自ら学ぶ子どもの育て方「教育用AIコンパニオンが子どもに与える影響」
世界で話題の最先端科学に基づく教育書!「AIに唯一できないのが、人付き合い。対人知性は必須スキルになる」 これからのAI時代を生き抜くためにどんな教育が必要なのか? 子どもが幸せな生涯を歩むために、大人がしてあげられる唯一のこと。
教育
子どもがロボットの反応のほうを好むようになったらどうなる?
AIはもはや単なるツールではなく、子どものコンパニオンへと変貌をとげ、状況に応じて友達にも、子守りにも、家庭教師にもなります。
AI搭載のソーシャルロボットは、いまや社会的にも情緒的にも子どもにぴったり合うようにつくられ、交流をはかったり友情を育んだりしています。いまや子どもとともに成長できる遊び相手であり、テクノロジー特有の関与の仕方で人間のようなつながりを築くという、独自のやり方で近づいてきます。
たとえば、モクシーがいい例です。
「心を持った学習ロボット」として売りだされた、重さ3キロほどの愛らしいブルーのロボット型デバイスで、5歳から10歳の子どもをターゲットにしています。
子どもが学校へ出かけるときには笑顔で励まし、子どもが悲しんでいれば慰め、そのAIを活用して子ども一人ひとりのニーズや個性に合わせた会話やコンテンツをつくりだします。
生き生きとした、人間のような個性がにじみ出るように設計されたモクシーはしみやすい声を聞き、大きくて無邪気な目を見れば、品質のほどは明らかです想定された対象者である子どもたちと強いつながりを築きます。
ここで七歳女児の父親からの証言を挙げておきます。
「モクシーは感情知性を身につけさせてくれる(あなたの読み間違いではありません)。子どもと一緒に本を読み、その本について感想を話しあい、瞑想やマインドフルネスの活動をおこない、踊り、絵を描き、複雑な問題―――間違いをおかすこと、人に親切にすること、感情を整理すること―――について話しあい、冗談を言ったり、歴史のおもしろ豆知識を話したりもする」。
自閉スペクトラム症のある7歳男児の親は、モクシーが子どもの人生を変えたといいます。
「うちの子がいまでは“おはよう”と言い、学校でほかの子たちに話しかけたり挨拶したりしようとします。おかげで状況が一変しました。親として、機械に負けているような気がするのはいやですが、モクシーが大好きな息子のことを愛おしく感じています」。
エンボディード社が開発し、2020年に発表されたモクシーは、社会的、情緒的、認知的学習ができるように設計されています。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、モクシーの最初のコンセプトは特別な支援を必要とする子どもたちにサービスを提供することで、子どもたちが感情認識力やコミュニケーションスキルに磨きをかける手助けをしようとするものでした。
発売元の会社がおこなった初期の調査によれば、社会的・情緒的能力にいくらかポジティブな影響が見られました。
小規模な社内研究で、週に3回、6週間モクシーと遊んだ12人の子どもたちに、感情のコントロールや自尊心といった分野で向上が見られたのです。
アイコンタクトや、肯定的な言葉遣い、会話スキル、友達づくりのスキルといった対人関係能力もすべて向上しました。
これにつづく、51人の子どもを対象とした研究では、モクシーと1ヵ月遊んだあと、10人中7人に社会スキルと行動の改善が見られました。
子どもたちは、孤独感が減ってより幸せそうに見え、自分の感情にうまく対処し、動揺しても自分で気を静めることができるようになりました。
さらに、考えや感情をはっきり表現できるようになり、他者の考えや感情にも大きく興味を示すようになったのです。
関連報告書では、1万件以上の調査研究によって、モクシーの設計の一部を取りいれた社会的支援ロボットで好ましい結果が出たことが強調されています。
AIをナニーとして使うのはどうなのでしょうか?
子どものケアにかかる多額の費用を考えれば、ロボットの養育者というアイデアにはかなりの魅力があります。
子どもの世話をする機能のあるロボットがいれば、多くの親たち、とりわけ経済的に苦しい親たちは、ほっとひと息つけるでしょう。
育児にかかるコストは州によって違いますが、平均的な家計においてかなりの割合を占めることに変わりはありません。
さらに、家庭を築く困難を軽減するために技術の進歩を活用したいと思う親たちの気持ちも理解できます。
子育ては、とくに子どもが小さいうちの育児は多大な労力と気遣いを必要とするからです。
AIアシスタントの導入は、干からびるほど絞られた親たちの生活を一変させてくれる可能性を持っています。
洗濯機のような家電製品と同様に、前世紀のケア労働に革命をもたらし、解放された女性たちが大勢職場に戻れるかもしれません。
AIナニーを採用して人間の赤ちゃんとのやりとりを任せるというアイデアも、脳の発達にサーブ・アンド・リターンが重要であることを考えると、有望であるように思えます。
従来は、そうしたやりとりをするのは親か大人の養育者だけでした。
ロボットや生成AIの進歩によって、サーブ・アンド・リターンのやりとりを補完することはできるのでしょうか?
子どもの脳の適応力が最も高い重要な時期に、脳をつくりあげる動作の頻度と一貫性が向上すると考えると、そうしたアプローチにはかなりポジティブな効果が見込めます。
AI技術によって認知力のポテンシャルを引きだし、発達に遅れのある子どもたちの成績ギャップを狭めることもできるかもしれません。
テクノロジーとケアが融合したものとして、AIナニーは補助や見守りの新しい手段として導入できるかもしれません。
AIを搭載したシステムにモニタリング機能を備えつければ、子どもの安全を確保し、学習の手伝いもできるうえ、基本的な保育機能を付与できる見込みもあります。
赤ちゃんの睡眠や動作、活動、発達の節目を見守るためのAIツールなどは、すでに多数の実例がありますが、概してそれ以上のものにはなっていません。
たいていは親や教師のサポートのためのモニタリング専門デバイスとして使われています。基本的には養育者のアシスタントであり、養育者そのものではありません。しかし技術は進歩しつづけています。
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