すべての親子に“圧倒的な主体性”を!――「やってみたい!」がすべての原動力
子どもの内発的動機を社会につなげ、自己決定力とやり抜く力を循環させる5つの成長循環メソッドを体系化したことです。そして、この独自メソッドを家庭で再現できる形に落とし込み、子どもが自ら考え行動し、失敗さえ次のチャンスへ変える「圧倒的な主体性」を育む道筋を示します。
しつけ/育児
これからの時代を生きる子どもたちにとって、最も必要なのは「自ら問いを立て、解決策を形にする力」です。本書では、子どもの知的好奇心を刺激し、社会と繋がる喜びを教える「10歳からの起業家教育」のメソッドを公開。親子で楽しみながら、未来を切り拓く強さを育むための具体的なアドバイスが詰まっています。
森博樹先生の著書『子どもの「好き」を「生きる力」に育てる 親子ではじめる 10歳からの起業家教育』から一部転載・編集してお届けいたします。
第1節「やってみたい!」がすべての原動力
内発的動機に火をつける3つのスイッチ
「宿題やったの?」
その声に、お子さんは生返事。
しかし数分後、気づけばゲームの画面に、まるで別人のような集中力で向き合っている・・・・・・。
テストの点数のために机に向かう姿はどこか義務的なのに、自分の「好き」が相手となると、時間を忘れて熱中する。
この驚くべきエネルギーの差は、小学生のお子さんを持つご家庭なら、誰もが一度は目にしたことのある光景ではないでしょうか。
この、誰に言われるでもなく内側から湧き起こるエネルギーの源泉こそが、「3つの力」の1つ目、「内発的動機」なのです。
内発的動機とは、外部からの報酬や強制ではなく、自分自身の内側から湧き上がる「面白い!」「もっと知りたい!」「やってみたい!」という純粋な気持ちによって行動が促される状態を指します。
しかし、大切なのは、その内発的動機を絶やさず、大きく燃え上がらせる方法を知ることなのです。
心理学者のエドワード・デシとリチャード・ライアンの研究でも、人が主体的に学び成長し続けるためには、その行動の燃料となる「内発的動機」が不可欠だと示されています。
では、どうすれば家庭でその燃料に点火し、パワーを引き出すことができるのでしょうか。
鍵となるのは、「①自分で選ぶ」「②できた!を実感する」「③安心して挑戦できる」という3つのスイッチです。
これらのスイッチが入ることで、子どもたちは「やってみたい!」を原動力に、自ら考え、行動し、困難をも乗り越える「圧倒的な主体性」を育み始めます。
スイッチ①:「やらされる」から「自分で選ぶ」へ(自律性)
内発的動機の最初の火花は、「自分で選び、自分で決める」という感覚、すなわち「自律性」から生まれます。
これは、起業家が自ら課題を見つけ、解決策を創造する「当事者意識」の根源となる力です。
私たちが運営する学童保育型アントレプレナーシップ育成スクール「キンダリーインターナショナル」(以下、キンダリー)では、この「自分で選ぶ」機会を意図的に数多く設けています。
例えば、小学生1・2年生の「プロジェクト型学習」。
子どもたちは「工務店」「洋服屋」「劇団」といったプロジェクトの中から、自分の興味のあるものを選びます。
さらにその中で、「校舎のどんな不便を解決するか?」「どんなデザインにするか?」「どんな物語にするか?」といった具体的な内容まで、自分たちで決定していきます。
この「自己選択」の瞬間こそが、内発的動機に最初の火を灯すのです。
自分で選んだテーマだからこそ、「もっと深く知りたい」「これを自分たちの手で形にしたい」という内側からの強い意欲が湧き上がります。
これはまさに、起業家が持つべき「オーナーシップ(当事者意識)」の萌芽と言えるでしょう。
もちろん、保護者の皆さんにとって、子どもに「自分で選ばせる」ことは、ときに不安かもしれません。
「間違った選択をしたらどうしよう」「遠回りになるのでは」という親心は痛いほどわかります。しかし、思い出してください。
大切なのは「正解かどうか」ではありません。
「自分で選んだ結果はどうだったか」を子ども自身が感じ取り、そこから学ぶ経験こそが、子どもの「やってみたい!」という気持ちの炎を大きく育てるのです。
スイッチ②:小さな「できた!」が自信のエネルギーになる(有能性)
内発的動機の炎をさらに大きく燃え上がらせるのは、「自分にはできる」という感覚、すなわち「有能性」です。
これは、起業家がアイデアを形にし、社会に価値を生み出す上で不可欠な「自己効力感」の土台となります。
キンダリーの「プロジェクト型学習」や「起業家になろう!」プログラムは、この有能性を生み出す「仕掛け」に満ちています。
例えば、洋服屋プロジェクトでは、初めて針を持つ子が、練習を重ねてまっすぐ縫えたとき。工務店プロジェクトで、設計図通りに木材が組み上がったとき。
一つひとつの小さな「できた!」が、子どもたちの内側に「自分にもできるんだ!」という確かな感覚、すなわち「やればできる!」のマインドセットを築き上げます。
そして小学3年生から取り組む「起業家になろう!」では、自分たちのアイデアで誰かの「不便」を「便利」に変えたり、誰かを「笑顔」にしたりする瞬間に立ち会います。
「自分たちのアイデアで、社会に価値を生み出せた!」という大きな「できた!」は、子どもたちの有能性を飛躍的に高めます。
これは、起業家が味わう「顧客への価値提供」の喜びそのものです。
この「できた!」の積み重ねが自信というエネルギー源になり、「次はもっと難しいことに挑戦したい」という次の「やってみたい!」へとつながっていく。
この好循環こそが、「はじめに」で述べた「成長循環メソッド」の心臓部なのです。
スイッチ③:「ひとりで頑張る」から「仲間と挑戦する」という安心感(関係性)
内発的動機は、他者との「関係性」の中でさらに大きく、深く、そして強くなります。
他者とつながり、自分の存在が認められているという安心感は、子どもたちが失敗を恐れずに挑戦するための重要な土壌となるからです。
起業という行為が、決して一人では成し遂げられないように、子どもの挑戦にも仲間との協働は欠かせません。
キンダリーでは、入室時に「Today's Feeling」というユニークな取り組みを日課にしています。
子どもたちはまず、様々な感情が描かれたイラストの中から今の自分の気持ちに一番近いものを選び、その理由を一言で共有します。
これはEQ(感情知性)を育むための大切な時間です。
例えば、学校やお友だち関係で生じた少しイライラした気持ちを共有することで、「自分だけじゃないんだ」と感じ、スタッフからは「何があったの?」と感情を整理する手助けを得られます。
自分の感情を安心して共有できる場があることで、子どもたちは互いへの信頼を深めます。そして、一人では躊躇してしまうような挑戦にも、「ここでならできるかも!」と踏み出せるようになるのです。
このように、「自分で選び(自律性)」、「できた!を実感し(有能性)」、「仲間と安心して挑戦できる(関係性)」。この3つのスイッチがONになることで、内発的動機のエンジンは力強く回り始めます。
続く節では、このエンジンから生まれたエネルギーを、具体的な行動に変える力、「自己決定力」と「やり抜く力」へどう繋げていくのかを詳しく見ていきましょう。
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