【掲示板の声×公認心理師】離婚は子どもにどう影響する?(第2回)共同親権で何が変わる?養育費・面会交流を考える

共同親権で何が変わる?養育費や面会交流をめぐる現実、離婚後の親子関係、親自身の孤独感や罪悪感との向き合い方について、 公認心理師が掲示板の声をもとに解説します。

夫婦関係

公認心理師
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【掲示板の声×公認心理師】離婚は子どもにどう影響する?(第2回)共同親権で何が変わる?養育費・面会交流を考える

「離婚したい。でも、子どものために我慢したほうがいいのだろうか。」

第1回では、そんな親たちの揺れる気持ちや、離婚が子どもに与える影響について、公認心理師の田村俊作先生にお話を伺いました。

では、実際に離婚という選択をしたあと、親子の関係はどうなっていくのでしょうか。養育費はきちんと支払われるのか。子どもは別れた親と会い続けられるのか。そして、2026年4月から始まった「共同親権」によって、何が変わるのでしょうか。

離婚を考えるとき、気持ちの問題と同じくらい大きいのが、離婚後の生活や親子関係への不安です。

養育費が支払われない現実、面会交流をめぐる葛藤、離婚後の親自身の孤独感や罪悪感。第2回となる今回は、共同親権・面会交流・養育費をテーマに、離婚後の親子関係をどう守っていくのか、公認心理師の田村俊作先生にお話を伺いました。

共同親権・面会交流・養育費|2026年改正民法で何が変わるのか

養育費が払われない現実|共同親権で何が変わるか

てつなぎ編集部
「子どものために離婚しない」という選択をする親がいる一方で、離婚した後の「親子のあり方」をどう守るか、という問題もあります。 養育費は払ってもらえるのか。子どもと会えなくならないか。離婚を考えるとき、頭の中をぐるぐるするのはそういうことだったりしますよね。 DVや虐待があるケースへの懸念などさまざまな意見がある中で、2026年4月から始まった「共同親権」という制度を、"子どもへの影響"という視点で田村先生と一緒に見ていきます。 日本では、離婚するとどちらか一方の親と暮らし、「もう一方の親とは会えなくなる」というイメージが根強くあります。離婚がシングルマザーにとって「全部一人でやる」ことを意味し、子どもにとっては「片方の親を失う」ことになりがちな現状。「共同親権」という制度は、その現状を少し変えるきっかけになるかもしれません。

わたし、今年の6月に離婚しました。(離婚理由はパパ活不貞)
そのときに養育費の取り決めもしっかり行いました。
にも関わらず、養育費がすでに滞っておる。
離婚してまだ数か月。いうたら離婚ルーキーなわけで。いきなり「養育費払いません!」を切られても。困る。
(離婚して半年も経っていないのにこのザマだよ / 2025年6月に離婚した人 さん / 30代)

📘 編集部注:共同親権(2026年4月1日施行・改正民法)
父母が協議で「単独親権」か「共同親権」かを選べる。協議が整わない場合は家庭裁判所が「子の利益」を基準に判断。DVや虐待のおそれがある場合などは必要的に単独親権。既に離婚済みの方が変更する場合は家裁への申立てが必要(自動変更ではない)。また、取り決めがなくても子1人月額2万円を基準に暫定的に養育費を請求できる「法定養育費制度」も新設された。
参考: 法務省 民法改正概要

てつなぎ編集部
養育費が支払われない。これは多くのひとり親が直面する現実です。厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」では、養育費を現在も受け取っている母子世帯は28.1%に留まっています。ただ、共同親権によって、男性側の意識も変わってくるんじゃないか、という期待の声もあるみたいですね。
田村先生
そうですね。共同親権ができたことで、例えば養育費を払わない男性にも、「ちゃんとやらないといけない」という意識が働くのかなっていうのが、自分の印象です。今回の法改正で「法定養育費制度」もできて、取り決めがなくても養育費を請求できるようになったので、そういった部分の縛りをあえて作ったのかなっていう印象もあるし。 シングルになったことで、子育てやお金の面で苦労されてる家庭はいっぱいいるんだろうなっていう意味でも、共同親権ってやっぱり必要だとは思うんですよね。
てつなぎ編集部
カナダやアメリカなど欧米では、離婚しても両親が子どもと関わり続けることが一般的ですよね。日本はまだそこが遅れてるなと感じています。日本で共同親権ができたことは、一つの大きな一歩なのかもしれないですよね。
田村先生
そうですよね。海外ってもうちょっと、共同親権っていう考え方が強くて、アメリカなんか特にね。子どもたちの成長をお互いに見ていくことが当たり前になってるけど、日本はそこら辺が遅れてるところでもあるから。意識としてもとても大事なところなんだろうなとは思います。

