「発達障がいビジネス」への心構えと療育選びのポイント

特性のあるわが子への接し方へのヒント

発達/発育

発達障がいの子育て経験者
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「発達障がいビジネス」への心構えと療育選びのポイント

療育の選び方

「発達障がいビジネス」への心構え

私たち親子は早期療育に疑問をもっているかのようですが、そうではありません。

息子は療育が嫌いでしたが、私にとっては当時八方ふさがりの中で自治体からの助成で幼児から療育プログラムを受けられたことは非常にありがたいことでしたし、手を差し伸べていただけたご恩は一生忘れてはいけないと息子にも度々話しています。

ただ、現在は乱立と言ってもよいくらい、特別支援教育に様々な企業が参入している状況のため、目先の売り文句だけでなく、中身をよく吟味する必要があると感じます。

私もいくつか心当たりがありますが、わが子のために何とかしてあげたいという藁をもつかみたい、いじらしいまでの必死な気持ちを、甘い言葉で期待をもたせる業者も増えている気がします。

療育選びの5つのポイント

ですから、療育プログラムを選ぶ際には、本当に子どものためになるものを、冷静に選ばなくてはいけません。

そのために、経験者として5つのポイントを申し上げます。

①ゴールを決める:療育は完璧を求めずに、最低限の凹をカバーできればよし、と親が覚悟をしましょう。どこまでやったら目的達成として切り上げるか、特性のあるわが子にふさわしいゴールを決める必要があります。

②無理しない:特性のある子は長距離走を覚悟する必要があります。

闇雲にはじめると、途中で息切れしかねません。

最初に設定した時期よりも長く通いたくなる可能性もあらかじめ予測しておくとよいと思います。

③複数を比較して選ぶ:療育プログラムの費用はピンキリです。

選ぶときは、必ずいくつかの施設をまわり、地域で受けられる平均的なレベルの療育プログラムはどのくらいか、平均的な料金を知った上で、ここがわが子に合いそう、というものを選ぶことがよいと思います。

④専門家の質を吟味する:ひどいところでは療育が受けられるとうたいながら、講習を受けたこともないアルバイトのスタッフを対応させるだけの施設もあるそうなので気を付けられるとよいと思います。

⑤中身よりも人で選ぶ:どんなにすばらしいプログラムでも子どもとの相性がよくなければ効果は出ません。

子どもも保護者もどちらも信頼ができる先生、通うのが楽しみと思える先生となら、より効果が高まります。

「この人から学びたい」と思って初めてスタートできる

この中でも私が特に大切にしたことは⑤でした。

この選び方は、その後も習い事や塾選びなどにも長く使った基準でした。

何よりも大切なのは、通うことによって、子どもの世界を広げること、人間関係の幅を広げることができることです。

これだけは家の中で、親子で過ごすだけでは学ぶことができないことであり、療育機関の一番の利点だと思うのです。

療育施設とは、親以外に自分を受け入れてくれる人、困ったときに相談できる大人と出会える場所であり、人間関係づくりの第一歩を学ぶ大切な場所だと思います。

≪ 幹之佑VOICE ≫自分の話をしてくれる先生が好きだった

習い事や家庭教師の先生、療育施設で長く続いた先生は、僕と無駄話をどれだけしてくれたかという点に尽きます。

特に僕が学びたい、頑張りたいと思える先生は、僕の話を聞いてくれるだけでなくご自分の話もたくさん聞かせてくれました。

先生が何を好きか、何を考えているか、困っていること人とか、普段どんな生活をしているか、僕に心を開いてくれていると分かると、僕ももっとうまく伝えられるようになろうと思うようになりました。

ただ仕事として接するだけの先生は少し話をするとすぐ分かります。

僕たち特性のある子どもたちは本能的に本質を見抜く目をもって生まれています。

僕たちを尊重する気のない先生の話は聞こうとは思えませんでした。

PROFILE

西川裕子(発達障がいの子育て経験者) 西川幹之佑(発達障がい当事者・現役大学生)

西川 裕子・幹之佑

西川裕子 (にしかわ・ひろこ)新潟県三条市生まれ。
高校3年時に母の看病のため大学受験を断念。
母の回復に伴い、東京都内予備校の寮に入りながら受験をする。
駒澤大学法学部法律学科卒。夫は渉外弁護士の西川高幹。
2002年に長男・幹之佑が誕生。
ADHDとASD、LDの特性のある息子の子育てを通じて、元麹町中学校校長・工藤勇一先生やあいクリニック・西松能子先生、帝京大学教授・魚山秀一先生など、数々の貴重な出会を得て、特性のある子どもへの理解を深める。
現在は、発達障がいの子育てに関する講演、メディア出演などもおこなっている。2児の母。

西川幹之佑 (にしかわ・みきのすけ) 新潟県三条市生まれ・東京育ち。
幼稚園中退。千代田区立麹町中学校、英国・帝京ロンドン学園卒。
現在、帝京大学法学部政治学科在学中。ADHDとASD傾向、学習障がいがある。
麹町中学校在学中、当時校長であった工藤勇一氏に出会い、「自律」という考え方を学び人生が一変する。
自分のように苦しむ発達障がい児の役に立てることがあると考え、2021年2月に『死にたかった発達障がい児の僕が自己変革できた理由―麹町中学校・工藤勇一先生から学んだこと』(第4刷出来)を上梓。

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