周りの教育熱に流されない!我が家だけの「潰れない」ルートの選び方

子どもが沈まない 親が無理しない 小中高大受験戦略

教育

受験総合研究所代表
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周りの教育熱に流されない!我が家だけの「潰れない」ルートの選び方

てつなぎ編集部
本日はよろしくお願いいたします。私たちが運営するコミュニティサイト「てつなぎ」のユーザーは、まさにこれから我が子の教育や受験に直面する未就学児〜小学生の親御さんがメインです。SNSを中心に圧倒的な情報発信をされているじゅそうけん先生ですが、改めて普段どういった活動をされているのか教えていただけますでしょうか。
じゅそうけんの伊藤先生
基本的には「じゅそうけん」として、受験の情報発信をメインに行っています。対象としては小学校受験から大学受験まで、「受験」と名のつくものなら全て発信しようというスタンスで、主に保護者様向けに発信させてもらっています。最近は「ミライズ」という教育系のメディアも運営しており、そこでのYouTube動画やWebのコラム記事などで、僕がいろいろと寄稿したりしています。
てつなぎ編集部
ありがとうございます。高学歴の方へのインタビューも、通算で1,000人以上行われているそうですね。
じゅそうけんの伊藤先生
元々は別の仕事もしていたり、教育業界の周辺でいろいろなことをやっているのですが、その中で知り合った人たちを取材させてもらったり、本を書くタイミングで集中的に取材を重ねたりしてきました。合計するとそれぐらい(1,000人以上)の人数になるかと思います。
てつなぎ編集部
それほどまでに受験というテーマへ深く向き合って発信をされているわけですが、先生ご自身のご経歴を拝見すると、早稲田大学を出られた後、一度は大手金融機関に就職されています。そこから安定したキャリアを辞めてまで、この受験というテーマに人生を投じようと思ったきっかけや思いはどこにあったのでしょうか。
じゅそうけんの伊藤先生
元々自分が浪人生活を経験していたり、学生時代に塾の講師をずっとやっていたりしたこともあって、自分にとってすごく思い出深い業界ではあったんです。学生時代から教育に関する本を好んで読んでいましたし、本当に好きな分野でした。

ただ、当時の大学周辺の雰囲気というか、「せっかく勉強を頑張ったんだから大企業に行こうよ」という周りの大手志向の空気や、親からの「とりあえず大手を受けろ」というプレッシャーに飲まれてしまって。最終的には銀行に就職することになりました。ただ、正直入社式の段階から「自分の進む道とはちょっと違うな」という違和感は抱いていたんです。

結局1年半くらいは働いたのですが、働きながらも、土日に副業とまではいかないまでも教育のブログを書いたりしていました。やっぱり、どうしても諦めきれない思いがずっと心の中に残っていたんですよね。「じゅそうけん」の前身になるアカウントも、実は銀行員時代にスタートさせていたものです。
てつなぎ編集部
そうだったのですね! 当時からすでに現在の活動のベースがあったと。
じゅそうけんの伊藤先生
ただ、当時は仕事としてではなく、あくまで自分が一番好きで詳しかった分野だったので、その知識をアウトプットしていただけの「趣味」でした。そうして続けているうちに、1年半くらい経った頃にはフォロワーが1万人を超えてきて。「あ、もうこっちをメインに生きていきたいな」と思うようになったんです。当時まだ25〜26歳でしたし、「挑戦するならこのタイミングしかない」と腹をくくって、思い切って銀行を辞めて起業しました。
てつなぎ編集部
非常に思い切った素晴らしい決断ですね。学生の頃から一貫して教育に興味があったとのことですが、当時から現在のような「親御さん向けの教育情報」に注目されていたのですか?

じゅそうけんの伊藤先生
当時はまだ自分も若かったので、親御さん向けの発信ということは考えていなくて、基本的には大学受験メインでした。「世の中にはこんな特色ある学校があるんだな」とか、「昔に比べてこの大学はどういう風に変化していったのだろう」といった、大学の構造的なおもしろさに興味があって始めたんです。

でも、調べれば調べるほど教育の世界は奥が深くて。探求していくうちに、対象が中学受験、さらには小学校受験へとどんどん下がっていきました。延長線上で調べていくうちに「これもめちゃくちゃ面白いな」となり、結果として対象がどんどん広がっていったという感じです。

