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教育
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西岡 壱誠著書『知らないと合格できない 令和の受験のフツウ』から一部転載・編集してお届けいたします。
最近は”変わった学部”が次々に生まれている
大学の学部はここ数年で急速に多様化しています。従来は「文学部・法学部・経済学部・理工学部」といった大枠の中から選ぶのが一般的でした。
しかし今は、社会の変化や新しい産業のニーズに合わせて、特色ある“変わった学部”が次々に誕生しています。
たとえば、福井県立大学の恐竜学部。
名前だけ聞くと「恐竜オタクのための学部?」と思う人も多いでしょう。しかし、恐竜学部の目的は恐竜そのものを暗記することではありません。
恐竜を切り口にして、地質学・環境学・生態系研究といった幅広い分野を横断的に学ぶ場なのです。
教授は「恐竜を学ぶのではなく、恐竜で学ぶ学部だ」と強調しています。つまり、恐竜という入り口から自然科学全般に関心を広げていける学生を求めているのです。
また、佐賀大学のコスメティックサイエンス学環もユニークです。
こちらは「化粧品が好きだから入りたい」という単純な動機では評価されません。
「なぜこの成分で肌が変化するのか」「紫外線防止効果はどんな化学反応で成り立っているのか」といった科学的な探究心を持つ学生を育てようというのが目的です。
化粧品という身近なテーマを通じて、化学・生物学・医学を学際的に探究するのが学環のコンセプトなのです。
さらに、武蔵野大学のウェルビーイング学部は「幸福とは何か」「持続可能な社会で人間がどう生きるか」といったテーマを学ぶ新しい学部です。
心理学や社会学、経営学やデータサイエンスを組み合わせながら、人と社会の“幸福”を科学的に捉えることを目的としています。
こうした事例に共通しているのは、どれも「従来の学部の枠に収まらないテーマ」を扱っている点です。
これにより、従来は「趣味」「関心」と片づけられていた分野が、学問として探究できるようになっているのです。
言い換えれば、学部の多様化によって、自分の個性や興味にマッチする場が広がっているのです。
従来なら「好きだけど大学で学ぶのは難しい」と思われていたテーマが、今は学部の目的となり、未来のキャリアにつながっていく可能性があります。
ただし注意も必要「好きだから」だけでは足りない
学部の多様化によって、自分の興味に合った場が広がっているのは確かに希望の光です。
しかし同時に、ここで大切なのは「好きだから入りたい」だけでは評価されない、という点です。
たとえば、私は実際に福井県立大学恐竜学部の神谷教授にインタビューに行ったことがあるのですが、そのとき教授はこんな話をしてくださいました。
「恐竜学部は、恐竜を学ぶ学部ではなく、恐竜で学ぶ学部です」
神谷教授によれば、世間では「恐竜好きな子どもが集まって、恐竜の名前や種類を暗記する学部なのではないか」と誤解されることが多いそうです。
しかし実際にはそうではなく、恐竜はあくまで学びの入り口にすぎません。
恐竜の化石を調べるには地層の知識が必要ですし、当時の環境を理解するには地球科学や気候学、生態系の仕組みも学ばなければなりません。
つまり、恐竜というテーマを通じて、地質学・環境学・生態学などの幅広い学問分野に触れられるのです。
恐竜はあくまできっかけであり、そこから世界を広げられる人材を育てたいという理念なのです。
教授は「恐竜マニアである必要はない」と断言していました。大切なのは、恐竜に関心を持ちながら「なぜ?」「どうして?」を深掘りし、学問的に探究できる姿勢を持っているかどうかだ、ということですね。
同じように、私は佐賀大学コスメティックサイエンス学環の徳留先生にもお話を伺ったことがあります。
ここでもやはり強調されていたのは、「好き」という気持ちそのものよりも、それを学問的に掘り下げる姿勢でした。
徳留先生はこう語っていました。
「今回、新しい学環を創設するにあたって『化粧品化学学環』ではなく、『コスメティックサイエンス学環』と名付けたのは意味があるんです。単なる”お化粧”にとどまるのではなく、化学物質が人体にどんな影響を与えるのかを探究する学環にしたかったのです」
つまり、「コスメが好きだから入りたい」という表面的な動機では評価されないのです。
先生が求めているのは、たとえば「なぜこの成分でシミが薄くなるのか」「ヒアルロン酸はどんな構造を持っていて、なぜ肌に潤いを与えるのか」といった科学的な問いを立てられる人です。
先生はこんな例を挙げていました。
「発色の良い口紅をつけたときに、『なぜ発色が良くなるのだろう?光とは何だろう?』と考えてみる。成分表を見て『紫外線吸収剤って何?どんな化学物質で、どう働いているの?』と疑問を持って調べる。そういう”なぜ”を掘り下げる習慣がある人こそが、この学環にふさわしい」
この話を聞いて私が感じたのは、恐竜学部と全く同じ構造があるということです。恐竜学部が「恐竜そのものを学ぶのではなく、恐竜を入り口に自然科学を探究する場」だとすれば、コスメティックサイエンス学環もまた「コスメそのものを学ぶのではなく、コスメをきっかけに化学・生物・医学を横断的に学ぶ場」なのです。
つまり、どちらの学部も「ただ好きなだけ」では足りません。その"好き"を学問的な探究に発展させられる人を歓迎しているのです。
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