専門家が伝える「子どもへの否定」が危ない理由!「自己肯定感が下がり、萎縮していく」
否定しないコミュニケーションの専門家であり、国内外の企業でエグゼクティブコーチングを行うプロが教える「否定しないで人を育てる」コミュニケーションの習慣を初公開。
しつけ/育児
自己肯定感が下がり、萎縮していく
まずお伝えしたいこと。
それは、「否定されて伸びる子どもはいない」ということです。
これは私が勝手に思っているわけではなく、数多くのビジネスリーダーとビジネスパーソン(いわゆる部下)との関係を見続けてきた経験から断言できます。
ビジネスの世界でも、「否定され続けて育つ部下」はいません。
たとえば、毎日、怒鳴られ叱責され、「あれをやれ」「これをやれ」と言われ続け、言うことなすことすべてを否定されていたら、その部下はどうなるでしょうか。
まず、自信を失います。
自分で考えることをやめます。
言葉を発することが減っていきますし、チャレンジをすることもなくなってくるでしょう。
そのくらいで済めばいいほうで、精神的に不安定になったり体調を崩したりするかもしれません。
その会社に行きたくなくなり、叱責してくる上司に会ったり、話したりすることを徐々に避けるようになっていく可能性もあります。
最終的には鬱になったり、会社に行けなくなったりするかもしれませんね。
読者の皆さんも、自分の子どもに対して、こういった上司と同じようなことをしていないか、一度立ち止まって考える必要があるでしょう。
「親子では愛情があるうえでの否定だから大丈夫」
「子どもはケロッとしているし、そんな些細なこと覚えていないだろうから大丈夫」
そんなふうに思う方もいるかもしれませんが、親子関係だからこそ、家庭だからこそより複雑な面、よりリスクが高いという側面があります。
親子関係においては、親の都合で子どもをほかの家庭に「異動」させるようなことは当然できません。
我が子はいつまでたっても我が子、親はいつまでたっても親であり、保護者。
その役割から逃れることはできません。
仕事とは違い、人生という長い関係の構築が必要になるということです。
そう考えると、「否定の1回や2回なんて大した影響はない」とは言い切れなくなります。
何気ないちょっとした会話や言葉の積み重ねが、ボディーブローのように、子どものメンタルに影響を与えたり、親子関係をネガティブなものに変えたりする威力を持っているのです。
親子の場合、関係性を変えられないわけですから、こんな状況を変える方法はひとつしかありません。
それは「親自身が関わり方を変える」ことです。
・声かけ
・話し方
・振る舞い
・姿勢、視点
・家の中の空気感、雰囲気
・家族関係としてどうありたいか
それらを意識して、子どもや家族と関わることが大切になります。
普段、メディアが取り上げる子育ての話題といえば、なかなか勉強しない、成績が上がらない、忘れ物が多い、言うことを聞かない...そういった子どもをどうしたら変えられるかといった、いわゆる方法論が多く語られます。
私の専門分野である企業の人材育成の現場においても、商品開発や営業手段、マーケティングの方法やイノベーションの起こし方などの方法論ばかりが重要視されがちですが、組織内の関係性や空気感こそが、前向きなアイデアや、自発的な行動やチャレンジを引き出し、成果やイノベーションにつながっていくことがわかっています。
そんなことを考えると、
「子どもにどんな言葉を使うのか」
「どんな関係性をつくっていきたいのか」
などを考えることは、同じように重要であると考えています。
否定しない専門家/コーチ。合同会社ナンバーツーエグゼクティブ・コーチ。リーダー育成家。一般社団法人国際コーチ連盟日本支部(当時)創設者。
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