子どもの脳のために、知っておきたい成長のヒミツ
やる気も集中力も、食卓で育ちます。おさかなキライ!フライドポテトしか食べたくない!にんじんはマズイ!がんばりすぎなくても大丈夫。毎日のシンプルな〈ごはん〉が子どもの力になる!
食事
「うちの子、どうしてやる気が続かない?」その原因は性格ではなく“栄養の偏り”かもしれません。食事で子どもの心と脳を育てるコツを具体的に伝授。すぐに試せるレシピも満載の一冊。
藤川里奈先生著書の『子どものやる気を育てる〈ごはん〉の法則』から一部転載・編集してお届けいたします。
子どもの脳のために、知っておきたい成長のヒミツ
おいしい記憶が子どもの脳を育てる理由
「あのとき食べた味、今でも思い出すんだよね」
大人になっても、ふとした瞬間に思い出す“おいしかった記憶”。
それは、ただの味覚の記憶ではありません。
「誰と食べたか」「どんな気持ちだったか」—そのときの空気感まで、まるごと心に残っていることもあります。
私も小さい頃に母親につくってもらっていた蒸しパンの味を、いまだに覚えています。
家族で行った旅行先でのごはんの味、給食で何回もおかわりしたおでんの味など、味と一緒に、あたたかい思い出や笑顔も、一緒に浮かんできます。
実はこの“おいしい記憶”は、子どもの脳の発達にも深く関わっています。
そして記憶の結びつきには、いくつもの脳の領域が関与しています。
味覚そのものは舌や脳の“味覚野(島皮質など)”で処理されますが、“おいしい/まずい”という感情の判断には扁桃体(感情を結びつける)が大きく関わります。
さらに海馬(体験としての記憶)や嗅覚皮質と結びつくことで、においや体験とセットになった“感情を伴う味覚記憶”として強く残るのです。
そのため、「誰と」「どこで」「どんな気持ちで」食べたかも一緒に記憶され、子どもの“好き/嫌い”を形づけていきます。
幼少期の体験が一生の食習慣に関わってくるのです。
ポジティブな体験は「好きな味」として残りますが、ストレスやネガティブな印象が強いと、その後の偏食や苦手意識のもとになることもあるんです。
だからこそ、毎日の食事の中で「おいしいね」と笑い合う時間や、子ども自身が「また食べたい!」と思える体験を積み重ねてあげることが大切なのです。
子どもの未来を支えるのは、難しいレシピや豪華な食卓ではなく、「おいしいね」と感じられる日々のごはんなのです。
栄養ひとつで変わる?子どもの性格と行動
「うちの子、なんだか落ち着きがない」
「ちょっとしたことで怒ったり、泣いたりしてしまう」
そんなふうに感じたことはありませんか?
子どもの行動や性格のように見えるこれらの特徴、実はその子の個性ではなく、“栄養の偏り”が影響している可能性があるのです。
最近の研究で、鉄やマグネシウム、ビタミンB群といった栄養素が、子どもの気持ちの安定や集中力、睡眠の質に関わっていることがわかってきています。
不足すると、“イライラしやすい、集中できない、眠りが浅い”といった症状につながりやすいのです。
「ことばがゆっくりで心配‥‥‥」
「集団行動が苦手で、どう接すればいいかわからない」
と、子どもの発達に気になるサインがあると、親としては不安になりますよね。
でも、そうした子どもたちの中には、「栄養バランスを見直すだけ」で、変化があらわれるケースが少なくありません。
最近の研究では、発達障害やグレーゾーンの子どもたちに共通して「栄養の偏り」が見られることがわかってきました。
特に、鉄・亜鉛・ビタミンB群・タンパク質などの不足は、脳の発達や神経伝達に大きく関係しているといわれています。
鉄は【集中力】や【やる気】に関係するドーパミンの生成に必要不可欠で、鉄が不足すると、イライラしたり、疲れやすくなったりすることがあります。
亜鉛は味覚や免疫、さらには脳の働きにも関係していて、不足すると感情のコントロールが難しくなる場合もあるのです。
ビタミンB群は、エネルギー代謝や神経の働きに必要不可欠。
これらが不足すると、疲れやすくなったり、イライラしやすくなったりすることもあります。
マグネシウムやカルシウムは、神経の興奮を抑える働きがあり、不足すると、寝つきが悪くなったり、ピリピリしやすくなったりすることもあります。
また、腸内環境が乱れていると、セロトニンをはじめとしたドーパミンやGABAといった心の安定や意欲に関わる物質がうまくつくられず、感情が不安定になることもあります。
「育てにくさ」の正体、それは親のせいでも子どものせいでもなく、体の中の栄養バランスが崩れているだけ、ということもあるのです。
支援の現場でも、こうした栄養状態を整えることで、落ち着きや集中力が改善した例を数多く見てきました。
もちろん、すぐに劇的に変わるわけではありません。
けれど、食べるものが気分や行動の一部に影響する可能性があるという事実を知っているだけでも、子育ての視点は大きく変わるはずです。
子どもの才能を育てるおうちごはんの専門家、調理師、ケーキ店オーナー。
医師・医学博士/三重大学名誉教授/桑名市総合医療センター理事/学校法人湘央学園・湘央生命科学技術専門学校学校長。
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