「大手塾から中高一貫」はコスパが悪い……?「複雑化する受験」

重要なのは「子どもの適性」だけではない。親の経済的・時間的負担、変わる大学受験制度、首都圏で高まる小学校受験・中学受験人気…いま知っておくべき「受験ルート」を詳細に解説。

教育

受験総合研究所代表
  • このお題をXでシェア
  • このお題をLINEでシェア
  • このお題をfacebookでシェア
  • コメントを見る

問われるのは暗記力より思考力

また、30年間続いた大学入試センター試験は、2021年から「大学入学共通テスト」に改称され、中身も大きく変わりました。

大学入学共通テストでは、基本問題がメインであったセンター試験と比較して、思考力や判断力、表現力を重視する問題が多く出題されるようになりました。

センター試験が導入された1990年当時から社会は大きく変化して未来が予測しにくくなり、時代に対応する思考力や判断力が求められる時代になったことで、大学入試においても暗記偏重ではなく、思考力や表現力が重視されるようになったのです。

具体的には、数学の試験時間がセンター試験時代と比較して長くなり(数学ⅠAは60分→70分)、読解力や思考力を必要とする問題が数多く出題されるようになりました。

英語はリーディングとリスニングがそれぞれ100点ずつという、TOEICのような形式に変わり、今までの文法や読解に寄ったスタイルから大幅にリニューアルされました。

1979年に開始された「共通一次」時代と比較すると、試験で読む英単語量は約2倍にまで増加しているようです。 

こうした変化に伴い、センター試験の時代と比べて対策が大変になったという声がよく聞かれるようになりました。

負担の大きさから共通テストを忌避する動きも見られます。

実際、年内に合格が決まる推薦・総合型選抜の拡大も相まって、2021年度以降、年々共通テストの受験者数は減少傾向にあり、一般選抜忌避の流れに拍車をかけています。

日比谷はなぜ伸びているのか[高校受験のリアル]

あえて公立ルートを選択する理由

続いて高校受験を見ていきましょう。

東京の高校受験といえば、小学校受験・中学受験に参加できなかった人たちの「敗者復活戦」と捉える向きもあるようですが、その実情はどうなっているのでしょうか。

大前提として、都市部以外の地方においては中学受験の文化はなく、ほとんどの優秀層が高校受験をしています。

その道府県の各公立中学のトップ層は各道府県、各エリアのトップの公立進学校がファーストチョイスとして挙がるのです。

そもそも、日本全体まで広げて見てみると、私立中学に通っている生徒は全体の8%にすぎず、92%は公立中学に通っているのです。

そのため、「公立の小・中学校に通って高校受験」というのがほとんどの日本人が選択するルートであり、こちらが基本であると思ってください。

地方においては、その地域トップの公立進学校から難関大学(多くはその地域の旧帝大)を目指すルートがお決まりなのですが、都市部の受験生たちは、高校受験においても私立・国立の進学校や有名私立大学の付属校(大学までエスカレーター式に進学可能)などを志望することも多く、地方とはやや異なった様相を呈しています。

都市部の高校受験においては後述の中学受験同様、様々な選択肢の中から自身に合った学校を探していく必要があると言えるでしょう。

ただ、東大や国公立医学部の合格者数ランキングの上位は中学受験がメインの私立中高一貫校が占めているのが現実です。

最難関クラスを見据えるのであれば、公立ルートは分が悪いと長らく言われてきました。

しかし、2025年の東大合格者数ランキングでは東京都立日比谷高校が合格者数81人で全国5位、神奈川県立横浜翠嵐高校が74人で8位となり、公立校がトップ10に2校も入るという歴史的な年となりました。

居住地によって通学できる学校を指定する学区制が東京都で廃止されたことなどの流れを受けて「公立復権」が取りざたされており、近年は中学受験をせず「あえての公立ルート」を検討する層も増えているようです。

コスパが良いのは中学受験より高校受験

高校受験は中学受験に比べて対策期間・費用ともに少なくすみ、さらに入学後の学費も公立ルートであれば相当お得です。

金銭的・時間的なコストパフォーマンスを考えると(お子さんに最低限の内申点獲得適性があれば、の話になりますが)本ルートが最も良いということになるでしょう。

ただし、私立の小学校受験・中学受験は上記の議論とは全くの別問題として「一生に一度の学生時代を我が子に合った環境で過ごしてほしい」といった願いも関わってくるので、受験をコスパだけで論じてしまうのも違うでしょう。

我が子にどのように育ってほしいか、何を求めるのか、それを早い段階で決めることで、各家庭の方針に合うルートを選択することができるようになると考えます。

PROFILE

受験総合研究所代表

伊藤 滉一郎(じゅそうけん)

1996年生まれ。早稲田大学卒業後、大手金融機関に就職するも、人生をかけて受験と向き合うために2021年に退職。2022年にじゅそうけん合同会社(現:株式会社JSK)を立ち上げ、教育機関向けに広報支援サービスを展開する。また、高学歴1000人以上への受験に関するインタビューや独自のリサーチで得た情報を、各種メディアで毎日発信している
※コラムは出版社様の許可をいただき掲載しております。当サイトの情報を転載、複製、改変等は禁止いたします。
※当サイトはアフィリエイト広告を掲載しています。
※Amazonのアソシエイトとして、てつなぎは適格販売により収入を得ています。

記事の内容がよかったら「イイね!」ボタンを押してね

受験総合研究所代表

このコラムに関連する書籍はこちら!

  • このお題をXでシェア
  • このお題をLINEでシェア
  • このお題をfacebookでシェア
  • コメントを見る

コラムに関連している掲示板

  1. 子育て本
  2. 教育
  3. 「大手塾から中高一貫」はコスパが悪い……?「複雑化する受験」

ログインありがとうございます。1ポイントゲット!

ログインありがとうございます。0ポイントゲット!