子どもの知能を高める「育脳ごはん」――DHA以外に必要な「育脳栄養素」は?

食事

管理栄養士。料理研究家。
発達脳科学者。小児科医・医学博士。公認心理師。子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。
  • このお題をXでシェア
  • このお題をLINEでシェア
  • このお題をfacebookでシェア
  • コメントを見る

最新科学が証明。子どもの知能を高める“脂”がとれる最高の食べ物&食べ方。知能は“脳のやわらかさ”で決まる。赤ちゃんにも受験生にも効果アリ。“感情コントロール”も栄養が影響する。育脳脂の含有量がわかる!21レシピを紹介。
小山 浩子先生著書の『「賢い脳」は脂が9割 地頭のよい子をつくる「育脳ごはん」』から一部転載・編集してお届けいたします。

DHA以外に必要な「育脳栄養素」は?

神経伝達物質の素をつくる「タンパク質」

「賢い脳」をつくるためには、DHA以外に必要な栄養がたくさんあります。

まず、脳を「つくる」栄養素が、脂質とタンパク質。

脳は脂質が6割、タンパク質4割で構成されています。

なかでも、情報の伝達を担う「神経伝達物質」の多くが、タンパク質由来の「アミノ酸」でできています。

アミノ酸の集合体であるタンパク質は、体内にとり込まれると、一度バラバラに分解され、使う目的に合わせて再合成されたのち、各器官や細胞に送られています。

このアミノ酸からつくられる神経伝達物質は約20種類あるといわれており、注意力や記憶に関わる「アセチルコリン」や「ノルアドレナリン」、やる気に関わる「ドーパミン」など、学習に関わる働きを持つものがたくさんあります。

そのため、アミノ酸が十分にとれていないと、学習どころか精神的にも不安定になり、さらに体のあらゆる器官の成長にも悪影響を及ぼしてしまうのです。

アミノ酸の種類や含有量は食品によって異なり、ひとつ種類が少ないものがあると、他のアミノ酸の吸収も悪くなる、という特徴があります。

なかでも、体内でつくることができない「必須アミノ酸」がバランスよく含まれているのが、タンパク質摂取の際には重要になります。

この必須アミノ酸がどれぐらいバランスよく含まれているかを数字で表した指標を、「アミノ酸スコア」といいます。

そして、その最高スコアである「100」を誇る食品が、卵、牛乳、大豆。

これらをさまざまな魚や肉と合わせてとることが、育脳食の大きなポイントといえるでしょう。

脳の働きをスムーズにする「ミネラル」

脳の重要ミネラルとして最初にあげたいのが、鉄とカルシウムです。

鉄は脳に酸素を運んだり、神経伝達物質の合成に関わる重要な微量栄養素。

最近、インドで行われた研究では、鉄強化食品を与えられた思春期の子どもは「実行機能(目標を達成するために思考・感情・行動を制御する能力)」や記憶力が向上することが確認されました。

これだけ重要であるにもかかわらず、思春期の子どもの半数が鉄欠乏であるといわれているので、要注意です。

カルシウムは脳の神経伝達物質が移動するときのサポート役を担っており、シナプスかシナプスへ情報を伝達していくときに必要になります。

心臓を働かせることにも関わっているので、別名「命の炎を燃やすミネラル」と呼ばれるほど重要な栄養素。精神を安定させる働きも担っているため、不足するとイライラしやすくなります。

また、骨の成長にもカルシウムが欠かせないことは有名ですね。

また、亜鉛も子どもに不足しやすいミネラルの代表格。

脳内では記憶に関わったり、シナプスの形成や神経伝達物質の調整をするなど重要な役割を担っています。

欠乏すると脳発達に悪影響が出るため、要注意です。

脳の成長と働きを支える名サポート役「ビタミン」

ビタミンB群を中心に、各種ビタミンのなかにも脳の成長や働きに欠かせない重要な栄素がいくつかあります。

まず、なんといっても主役はビタミンB群でしょう。

ビタミンB1は、炭水化物からエネルギーをつくるサポート役として欠かせません。

不足するとエネルギーがつくられにくくなり、脳も体も活動が低下。

結果、集中力も落ちてしまいます。

そのほかにも、ビタミンB群は神経伝達物質の生成や神経細胞の働きをサポートしたり、酸化による欠損を修復するなど、健全な脳活動に欠かせない働きを担っています。

加えて重要になるのがビタミンCとビタミンE。

育脳のカギであるDHAやレシチンは酸化しやすいのが弱点ですが、この2つの強力な抗酸化作用があれば心配無用。

ビタミンには、脳に鉄を送って活性化する役割も。

著者

管理栄養士。料理研究家。

小山 浩子

大手食品メーカー勤務を経て2003年フリーに。これまでに指導した生徒は7万人以上に及ぶ。子どもの脳の成長をサポートする「育脳ごはん」を提唱。NHKをはじめ多くのメディアや講演会、著書で、簡単かつ時短の工夫をこらしたレシピとともに、脳のために重要な栄養について伝える活動も展開中。『目からウロコのおいしい減塩 乳和食』(社会保険出版社・2014年グルマン世界料理本大賞イノベイティブ部門世界第2位)、『やさしい、おいしい はじめよう乳和食』(日本実業出版社・2019年同大賞チーズ&ミルク部門世界第2位)など、著書多数

監修

発達脳科学者。小児科医・医学博士。公認心理師。子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。

成田 奈緒子

発達脳科学者。小児科医・医学博士。公認心理師。子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。 1987年神戸大学卒業後、米国セントルイスワシントン大学医学部や筑波大学基礎医学系で分子生物学・発生学・解剖学・脳科学の研究を行う。 2005年より現職。臨床医、研究者としての活動も続けながら、医療、心理、教育、福祉を融合した新しい子育て理論を展開している。著書に『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春出版社)、『高学歴親という病』(講談社)、『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』(共著、講談社)、『子どもにいいこと大全』(主婦の友社)など多数。
※コラムは出版社様の許可をいただき掲載しております。当サイトの情報を転載、複製、改変等は禁止いたします。
※当サイトはアフィリエイト広告を掲載しています。
※Amazonのアソシエイトとして、てつなぎは適格販売により収入を得ています。

記事の内容がよかったら「イイね!」ボタンを押してね

管理栄養士。料理研究家。
発達脳科学者。小児科医・医学博士。公認心理師。子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。
  • このお題をXでシェア
  • このお題をLINEでシェア
  • このお題をfacebookでシェア
  • コメントを見る

コラムに関連している掲示板

  1. 子育て本
  2. 食事
  3. 子どもの知能を高める「育脳ごはん」――DHA以外に必要な「育脳栄養素」は?

ログインありがとうございます。1ポイントゲット!

ログインありがとうございます。0ポイントゲット!