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スマホを取り上げると かんしゃく起こすように

スマホは最初のルールづくりが肝心。賢く使えば勉強も遊びも充実します。家庭でのルールづくりをQ&Aで分かりやすく伝えます。ルール作り編 ルールの運用法 #03

更新日:

竹内和雄
兵庫県立大学教授。

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スマホを取り上げるとかんしゃくを起こすように

ルール作り編 ルールの運用法

 Q スマホを取り上げるとかんしゃくを起こして、手に負えません。どうすればよいでしょうか?。
 A その場しのぎの急ごしらえのルール変更はせず、子どもが心配だという思いを大切にして、それを言葉にして伝えましょう。

長時間スマホを触ってしまう子、夜なかなかやめられない子、かんしゃくを起こしてしまう子、それぞれに理由があります。

そこを解決するための万人に有効なルールはありませんが、必ず自分で上手に使えるようになる方法はあります。

大人が自分の経験と考えで判断せずに、まずはじっくりと子どもの思いを聞いてあげることです。

そこから何かが見えてきます。

その際、子どもの行動を頭から否定しないでください。

受け入れがたいとは思いますが、まずは、子どもの現状を受け入れて、「だけどお母さん、睡眠だけはしっかりとってほしいの」「お父さんは、君に病気になってほしくないんだ」と、心配であるという思いをしっかりと伝えてあげてください。

親御さんの怒りや不安の裏側には、子どもを思う気持ちがあるので、それを冷静に言葉にして話せば必ず伝わります。

その上で、現実的な問題をどうするかを話し合いで解決しましょう。

正しい習慣を作っていくには長い時間が必要です。試行錯誤を繰り返して少しずつ前に進みましょう。

【ケース1】(小5男子)

  スクリーンタイムで夜8時になると使えない設定にしていますが、甘えたり、怒ったり、すねたりとあの手この手で時間延長を求めます。ある時、かんしゃくを起こして暴れ出したので「じゃあ、風呂掃除したら少し延長」と言ったら風呂場をピカピカにしたので1時間延長しました。それで味をしめたのか、次の日から毎晩風呂掃除し、「今日も1時間!」と言い続けます。 当然認めませんが、「掃除したのにどうして?」「掃除して損した」「お母さんの嘘つき」とかんしゃくを起こします。結局、「1週間やったら1日だけ1時間延長」に。最近は「週2回にして」とうるさいです。

この子は「掃除」と「時間延長」が結び付き、さらに「かんしゃくを起こすとゲーム延長」が成功体験になったようです。

ルールにはできるだけ例外を作らない方がよいです。

もし、例外を作る場合でも、子どもに押されてその場しのぎで作るのではなく、落ち着いて話し合ってからのルール変更がよいです。

この子の場合は、かんしゃくを起こした時は一旦時間をあけて落ち着かせ、その上で、どうするか話し合うことになりました。

スマホ以外で興味の持てるものを探したり、自分で決めたルール(習慣)を守ることが偉い、と話しましょう。

【ケース2】(小6女子)

  約束の夜9時になってもやめないので、「もう9時よ」と言ったら、子どもは「このゲームが終わるまで」と言います。 分かった、きりのよいところまでね、としましたが、10分たっても、20分たっても一向にやめません。「いつまでやってるの!」と大声で叱ると、「まだゲーム終わってない、さっき終わるまではいいって言ったじゃん」と逆ギレされてしまいました。 それ以来、娘と口をきいていません。

これもよくあるケースです。

最近のゲームは、確かに終わるまでに長い時間がかかるものがあります。

ですから、終わる時間については、時間だけで区切らない配慮が必要です。

一昔前までは、一人でプレイするゲームが主流でしたが、今は5人程度でボイスチャット(会話しながらプレイする機能)を使って話しながらゲームすることがあります。

そうしたゲームを途中で抜けるのはかなり難しいので、もし夜9時に終わらせたい場合は、「夜8時半を過ぎたら新しいゲームを始めない」などのルールがよいでしょう。

PROFILE

兵庫県立大学教授

竹内和雄

1987年神戸大学教育学部卒業。
公立中学校で20年、生徒指導主事等を担当(途中、小学校兼務)。
1999年兵庫教育大学大学院修了。教育学博士。
2007年寝屋川市教委指導主事。
2012年より現職。2005年に起きた大阪府寝屋川市の事件をきっかけに携帯、ゲーム、ネット対策に取り組む。2007年読売教育賞優秀賞受賞。2012年日本道徳性発達実践学会研究奨励賞受賞。
2014年ウィーン大学客員研究員。生徒指導を専門とし、いじめ、不登校、ネット問題、生徒会活動等に重点的に取り組んでいる。
総務省、内閣府等で子どもとネット問題についての委員を歴任。
文部科学省「学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議」委員。NHK「視点・論点」「クローズアップ現代」「ウワサの保護者会」等に出演。現在、本務の傍ら、ネット問題を中心に教職員や保護者向け講演を年間80回以上こなす。

「こどもスマホルール」

著者名
竹内 和雄
出版社
 時事通信社

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