面会交流は誰の権利か|親の権利ではなく子どもの権利

田村先生
まず、よく勘違いされるのが「面会交流」。例えば「別れた親に子どもが会う」権利なんですけどね。これ、誰の権利かご存知ですか?
てつなぎ編集部
親の権利ですか?
田村先生
いや、これ、子どもの権利なんですよね。それって勘違いされやすいじゃないですか。例えばよくあるケースが、「元旦那さんのことが嫌だから子どもに会わせない」とかっていうのは、この面会交流に反した行為なんですよね。 子どもがもっと守られるべきなのに、「親の感情と行動によって、子どもが養育者(一緒に暮らしていない親)に会えなくなる」っていう図式があるから。共同親権には、「子どもが両親に会いやすくなる」という意味も含まれているんだろうなとは思います。
もちろん、虐待だとか、そういった部分はまた別の話になるかもしれないけど。別れたとしても、子どもがちゃんと父親なり母親に会える権利っていうのが面会交流権なんだけど、それを親の判断で阻害することの例ってたくさん聞くじゃないですか。
「面会交流は子どもの権利」、この一点をはき違えちゃうのは良くないなっていつも思っていたから。今回の共同親権で、そこが改めて注目されてよかったとは思いますけどね。
てつなぎ編集部
「子どもの権利」っていうところに焦点が当てられているということでしょうか。
田村先生
そうだと思います。親が離婚したとしても、子どもが、お互いの親に会いやすくなる条件になって、それが法律化されたってところなのかなと思います。
てつなぎ編集部
「面会交流は子どもの権利」。知らなかった、という方もいるかもしれません。 たとえばイギリスでは、子どもに関わる重要な決定の場面で子ども自身の気持ちを聞く「アドボケイト」(子どもの声を代わりに届ける専門職)という制度もあります。日本でも、離婚をめぐる制度や社会の動きは、今後も少しずつ変わっていきそうですね。

📘 編集部注:アドボケイト(子どもアドボケイト)
子どもの声を聴き、意見表明を支援する専門職。イギリスでは児童福祉の分野で制度として定着している。日本でも2024年4月施行の改正児童福祉法により、児童養護施設や一時保護施設での子どもの意見を聞く仕組みが盛り込まれた。
参考: 東京都「子供アドボケイトの在り方について」

離婚後の親子関係と親のメンタル|子育て・罪悪感・虚無感とどう向き合うか

離婚しても、子どもにとって親は親|気にかけ続けることが大事

てつなぎ編集部
「離婚で母と子、あるいは父と子だけになったとき、子どもにとって安心できる大人が減ってしまうのでは」という不安もありますよね。離婚後の親子関係について、どう考えますか?
田村先生
離婚したとしても、子どもにとって親というのは絶対変わらないんですよね。お父さんもお母さんも基本的に関わっていくだろうし。なのでそこら辺は変わらないのかなと思います。
だからこそ、離婚後も両親2人が子どもにとって安心できる存在であれば、離婚したからと“安心できる大人”をわざわざ増やす必要もないし。じじばばでもいいだろうしね。
「落ち込んでないかな」「一人で寂しくさせてるんじゃないかな」ってね、親自身が子どもの気持ちをちゃんと理解してあげて認識していることが大事じゃないかなと思います。
てつなぎ編集部
そうですよね。親が離婚しても、その子にとっての親は親、それは変わらないですもんね。ただ日本では離婚後に片方の親との関わりが薄れがちで、そこを難しくさせてたんですよね。共同親権によって「関わり続けること」が制度として担保されるようになったのかもしれませんね。

離婚後の親のメンタル|安堵感・燃え尽き・孤独感・虚無感

てつなぎ編集部
これまで、離婚が子どもへ与える影響についてお話を聞いてきましたが、離婚による親自身の心の状況も気になるところです。てつなぎでは、離婚後の心境に関してこんな投稿がありました。

やっと年末までやってこれました。別れてどうなるかと思いきや、
もともと夫は戦力ではなかったからか意外とやっていけることに安堵した2025年でした。
しかしまだ離婚したことは職場の人以外には言えていない。
少しずつ、自分の中で消化できたらいいなと思いつつ、来年を迎えます。
新人シングルマザーぼやきでした
(シングルマザー1年目 / ゲンタマイシン さん / 30代 / 京都府 / 子4才)

「意外とやっていけた」という安堵と、「でも職場以外には言えない」という孤独感が、にじむ投稿だなと感じました。離婚後の心境は、一言では言い表せないものがありますよね。掲示板には、こんな投稿もありました。

この先誰とも暮らしたくない、誰かを好きになると距離を詰めたくなっちゃうし、
相手を追い詰めてしまいそうで怖い、母親との関係が良くなくてそれを元旦那は理解してくれなかったとか…
すごく分かる…
私も、結局誰と暮らしても同じなんだろな。だから1人になりたいんだろな。
(我が家は仮面夫婦 / 匿名 さん / 40代)