「親が無理しない受験戦略」

てつなぎ編集部
対象がどんどん広がっていった結果が、今回の著書『子どもが沈まない 親が無理しない 小中高大受験戦略』に落とし込まれているのですね。この「子どもが沈まない、親が無理しない」というタイトルは、子育てに悩む多くの親にとって本当に理想的な言葉だと感じます。今の受験環境において、親がどうしても無理をしてしまう背景には何があるとお考えですか。
じゅそうけんの伊藤先生
特に小学校受験や中学受験において、その傾向が顕著だなと感じています。子どもが小さくてまだ親のコントロールが利く時期だからこそ、親としては「なるべく早い段階から良いレールに乗せてあげたい」という強い親心や愛情が働くわけですよね。

しかし、善意の親心でしたはずの中学受験が、実際には想像以上に過酷で熾烈な世界なんです。1年、2年と経っていくうちに、いつの間にか目先の成績だけで子どものことを怒るようになってしまう。「なんでこのテストでこれしか点数が取れないの」という叱責から始まって、気づけば教育虐待の一歩手前のような状態まで発展してしまっているケースが、取材をしていて本当に多いなと感じました。

これは親御さん側だけの問題ではなくて、心に深い傷を負ったまま大学生になっている高学歴の子たちにも何人も出会いました。「実家ではずっと勉強、勉強と言われ続けてきて、ようやく一人暮らしができて本当に嬉しい」と本音を漏らす子もいます。その子たちはみんな客観的に見れば素晴らしい高学歴なのですが、母親の存在自体がトラウマになってしまっているんですよね。親御さんとしても、長期的にそんな関係になりたくて受験を始めたわけではないはずです。

短期的な受験の成功には結びつくかもしれませんが、家族のその後の関係を壊しては意味がありません。そこはちょっと冷静にバランスを取りながら、「親子ともに無理をせず、それでも目の前の受験はちゃんと突破しようよ」というメッセージを伝えたいと思いました。取材を重ねるにつれてその思いが強くなり、今回のタイトルに繋がっています。
てつなぎ編集部
親としての愛情から、良かれと思って先回りしてやっていたことが、結果として子どもにとっては非常に重い負担になってしまっている。そういった切実な声が現場には溢れているのですね。
じゅそうけんの伊藤先生
そしてこの問題の難しいところは、親御さんも子どものことを心から愛しているがゆえに厳しくしてしまう、という点にあります。「子どもはまだ経験が浅いから、親である自分が正しい道を示してあげなきゃいけない」という強い愛情の裏返しなのですが、それが上手く伝わらず、さらに受験の過熱感によって歪んだ形で暴走してしまう。そういった現状に対して、本質的な警鐘を鳴らしていきたいと思っています。
てつなぎ編集部
私自身も、子どもの頃は親から「勉強しなさい」と言われてもなかなかやらないタイプだったので(笑)、トラウマとまではいかなくとも、反発心からあえて勉強を避けてしまうような経験がありました。やはり、過度なプレッシャーによる歪みというのは、高学歴な家庭ほど多く見られるものなのでしょうか。
じゅそうけんの伊藤先生
それは間違いなくあると思います。大きく分けると二つのパターンがあって、一つは「親御さん自身が学歴がないことで社会的に苦労をされて、『子どもには絶対に自分と同じような思いをさせたくない』という強い愛情から過剰に頑張らせてしまう」パターン。もう一つは、その真逆で「お父さんもお母さんも名門校出身で、親戚も含めて全員が高学歴」というような名門一家のパターンです。お医者さんの家系などは典型ですが、「あなたも当然お医者さんになるのよ」という無言のプレッシャーの中で、家庭全体が異常にヒートアップしてしまう。この二つのパターンが、今の受験市場を過度に過熱させている原因だなと感じます。
てつなぎ編集部
実は私たちの「てつなぎ」の掲示板でも、現在小学6年生のお子さんをお持ちで、来年の中学受験を検討されている親御さんからの切実な投稿が寄せられています。

どんなに高い塾で良い教材で授業受けたって、結局、自分次第なんだよ!!!
復習何度もやって身につけていくものなんだよ!授業受けるだけなら誰でもできるんだよ!!!
怒鳴り散らしたが、今回ばかりは後悔してない。 …
てつなぎ掲示板「怒りすぎたけど後悔してない」中受挑戦中さん・40代 より

