子どもの知能を高める「育脳ごはん」――密かに増えている現代人の「新型栄養失調」

食事

管理栄養士。料理研究家。
発達脳科学者。小児科医・医学博士。公認心理師。子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。
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最新科学が証明。子どもの知能を高める“脂”がとれる最高の食べ物&食べ方。知能は“脳のやわらかさ”で決まる。赤ちゃんにも受験生にも効果アリ。“感情コントロール”も栄養が影響する。育脳脂の含有量がわかる!21レシピを紹介。
小山 浩子先生著書の『「賢い脳」は脂が9割 地頭のよい子をつくる「育脳ごはん」』から一部転載・編集してお届けいたします。

密かに増えている現代人の「新型栄養失調」

いつもの不調は栄養失調が原因だった?!?!

前項では、微量栄養素は不足しやすいというお話をしました。

実際に、ごく普通の食事をしていたのに、気が付かないうちに栄養失調になっていたというケースは少なくありません。

栄養失調というと、やせ細ってヨロヨロになるイメージがありますが、それは一昔前の食糧難の時代のこと。

食べ物に困らない現代の栄養失調はそれとは異なり、慢性疲労や風邪をひきやすいといった形で表れます。

つまり、心身のパフォーマンスが下がってしまうのが、現代の栄養失調の特徴。

病気ではなく、見た目もさほど変わらないため、本人もそれとは気が付かずにどんどん進行してしまうのがやっかいなところ。

最近は、「新型栄養失調」とも呼ばれています。

新型栄養失調かどうかは冷蔵庫に表れる

自分が新型栄養失調かどうかは、冷蔵庫や食品庫のなかにある食材を見れば、ある程度見極めることができます。その指標となるのが、次のような食品の分類法です。

①血や肉をつくるグループ:肉、魚

②エネルギーになるグループ:米、パン、麺

③栄養を完全にするグループ:卵、牛乳、ヨーグルト、チーズ

④体の調子を整えるグループ:緑黄色野菜、果物

この①から④のグループの食材をまんべんなくとることを、私は推奨しています。

①の肉や魚、④の野菜や果物に関しては、単品ではなく、多種多様な食材が入るのが理想的。

以前、あるテレビ番組で3歳のお子さんを持つご家庭の食生活を取材させていただいたことがありましたが、①は肉だけで「魚はいつ買ったのか思い出せない」とおっしゃっていました。

④に関しても、じゃがいもや玉ねぎだけで葉物野菜はゼロ。

その理由を尋ねたところ、「魚や葉物野菜は子どもが食べてくれないから......」とのことでした。

このご家庭のように、子どもの好きなものに偏った食事にすることで、家族全員が知らず知らずのうちに栄養不足に陥るケースは珍しくありません。

これでは育脳に重要なDHAやビタミン・ミネラル類も圧倒的に不足してしまいます。

次のチェックリストでご自身やお子さんにひとつでも当てはまる項目がある場合、ご自宅にある食材を見直してみてください。

あなたも子どももそうかもしれない・・・

新型栄養失調チェック!

隠れて進行する、新型栄養失調――次のチェック項目に当てはまるものがひとつでもあれば、その可能性あり。食生活の見直しをおすすめします。


Check!

疲れやすい。いつもだるい

髪が抜けたり爪が割れやすい

頭がいつもぼんやりとしている

すぐ風邪をひく。治りも悪い

集中力が続かない

よく寝ているのに朝起きられない

貧血がある

育脳のための栄養改善法

知らないうちに進行している新型栄養失調は、育脳の天敵です。

この落とし穴に落ちないためにも、成長期の子どもが十分な栄養をとれる食生活にチェンジしていきましょう。そのための方法を紹介します。

1

幼少期はフォローアップミルクを常備

微量栄養素のなかでも不足しがちなのが、鉄。
特に離乳期は、おなかのなかでお母さんからもらった鉄が枯渇する時期です。
そこで母乳もストップすれば、深刻な鉄不足になりかねません!
離乳食に肉や魚を混ぜたり、鉄をはじめ、幼少期に必要な栄養素を強化したフォローアップミルクを必ずとり入れていきましょう。

2

朝ごはんは必ず食べる

その日の栄養状態を決めるといってよいほど重要な朝ごはん。
朝食抜きの児童は学校給食の摂取量も減ることが分かっています。
結果、放課後にはお菓子を爆食して夕食が入らない......という状態になって、まともな栄養がとれない1日になってしまいがち。
よい食事のリズムを付け、朝から脳を働かせるためにも朝食を必ず食べる習慣を。

3

緑の野菜は冷凍でOK!

不足しがちな緑黄色野菜は、加熱や下ごしらえが必要なものが多く、忙しい人にはハードルが高い食材。
そんな場合は冷凍野菜にどんどん頼ってください。
冷凍野菜は旬の時期に収穫して急速冷凍しているため、実は栄養価が高いものが多い優等生。
冷凍ブロッコリーや冷凍枝豆を常備すれば、一気に食卓の栄養密度がアップします。

4

冷蔵庫を栄養別にコーナー分け

紹介した栄養のグループ別に、冷蔵庫にコーナーをつくりましょう。
買ってきた食材をそこに分別してみれば、何が足りないのかが一目瞭然。
常にすべてのグループに食材があるように買い足すことを習慣付ければ、自然とバランスよく栄養がとれるようになるでしょう。

著者

管理栄養士。料理研究家。

小山 浩子

大手食品メーカー勤務を経て2003年フリーに。これまでに指導した生徒は7万人以上に及ぶ。子どもの脳の成長をサポートする「育脳ごはん」を提唱。NHKをはじめ多くのメディアや講演会、著書で、簡単かつ時短の工夫をこらしたレシピとともに、脳のために重要な栄養について伝える活動も展開中。『目からウロコのおいしい減塩 乳和食』(社会保険出版社・2014年グルマン世界料理本大賞イノベイティブ部門世界第2位)、『やさしい、おいしい はじめよう乳和食』(日本実業出版社・2019年同大賞チーズ&ミルク部門世界第2位)など、著書多数

監修

発達脳科学者。小児科医・医学博士。公認心理師。子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。

成田 奈緒子

発達脳科学者。小児科医・医学博士。公認心理師。子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。 1987年神戸大学卒業後、米国セントルイスワシントン大学医学部や筑波大学基礎医学系で分子生物学・発生学・解剖学・脳科学の研究を行う。 2005年より現職。臨床医、研究者としての活動も続けながら、医療、心理、教育、福祉を融合した新しい子育て理論を展開している。著書に『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春出版社)、『高学歴親という病』(講談社)、『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』(共著、講談社)、『子どもにいいこと大全』(主婦の友社)など多数。
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