専門家が伝える「子どもへの否定」が危ない理由!「自分の頭で考えられない子どもになってしまう」
否定しないコミュニケーションの専門家であり、国内外の企業でエグゼクティブコーチングを行うプロが教える「否定しないで人を育てる」コミュニケーションの習慣を初公開。
しつけ/育児
自分の頭で考えられない子どもになってしまう
「子どもへの否定」が危ない理由の2つ目。
それは、子どもを否定ばかりしていると、「自分で考えられない(考えない)子ども」になってしまう可能性があることです。
「ちょっと!ドアを開けたら、ちゃんと閉めなさい!」
「おもちゃで遊んだあとは、ちゃんと片づけなくちゃだめでしょ!」
「この前もお店では静かにって言ったでしょ!何度言ったらわかるの!」
「またご飯をこぼして、いつになったらできるようになるの!」
親御さんなら、必要に迫られて、そんな、子どもをコントロールするような、指示・命令の言葉を、子どもに投げかけているかもしれません。
そんな「しつけ」に起因する指示・命令は、必要な場面があるのはたしかです。
ただし、はじめにで、「○○しなさい」という指示・命令すること自体は否定ではないと言いましたが、否定になりうる条件があります。
それは怒鳴りつけたり、やらなかった・できなかったことを責める口調で言ったりすること。これは否定になります。
会社の上司・部下で考えればわかるはずです。
上司から部下へ指示・命令するのは、当たり前のこと。
「これやっておいて」「明日中に資料にまとめて提出してください」などと言うのは否定ではありません。
しかし、
「これやっとけって言っただろうが!」
「何やってんだ!いつやるんだ!!給料泥棒か?」
「あなたの仕事はなんだ!遊びじゃないんだから、ちゃんとやれよ!」
これらはどう見ても否定です。
同じ指示・命令でも、言い方がきつくなれば、それは否定になるのです。
子どもの話に戻しましょう。
親から
「ちゃんとやりなさい!」
「何度言ったらわかるの!」
など、きつい口調と責めるような指示・命令をされ続けていて、「言われたら渋々やる」ということを繰り返して育った子どもが、どういう思考になるか、ここで少し考えてみてください。
「自分で考えて決めるより、親の言うことを黙って聞いていたほうが楽」
きっとそんな考え方になってしまうのではないでしょうか。
そうすると、子どもは自分で決めることを放棄し、親の意見の言いなりになり、最終的に受動型の指示待ち人間になってしまうと断言したら言い過ぎでしょうか。
多くの親御さんに、「お子さんには、どんな大人になってもらいたいですか?」と伺うと、「主体性や自律性の高い、自分の意志をしっかりと持った大人に育ってほしい」なんておっしゃいます。
ところが、実際は、その真反対に育つような「否定のコミュニケーション」を続けてしまう方が少なくありません。
すでにお伝えしたように、「ちゃんと育てなければ」という使命感から否定したり、思い通り動いてくれないことに対するイライラをぶつけてしまったりしているので、なかなか否定のコミュニケーションに気づくことができないのです。
「~しなさい!」
「~しちゃだめ!」
「前も言ったのに!」
「いつになったらできるの!?」
こういった言葉をゼロにすることは、子育ての中では難しいことは理解しています。
だとすれば、まずは、「否定的な指示・命令の言葉を、日常的に使ってしまっていないか」「朝、子どもが目覚めてから、学校に行くまで、何回も使っていないか?」などをチェック(観察)してみてください。
そう、自分の言葉のクセを意識する習慣を身につけてほしいのです。
否定しない習慣を身につけるには、まずあなた自身の言動に気づくことです。
否定しない専門家/コーチ。合同会社ナンバーツーエグゼクティブ・コーチ。リーダー育成家。一般社団法人国際コーチ連盟日本支部(当時)創設者。
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