心理カウンセラーが伝える!内発的動機づけの秘密

実の娘との関係に悩んだ自身の経験から、同じような悩みを持つ母親世代に向け、母娘関係を良好に保つための秘訣をお伝えします。 特に、心理カウンセラーとしての知識と医師としての知見を活かし、日常生活での具体的な行動や言葉の重要性に着目、実践の方法をわかりやすく紹介します。

親子関係

心理カウンセラー。メンタルトレーナー。医療法人英仙会理事。
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母も娘も、心の奥では大切に思っているのに伝わらない…。その壁をやさしく超えるのが“言葉の魔法”。
今すぐ実践できる魔法のフレーズをわかりやすく具体例でご紹介。
松谷 英子先生の著書『母と娘の関係を変える魔法の言葉術』から一部転載・編集してお届けいたします。

※コラムは出版社様の許可をいただき掲載しております。

内発的動機づけの秘密

やらされる子からやりたがる子への変身法

自分で決めたことだからやってみよう
自分のペースでいいんだよ

もしあなたの周りに「やらされている感」がある人がいたらどう感じるでしょう。

そのような人になりたい、とは思わないですよね。

「やらされている感」がある人は日常的にやりたくない行動をしているため、感情を抑え込み、我慢し続けています。

そのため被害者意識が体中にしみついてしまいます。

期間限定の3カ月や、半年であれば心や体が壊れなかったとしても、何十年も「やらされている感」で過ごせば、心身のバランスが崩れ、心(性格)が歪んでしまいます。

[性格が歪む3つのパターン]

①自分を責める••• 自己肯定感が低くなり、自分を粗末に扱う。
頑張る方向がズレているため、「自己犠牲型」になる傾向が多い。
見た目もいつも疲れている。優しい人に多い。

②他人や環境のせいにする••• 今の自分は、今までの自分の選択の結果であることを認めることができず、「私は悪くない」と他人や環境のせいにする「責任転嫁型」。
自分勝手な人、成育歴で愛されている感覚が乏しい人に多い。

③見て見ぬふりをして認めない••• 問題から無意識に逃げ、責任を負わない。
自分を無関係の位置に置くことで自分を守る。
仕事でもプライベートでも「やり過ごす」ことに集中するクセがついているため、薄情に見える。
高学歴、プライドが高い人に多い。

日頃から、子どもの言葉や行動をよく見て、娘の精神が歪まないように自分の人生は自分の責任で切り開いていくのだと伝えなくてはいけません。

我が家は子どもに「一流を見せること」に重きを置いています。

仕事も一緒ですが、人は初めて見て感じたものがその子の感性として潜在意識に植えつけられるからです。

私は陶芸や絵画が好きなので、子どもが赤ちゃんの頃から私の趣味につき合ってもらっていました。

美術館の年間スケジュールを調べ、多いときは月に3か所、大阪、京都、兵庫県まで足を運び、世界の名画を一緒に観たものです。

私はラファエロの「小椅子の聖母」が大好きで医院にも飾っています。

家族で本物の絵を観にイタリアのフィレンツェまで行ったこともあります。

幼い頃の娘は、絵画の前をまるで公園を歩くように素通りするときもありましたし、音声の説明を聞きながら熱心に観るときもありました。

娘と美術館に行ったときの忘れられない出来事があります。

キリストが処刑され、誰かに抱きかかえられている1枚の絵の下で、5歳の我が娘が絵を見上げて泣いているのです。

「この絵は一生忘れられへん」と、30分ほどその場から離れませんでした。

娘は3歳児から「幼児の皮をかぶっている老人」と言われるほど、書や絵に長けていました。

そこで私は書道教室を探して通わせたところ、4歳で始めて18歳の今も継続しています。

子どもの才能を伸ばす習い事を選ぶときの私のこだわりは、「先生の人間性と子どもとの相性」です。

愛情深く、物事を大きな視野で見て、常識にとらわれない性分を備え、娘を大好きでいてくれる人です。

このこだわりは習い事を続け、才能を磨くときにとても重要な要素です。

人は愛し愛されている人のそばにいることで、たとえ同じことをしていても、成長度合いに大きな差が出るからです。

そして習い事などの最終決定は、子ども自身に委ねてください。

同時に必ず、自分で言葉にしてもらうことが大切です。

「私はA先生のところでBをしたい」と子どもが決めたときは、「そうなんだね。A先生のところでBをすることはママも大賛成だよ。これからが楽しみだね!だって、Bは○○ちゃんにとって得意な分野だからワクワクするね」と返しましょう。

本人の口から言葉にして言ってもらうことで「自分で決めたこと」と自覚してもらうことが大切です。

自分で決めたことだからやってみよう
自分のペースでいいんだよ

書道を10年ほど続けた娘が「やめたい」と言ってきたことがありました。

私は「そうか、わかった。だってもう10年も続けているもんね。10年も続けてきてすごいよ!でもね、習い事って細く長くやってもいいんだよ。1~2カ月お休みしてもいいし、自分のペースでいいんだよ。咲は書に長けているから、今やめたらママはもったいないと思う。だって、他の人が持っていない神様からいただいた才能だから......。あとは、自分でよく考えてみてね」と言いました。

数日後、娘から「やっぱり、やめるのはやめる!書かないとさびしくなるし、先生も大好きだし、日本の書を世界の人にも見せてあげたいから」と、返答があったときは、正直ホッとしました。

子どもに限らず、大人にとっても自分で自分の才能を見つけるのは簡単ではありません。

だからこそ、周りの大人が子どもの行動をうながす言葉をかけて才能を伸ばしてあげましょう。

子どもたちは才能の塊なのですから。

行動をうながす言葉がけは以下を参考にしてください。

・「まずは挑戦することからすべてが始まるんだよ」

・「やると決めたことはすごいことで、この瞬間から物事は動き出しているよ」

・「やってみて楽しくなかったらやめてもいいよ。やってみないとわからないから」

・「挑戦することは、自分の枠を広げていくことだよ」

・「迷ったらやる!まずはやってみよう!」

PROFILE

心理カウンセラー。メンタルトレーナー。医療法人英仙会理事。

松谷 英子

自身も自己否定感による摂食障害に苦しんだ経験を持つ。その際、自己を立て直すメソッドとして『五感式人生脚本』を考案。現在はそのメソッドを用いて、悩める人たちが満ち足りた日々を送れるよう支援している。また、オリンピック選手のメンタルトレーナーとしても活動。「人生に感動を与え、100歳まで心身ともに生きる」との理念を掲げる。ひらおかデンタルクリニック院長として3万人以上の患者を診察してきた歯科医師でもある。
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