「大手塾から中高一貫」はコスパが悪い……?「中学受験熱とともに高まる入試難度」

重要なのは「子どもの適性」だけではない。親の経済的・時間的負担、変わる大学受験制度、首都圏で高まる小学校受験・中学受験人気…いま知っておくべき「受験ルート」を詳細に解説。

教育

受験総合研究所代表
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受験は親子で疲弊するものではありません。大学卒業と就職を一つのゴールとするなら、必ずしも中学受験を検討する必要はなく、希望する大学への入学に至る「受験ルート」について親が正しく理解することが求められるでしょう。
本書では、子どもの適性だけでなく、学費や塾代など親の経済的負担、送り迎えや宿題対応等の親の時間的負担という視点で、各「受験ルート」を詳細に解説します。
伊藤 滉一郎の『小中高大受験戦略 子どもが沈まない 親が無理しない』から一部転載・編集してお届けいたします。

受験熱とともに高まる入試難度

東京の小学生3人に1人が受験する

近年、首都圏の中学受験市場はかつてない盛り上がりを見せています。

前回の中学受験の盛り上がりは、今から約20年前の2007〜2008年ごろでしたが、その直後に発生したリーマンショックによる景気の冷え込みで一気に参入者が減ってしまいます。

そこから7年ほどは受験率の低迷が続いていたのですが、アベノミクス効果で景気が回復したおかげか、2015年ごろから再び上昇に転じます。

そして2020年代に入り、20年前のピークを上回る過去最高の受験率を更新するようになりました。

中学受験塾大手・日能研の集計によると、2024年度首都圏の中学受験者数は対前年度比900人減の6万5600人と9年ぶりに減少した一方で、受験率は22.7%と、過去最高を記録した2023年度入試をさらに0.1ポイント上回りました。 

特に、東京23区に限っては受験率が30%を超えていて、小学生の約3人に1人が中学受験をしている計算になります。

子ども1人当たりの平均受験校数は6〜7校程度、そして多くの私立中学の入試倍率は3倍程度と、なかなか厳しい競争が展開されています。

全受験生のうち3人に2人が第1志望に合格できないというショッキングなデータもあります。

近年の入試では、御三家や早慶付属などの最難関校の出題が難しいのは相変わらずでしたが、中堅校や、かつては「出願すればほぼ受かる」と言われたような学校のいくつかも、非常に難度が上がってきている点が特徴的です。

そして、御三家を狙うようなトップレベルの学力を持つ子が中堅校を受験するという、一昔前にはあまり見られなかった現象も発生しています。

名門中学の人気は揺るがないものの、そこそこの進学実績を誇る中堅校や、独自のカリキュラムを提供する特色校にも人気が集まっているようです。

日本全体で見ると、私立中学に通っている中学生は全体の約8%と圧倒的少数派ですが、東京の一部地域ではそんな日本のリアルが信じられないほど、中学受験の割合が高まってきています。

特に受験熱が高い港区や文京区、中央区などではクラスの半数以上が中学受験に挑み、全体の約4割が私立中学に進学するという小学校も珍しくありません。

こうした受験熱の高まりは首都圏に限った話ではなく、関西や中部地方でも受験者数増加の兆しがあります。

このブームは今後全国に波及していく可能性も十分考えられるでしょう。

大手中学受験塾・四谷大塚の公表では、小学生や幼稚園児・保育園児が対象の「全国統一小学生テスト」の受験者数は今も増加傾向にあります。

特に小学校低学年生が多く受験していることから、今後も中学受験者は増えると予想されます。

国内の少子化は激しく進行していますが、「東京都」に限ってみると、近隣県からのファミリー層の流入も多いことから、少子化の進行速度は緩やかです。

都心の中学受験熱も、これから10年程度は続いてもおかしくないでしょう。

「入塾待ち」を避けるために低学年での入塾も

大手中学受験塾・SAPIXでは入塾者の低年齢化が進み、低学年のクラスが満員となっている校舎もあるようです。

最近では落ち着いてきましたが、2021年には港区にあるSAPIX白金高輪校が定員オーバーとなり、100人以上の入塾待ちが発生したという話もありました。 

一昔前は小4からの入塾が一般的でしたが、近年は「席が確保できなくなる」という懸念から早期の入塾者が増加しているとのことです。

SAPIX小学部のホームページ内にある「募集停止の校舎一覧」というページで校舎ごとの空き状況が確認できるので、不安な親御さんは確認しておくとよいと思います。

ただ、塾側としては小4あたりから入塾してくる優秀な生徒用の席を残しておきたいので、低学年の段階で早期に募集を締め切るという事情もあるようです。

中学受験率増加の要因としては、都市部の児童数の増加、1990年ごろの中学受験ブームを経験した世代が親世代になっていること、1世帯当たりの子どもの数が減って教育費が1人に集中投下されるようになったことなどが挙げられるでしょう。

高校受験や大学受験では、塾に通わずに学校の勉強と自宅学習のみで難関校に合格するということもたびたび起こるのですが、こと中学受験においては、塾に頼らずに合格するというのはほぼあり得ないと言えます。 勉強するのは小学生です。

大人のサポートや周囲の環境(意識の高い友人)なくしては、自発的に勉強などしないでしょう。

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