「誰と暮らしても同じ」という言葉には、結婚生活というもの自体に疲れきった何かが滲んでる気がします。離婚後に親自身のメンタルが落ち込みやすいタイミングや傾向はありますか?
田村先生
一旦「やっと終わった」っていう“安堵感”が来るんじゃないですかね。あとは、「やり切った」感の“燃え尽き”だったりとか、「もう誰とも暮らしたくない」っていう“孤独感”とか。そういった感情が、離婚後三ヶ月から半年くらいのタイミングで出てくることが多いんじゃないですかね。 一方で、実際にこの選択で正しかったのかなっていう“虚無感”も、子どものために本当にこれで良かったのかなっていうところを考えた時に、ふと生まれてくるのかなと思います。
てつなぎ編集部
その虚無感や孤独感と、どうやって向き合っていけばいいんでしょうか?
田村先生
離婚を経験したお母さんには、安心して話せる人や頼れる人が必要なんだと思います。今離婚する人って増えてるから、割と離婚という状況をネガティブじゃなくてポジティブに受け入れてくれる人は多いのかなとは思いますけどね。

離婚後の罪悪感・後悔とどう向き合うか

てつなぎ編集部
ふと振り返ってみて、子どもにとってどうだったのかと、自分が離婚したことを責めてしまう時もありそうです。そういった自分も、時間とともに受け入れられるようになってくるものですかね。
田村先生
受け入れられるようになると思いますよ。個人差はあるけど、カウンセリングやるなりとか、そういった場を持つことも大事かなと思いますし。
世代間の連鎖(親の関係パターンが子の世代に繰り返される傾向)もあるだろうからね。自分の親もこうだったんだろうなっていうところに気づくことが、受け入れられるきっかけになることもあるから。
てつなぎ編集部
「自分の親もそうだったんだ」と気づくこと。それが、自分を責め続けることをやめる入り口になることもあるのかもしれませんよね。
自分一人の失敗じゃなく、もっと長い流れの中にある話だと思えると、少し楽になれるのかもしれません。

「正解の家族」はないからこそ|揺れながら、考え続けることの意味

てつなぎ編集部
離婚を真剣に考えている人、すでに離婚した人、今もモヤモヤしながらも結婚生活を続けている人。みなさんに伝えたいことがあるとしたら、どんな言葉になりますか?
田村先生
“家族の形”って正解がないからね。「これが正解」だとか、「世間ではこれが認められてる」っていう基準で選ぶと、ちょっと苦しくなったりするのかなとは思うし。
例えばモヤモヤしながらも婚姻関係を続けてる人も、その時の自分や子どもを守るために必死に出した結果なんだろうなとは思いますから。それはそれで、その時すごく頑張った証拠なんだろうなとは思います。だから、どんな選択であれ、ご本人とお子さんにとってプラスな選択が得られるのかなと思いますね。
一人で抱え込まないで、いろんな専門家に相談したりとか、離婚を経験した人も周りに増えてきているから、そういう人に「離婚ってどうなの?」って聞いてみるのも一つだし。ゆっくり歩んでいってもらえばいいのかなと思います。
自治体には、子ども家庭支援センター母子父子相談という窓口が必ずあるので、そういったところに相談してみるといいのかなと思います。
離婚の専門相談もありますよ。家庭裁判所にいた相談員さんが担当して、手続きの仕方だったりとか、離婚後の生活とか、そういった相談を受けてる場所が自治体には必ずあるので、困った時は一度相談してみることも大事かなと思います。
てつなぎ編集部
今迷っている方、離婚を経験した方、我慢して続けている方へ。この記事が、少しだけ呼吸のしやすい場所になれたら嬉しいです。
田村先生、本日はありがとうございました。

この記事を読んで、どう感じましたか?
養育費が途絶えてしまった不安。面会交流をめぐる葛藤。離婚後も続く子育ての責任や、ふと訪れる孤独感や罪悪感。てつなぎ掲示板には、こうした答えのない問いに向き合いながら、日々を過ごす親たちのリアルな声が寄せられています。
あなたが今抱えているその気持ちも、どこかで同じように悩む誰かの支えになるかもしれません。 ▶ 掲示板で「離婚」にまつわる声を読む・投稿する

相談できる場所 ・子ども家庭支援センター(各自治体)
・自治体の母子父子相談窓口
・自治体の専門相談(家庭裁判所経験者による手続き・離婚後生活相談 など)
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法律・医療・専門的なアドバイスを提供するものではありません。具体的なご事情については、専門家にご相談ください。
PROFILE
公認心理師。教育現場でのカウンセリングを中心に、中学校や行政機関、地域の相談窓口などで子ども・保護者・大人の支援を行い、スクールソーシャルワーカー、精神保健相談員としても活動。教育・福祉・保健医療・メンタルヘルスの現場を横断的に経験し、現在は都内の学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)でスクールカウンセラーとして活動中。

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