こどもスマホルール ペナルティを決める
スマホは最初のルールづくりが肝心。賢く使えば勉強も遊びも充実します。家庭でのルールづくりをQ&Aで分かりやすく伝えます。ルール作り編 ルールの作り方 #01
親子関係
ルール作り編 ルールの作り方
スマホのルールがうまくいかない理由で最も多いのは、「なし崩し」で変わってしまうことです。最初は厳しいルールがあったのに、気が付くと何となくうやむやになってしまうことがよくあります。
本当は、自分で調整しながら、上手に付き合えるようになればよいのですが、スマホを使うことは楽しく、友達からの誘いも断りづらいので、自分の意思だけで上手に使いこなすのはとても難しいです。だから最初にルールが必要なのです。
ルールを作る時には「破った時のペナルティ」もしっかり決めてあげることが重要です。
ポイントは以下の3つです。
①基準をはっきりさせる
守ったかどうかはっきり分かるように、基準を明確にします。「早めに終わる」といったあいまいなものではなく「夜9時までで終わる」「1日2時間しか使わない」と具体的に決めた方がうまくいきます。
②ペナルティを決める
ルール違反したら「翌日は1時間減らして夜8時まで」「1週間使用禁止」など、具体的なペナルティの内容を決めます。③親も妥協しない
一度ルールを決めたら、親も「今回だけ許してあげるね」とは言わないようにします。厳しく対処してください。
うまく進めるために大切なのは、基準やペナルティの内容を親子双方が納得していることです。これもお互いの妥協が必要です。
一週間禁止なのか、3日間禁止なのか、これはご家庭の考え方次第なので、親子で話し合ってください。
また、約束を守れなかった時は、どんなにつらくても親もペナルティをしっかりと実行します。
「今日だけ特別に罰はなしね」とすると、子どもにとってはそれが「前例」になってしまい、次回も同じようにしてもらえると期待することになります。
次に特別にしてくれない時に不満を言ったり、かんしゃくを起こしたりします。
ルールがうまくいかないのは、たいてい親の側の問題です。
親が「約束を守る」ことが重要です。
しかし実際は、「塾の時間が長引いた」「部活動で帰るのが遅くなった」など、ルール通りにするのが難しい場合が必ず出てきます。
そういう時はもちろん「特例で許してあげる」べきですが、許す理由をはっきりさせることが大切です。
これも「前例」になるので、その都度、新しいルールを作っていけばよいのです。
「今日は塾から帰るのがいつもより30分遅かったから、夜9時半までにしようね」
「部活の試合で帰宅が夜8時になったから今日は45分延長かな」
そういう提案をして、特例について親子で話し合いましょう。
私が関わったAさん(中一)のルールを紹介します。
ルール 「夜9時に終わらせて充電器に置く」
ペナルティ1 少しでも超えたら→翌日は夜8時まで
ペナルティ2 夜9時半を超えたら→スマホ1週間停止
ペナルティ3 週3回夜9時を超えたら→スマホー週間停止
中学入学時にこういうルールを作りましたが、ペナルティ2でもめました。
部活動の連絡が来るので、スマホを使わないわけにはいきません。
大げんかしたそうで、私に相談がありました。
長い話し合いをして、スクリーンタイムで夜9時半に電源が切れる設定にすることにしました。
Aさんは友達の手前、かなり抵抗しましたが、最後は「夜9時半には終わらないと睡眠不足になる」というお母さんの言葉に納得しました。
先日Aさん母子に会ったのですが、その後、Aさんは1回だけペナルティ3になったそうですが、以後はうまくいっているそうです。
中2になってルールの夜9時が夜10時になり、スクリーンタイムが夜1時になりました。ルールの見直しも順調そうでした。
兵庫県立大学教授
公立中学校で20年、生徒指導主事等を担当(途中、小学校兼務)。
1999年兵庫教育大学大学院修了。教育学博士。
2007年寝屋川市教委指導主事。
2012年より現職。2005年に起きた大阪府寝屋川市の事件をきっかけに携帯、ゲーム、ネット対策に取り組む。2007年読売教育賞優秀賞受賞。2012年日本道徳性発達実践学会研究奨励賞受賞。
2014年ウィーン大学客員研究員。生徒指導を専門とし、いじめ、不登校、ネット問題、生徒会活動等に重点的に取り組んでいる。
総務省、内閣府等で子どもとネット問題についての委員を歴任。
文部科学省「学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議」委員。NHK「視点・論点」「クローズアップ現代」「ウワサの保護者会」等に出演。現在、本務の傍ら、ネット問題を中心に教職員や保護者向け講演を年間80回以上こなす。
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