AI時代を生き抜く!「シン読解力」――学力低下は「書かない授業」が原因?
東ロボくんの開発責任者で、読解力を調査・研究し、受検者数50万人のRSTを開発・普及させてきた『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の著者による待望の続編!
教育
昭和の頃はこうではありませんでした。
授業と言えば、先生が黒板に書く内容をそのとおりに書き写す「視写」が定番でした。
修行僧のように、視写に励むことが授業を受けることだったという印象すらあります。
高学年になれば、鉛筆はHBかHを使い、利き手の中指にペンだこができるのがふつうでした。
それを完全復活させるべし、などとはまったく思いません。
私にとっても視写一辺倒の授業は苦痛でしかありませんでした。
一方で、なぜ30年でこうもラディカルに授業方法が変わってしまったのかを知りたいとは思い、先生方にインタビューしました。
授業スタイルの変化には主に2つの理由がありました。
ひとつ目は、先生にひとり1台パソコンが配備されたことと職員室にプリンターが導入されたことです。
これによって、先生たちは自由にプリントを作成し、印刷できるようになったのです。
もうひとつの理由は、「アクティブラーニングの時間を確保するため」でした。
今の学習指導要領は、教員の負担が著しく大きくなるのが容易に想像できるほど分量が多いことで知られています。
さらに、「受動的な授業・学習」から、「積極的・能動的な授業・学習」へとアップデートすることを求めています。
文部科学省は、「どのような活動がアクティブか」ということの定義は行いません。
どんな活動がアクティブかは形式で決まるのではなく、学習者の状態と与えられる課題によって決まるからです。
ですが、現場は、「アクティブ=グループで話し合うこと」だと思いこんでしまいました。
机を移動し、数人で話し合う形式を作ることがアクティブラーニングだと位置づけたため、45分の授業の中で、その時間を確保する必要に迫られました。
すると、ほかの時間を圧縮せざるを得なくなったのです。
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