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こどもスマホルール 「今日だけお願い!」はアリ?

スマホは最初のルールづくりが肝心。賢く使えば勉強も遊びも充実します。家庭でのルールづくりをQ&Aで分かりやすく伝えます。ルール作り編 #02

更新日:

竹内和雄
兵庫県立大学教授。

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こどもスマホルール 「今日だけお願い!」はアリ?

ルール作り編 ルールの運用法

 Q 息子は「今日だけお願い!」と毎日懇願してきます。私も根負けすることが多く困っています。
 A 子どもの事情は聴きましょう。でも「物分かりのよい親」になってはいけません。

子どもは「今日だけ!」とお願いしてきた時にルールは鍛えられます。

「特例」として条件を定めて話し合って決められるか、それとも「ルールはルール」と却下するか。

ここでうまくいくと思春期の難しい時期もうまく乗り切ることができます。

子どもなりに真剣な事情を抱えている場合もあります。誠実に対応してあげましょう。

①ただ単に続けてやりたい場合

スマホの誘惑は強いです。大人でもスパっとやめるのは難しいです。単にやりたいだけの場合は感情的にならずに、冷静に「ルールだからね」と言ってあげましょう。大きな声を出したり、強く叱ったりせず、冷静に受け流すのがベストです。


②特別な事情がある場合

「大晦日」「クリスマス」「誕生日」や「テストが終わった日」など特別な日には友達と長く話したいこともあります。 そういう時は事前に特例の条件を話し合って、ある程度認めてあげるとよいです。 「一時間延長」等、具体的に決めましょう。

スマホの誘惑は計りしれません。

YouTubeの場合、一つ見ると、関連のある分野の動画が次々に表示されます。

ゲームの場合、「もう少しでクリアできそう」「あと少しでガチャの確率が高くなる」などゲームをやめさせないさまざまな仕掛けがあります。

最近のゲームは、ゲームにかかる時間が読めません。

勝ち進むと30分以上かかる場合があります。

勝ち進んだところで約束の時間になることがよくあります。

「お母さん、お願い!」という時は、子どもが奇跡的に勝ち進んで、念願叶うかもしれない画期的な場面のケースがあります。

だから子どもも必死です。

A君(中2)の場合

中一の夏頃から不登校傾向がありましたが、「(オンラインバトルゲームの)フォートナイトの達人」として友達から一目置かれるようになり、中2になってからは元気に登校していて、お母さんも安心していました。 そんな彼はある日、「フォートナイトアジア大会(午前3時開始)」へどうしても参加したがりました。
  昔、ゲームに夢中になって昼夜逆転していた時期もあり、お母さんとしては朝3時を認めるわけにはいきません。 しかしA君は、「僕の生きがいだから」と真剣です。何度も話し合いました。早めの夕食、勉強、入浴後一旦仮眠して、自分で朝3時前に起きて参加すること、朝は必ず登校すること。そういう約束をして大会に参加しました。
  A君は約束を守り、良い成績だったので、みんなに自慢できました。また、その後も昼夜逆転することなく、元気に学校に通っています。「理解してくれたお母さん」と「約束を守ったA君」は、良い関係です。先日、A君のお母さんと話したところ、「中3の5月にまたアジア大会がある。受験生だしどうしよう」と悩んでおられました。「前例」があるので当然A君は参加を主張します。しかし、お母さんには「受験生」という特別な事情が心配です。ここに正解はありません。お互いが主張して正解を作っていくことになりました。


Bさん(中3)の場合

Bさんは、声優Cの大ファンです。友達とうまくいっていないBさんは、ファン交流サイトで、みんなで声優Cの魅力について話し合うのが何よりの楽しみでした。そんなある日、Bさんはファンクラブが集まるオフ会(実際に集まる会)に誘われました。 しかしお母さんは、「ネットで知り合った人と会わない」のルールを決めているし、参加を許したくありません。 Bさんは「進学相談にも乗ってもらう」からと真剣そのもの。何度も話し合い、結局、お母さんが一緒に付き添ってまずみんなにあいさつして、近くで待っている、ということで落ち着きました。

正解は各家庭や親子でさまざまです。ただし「物分かりの良い親」になってはいけません。

PROFILE

兵庫県立大学教授

竹内和雄

1987年神戸大学教育学部卒業。
公立中学校で20年、生徒指導主事等を担当(途中、小学校兼務)。
1999年兵庫教育大学大学院修了。教育学博士。
2007年寝屋川市教委指導主事。
2012年より現職。2005年に起きた大阪府寝屋川市の事件をきっかけに携帯、ゲーム、ネット対策に取り組む。2007年読売教育賞優秀賞受賞。2012年日本道徳性発達実践学会研究奨励賞受賞。
2014年ウィーン大学客員研究員。生徒指導を専門とし、いじめ、不登校、ネット問題、生徒会活動等に重点的に取り組んでいる。
総務省、内閣府等で子どもとネット問題についての委員を歴任。
文部科学省「学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議」委員。NHK「視点・論点」「クローズアップ現代」「ウワサの保護者会」等に出演。現在、本務の傍ら、ネット問題を中心に教職員や保護者向け講演を年間80回以上こなす。

「こどもスマホルール」

著者名
竹内 和雄
出版社
 時事通信社

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