後悔しない中学受験 - 家庭学習の工夫 -
中学受験の第一線で30年以上指導の講師が、中学受験で悩み、迷っている人の手助けとなるヒントを紹介します。
教育
後悔しない中学受験 - 家庭学習の工夫 -
「がんばった」を見える化する
子どもにとって、受験までの道のりはとても長く感じられるもの。
そして実際にも長期間なので、モチベーションが低い時期は誰にでも訪れます。
そこでおすすめなのが、日々の「がんばった」を見える化するというテクニックです。
その日にやるべき予定をリストアップして、終わったものをマーカーで塗りつぶして「がんばった」の見える化をすると、一つの課題が片づくたびに、小さな達成感をもたらしてくれます。
リビングなどの見えるところに大きなカレンダーを貼り、そこにリストを書き込むのもおすすめです。
家族みんなで「よくがんばってるね」と声かけをするきっかけになるからです。
「子どもが一番よく見るのは冷蔵庫だから、うちはドアに磁石で貼ってました!」と報告してもらったこともあります。
よい結果だった模試や過去問、賞状などを目に見えるところに置くのもよいでしょう。
気持ちが乗らないときや疲れているとき、落ち込んだときも、うまくいったときの気持ちを思い出すと、「よーし、がんばろう」という気持ちになれます。
これは、 習いごとでもらったトロフィーや賞状でもいいでしょう。
以前、願書を書いて机の横に貼ってもらったこともあります。
自分自身に言い訳のできない状況を作ってしまうという意味では、「絶対○○中学に合格」と書いて部屋に貼る古典的な方法も、価値があります。
目標や期限をまわりの人にもわかるようにはっきり宣言することは、心理学的にも有効です。
人間は自分との約束はつい甘えてしまい、破ってしまいますが、他人との約束には、「破ってはいけない」というプレッシャーを感じるもの。
そのプレッシャーが、勉強へのモチベーションを支えてくれるのです。
感謝の気持ちをエネルギーにする
「感謝の気持ちを持つこと」は、受験勉強を乗り切る際の大事なポイントになります。
シドニーオリンピックのマラソンで金メダルを取った高橋尚子さんは、どんなときも走れることに感謝していたそうです。
彼女は、沿道の人たちにも感謝、さらには、 30キロ付近で競り合っているライバルにすら感謝していたといいます。
30キロすぎの一番きついところで、「こいつだけには負けるか」と考えていると、体は緊張し、筋肉が硬くなるだけでなく、末梢神経が収縮して酸素の供給も悪くなり、パフォーマンスは低下してしまいます。
受験もそれと同じことがいえます。
追い詰められた過酷な状況でこそ、感謝の気持ちが持てるくらいに心を成長させたいものです。
感謝することがもたらす、別の効能もあります。
心理学者のロバート・エモンズ氏とマイケル・マッカロー氏は、被験者を2つのグループに分け、1つのグループには「ちょっとしたことでもいいので、毎日、感謝できることを5つ書いてもらう」という実験をしました。
こうして毎日1~2分、感謝する時間を取ったことは、思いもかけない効果をもたらしました。
感謝できることを考えたグループは、何もしなかったグループに比べて、人生をもっと肯定的に評価できるようになっただけでなく、幸福感が高くなり、ポジティブな気分を味わえるようになったそうです。
感謝することで幸せを感じられるようになって、意志が強くなり、エネルギッシュで楽観的になったわけです。
やるべきことに追われ、保護者も子どもも、余裕がなくなる日もあるでしょう。
そんなときこそ、1~2分でもいいので、日々の小さな「感謝」を思い出す時間を取ってみてください。
そして、たまにでいいので「ありがとう」を家族に伝えられる日があれば、最高です。
国語専門塾の中学受験PREX代表、教育コンサルタント・学習アドバイザー。
同部門は、オリコン顧客満足度ランキングで、2010年度・2011年度の2年連続で全国1位を獲得。
毎年、塾に通う受験生全員と生徒面談を実施。保護者向けにも、ガイダンス、進路面談・カウンセリングを担当し、これまで関わった人数は2万人以上。一人ひとりの個性や、置かれた環境に寄り添ったアドバイスに定評があり、生徒・保護者から絶大な信頼を寄せられている。
保護者向けの講演会は年に80回以上。日々の思いを綴るブログ「中学受験熱血応援談」は年間100万件以上のアクセスを獲得している。
2022年7月に中学受験PREXを立ち上げ、現在も継続して中学受験の最前線に立ち続ける。国内最大の受験人数を誇る首都圏模試センターの中学受験サポーターも歴任し、中学校と受験生の橋渡しとなる情報提供を日々行っている。
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