そこでは「模擬試験の結果が思うようにいかないため、つい子どもに対して声を荒げてしまう」という声や、「夏の夏期講習の費用があまりにも高額で、経済的にかなり苦しい」といったリアルな経済面での悩みが吐露されています。

中学受験の塾ってこんなに高いの!?
月4万!?教材費10万!??
これ…夏期講習とか合わせたら、2年間で150以上だな…
やれんのか!?息子よ!
いや、私ら親よ!!!! …
てつなぎ掲示板「塾代を見て白目」匿名さん・40代 より

先生の著書(子どもが沈まない 親が無理しない 小中高大受験戦略)の中でも、単に子どもの適性だけでなく、親の経済力やかけられる「時間」といった家庭全体の持続可能性に焦点を当ててお話しされていますが、中学受験に挑むにあたって、親の年収や共働きといったライフスタイルの面で、一体どれほどの「覚悟」や条件が必要になるとお考えですか。
じゅそうけんの伊藤先生
客観的な事実として、僕は長年中学受験を経験した人たちの「その後」を追跡していますが、受験というものは、投資した金額に対して確実なリターンが見込めるような甘いものではありません。

例えば、中学受験に4年間で1,000万円を注ぎ込んだからといって、将来東大に入れるかといえば、ほとんどのケースで入れないわけです。非常にシビアな現実ですが、高額な夏期講習をどれだけ詰め込むかということよりも、本人が元々持っている地頭や素質、勉強への適性の方が合格には圧倒的に大きく影響します。

それにもかかわらず、「これだけの大金を投資してあげたんだから、子どもにはそれに見合う結果を出してもらわないと困る」という精神状態に親御さんが陥ってしまうから、家庭内が暴走してしまうわけです。「一体誰のおかげでこれだけ高い塾に行けていると思っているんだ」というような感情が湧いてしまう。

ですから、中学受験に挑むのであれば、親としては「自分たちが半分自己満足で、アイドルの推し活と同じようにこの子に投資しているんだ」くらいの割り切った認識を持つべきだと思います。お金の見返りを子どもに求めない、という意識を持つだけで、親の心は驚くほど楽になるはずです。

てつなぎ編集部
親の目的の根底が、「これだけ投資したのだから、成果を出してくれないと困る」というリターンを求める発想になってしまうと、親子ともに行き詰まってしまうということですね。
じゅそうけんの伊藤先生
他の一般的なビジネスや金融の投資であれば、「リターンが見込めるからこそ資金を投じる」という判断が正しいですが、こと教育投資に関してはその法則は通用しません。極端な話、親が1億円をかけたとしても、子ども本人にまったくやる気がなければ名門校には受かりませんし、逆に子どもが本当に勉強好きであれば、古い参考書だけを使って、ほとんどお金をかけずに合格していくケースだってあるわけです。

結局のところ、合否はお金の額に比例するものではありません。しかし、今の受験市場では「お金をかければかけるほど、我が子は優秀になり、報われるはずだ」と勘違いしてしまっている親御さんが非常に多い。そこは明確に「それは違うよ」ということをお伝えしていきたいです。
てつなぎ編集部
先生がこれまで相談を受けたり取材をしてこられた中で、そのように「お金をかければ報われる」という罠に陥ってしまっている親御さんは、全体のどれくらいの割合を占めていると感じますか。
じゅそうけんの伊藤先生
家庭内が完全に崩壊するほどヒートアップしている家庭は全体の1〜2割程度ですが、「これだけのお金を工面しているのだから、ある程度の結果を出してくれないと割に合わない」とうっすら心の中で思ってしまっている親御さんを含めると、全体の半数は軽く超えていると思います。

実際、中学受験の塾費用はものすごく高額です。小学4年から6年までの3年間で、300万〜400万円は普通にかかります。しかも、今の受験生の家庭の大半は、ごく普通のサラリーマン家庭です。決して余裕があるわけではなく、手取りが少ない中で生活を切り詰めて受験費用を捻出しています。例えば世帯年収1,000万円の家庭だとしても、税金や社会保険料が引かれれば、実際の手取りは700万〜800万円程度になりますよね。その限られた手取りの中から、子どもが小学6年生の最高学年になった時期には、年間で150万〜200万円近くが塾費用として引かれていくわけです。住宅ローンなどを抱えながらこの出費に耐えるとなれば、親側の精神状態がピリピリして心の余裕をなくしてしまうのは、ある意味で当然のことだとも言えます。

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