいことがあります。
現実的には、(とくに低学年の)子どもが塾に行きたいと言う理由は「友だちも通っているから」「体験授業が楽しかったから」というものが多いと思います。
(「体験授業」は、塾が生徒を獲得するために、普段より楽しい授業をするということも忘れずに)。
あとは、なんとなく「親は塾に入ってほしいんだろうな」と空気を読んで「がんばる」 と答えてしまう優しい子もいるでしょう。
通うかどうかを決める際には、「まだ子どもには判断できないだろう」と思わずに、塾に通ったときの生活をイメージさせたうえで、それでもチャレンジしたいか、つまり、受験を「自分ごと」にできるかをしっかり確認する必要があります。
「もし塾に入ったら、月・水・金は遊べないよ。ゲームをやる時間もなくなるかもしれない。でも、私立中学では○○もできるから、お母さんは、応援したいと思っているよ。せっかくやりはじめるならかんたんに投げ出してほしくないから、しっかりと相談しよう」と伝え、話し合いの時間を取るのがいいでしょう。
相談のとき気をつけてほしいのは、保護者の都合を押しつけないことです。
親子関係でよく見られますが、「あなたのため」という言葉が、たくさん出てきたら黄色信号です。
「あなたのためを思って言っている」という言葉の背景をよくよく考えると、本音は 「親の言う通りになってほしい」だったりします。
厄介なことに、ときに保護者は盲目になり、押しつけを「親の愛」だと自分の中で美化して、正当化してしまう可能性もあります。
スイスの心理学者アリス・ミラーは「あなたのため」を「愛という名の暴力」と呼びましたが、この「愛」に偽装された親の「欲望」ほど、子どもをゆがめるものはありません。
むしろ悪意のほうがまだ罪が軽いくらいです。
なぜなら、自分に向けられた悪意に対して、人は拒絶や反発をする余地がありますが、「よかれと思って」と相手の善意によって向けられたものについては、拒絶も反発もしづらいからです。
そして子どもたちも「愛」だと感じるがゆえに、親に本当の気持ちを言えずにいるということになります。
大きなミスマッチを起こさないように、私は、志望校を決める、習いごとをどうするか考える、転塾を検討するなどの大きな節目の際には、「家族会議」をしっかり開くことをおすすめしています。
家族会議で学べたこと
先生からこの話を聞いて、毎月1回は家族会議をやることを決めました。
長女の受験には長男や次女の生活にも影響が出るので、家族全員が会議に出席することをルールにしました。
議長は私で、発言するときには、思っていることを全部言っていいことと、途中で批判しないこともルールに加えました。
家族の意見はぶつかるものですから、きちんと話し合う機会を作るというのは間違っていなかったと感じました。
お互いの気持ちを尊重することも一緒に学べたような気もします。
子どもが塾へ行きたいと言い出したら、
まずは、一緒に学校見学(文化祭など)をして、思春期にどんな環境で人と触れ合えるか、元気に生活できそうかを肌で感じてみるのもよいでしょう。
塾に入ってから学校見学をするというのが一般的ですが、行きたい学校を決めてから、その目的のために塾に通うという方法もおすすめです。
国語専門塾の中学受験PREX代表、教育コンサルタント・学習アドバイザー。
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