現役ママ歯科医が伝える!噛む力が子どもの脳を育てる――年齢別アドバイス食育編 6か月~2歳
「噛む回数」が増える食材の切り方とおいしいメニュー 、口と舌を鍛える楽しい歌と遊び……など、0歳~小学生へ 歯と口のママドクターが年齢別アドバイス。子どもの脳がぐんぐん育つ食育と生活習慣を伝授する一冊。
食事
噛む力が子どもの成長に与える影響を探る本書。集中力や心の強さを育む方法を、具体的な実践例と共に紹介します。
生澤右子先生の著書『集中力が高まり、心の強い子になる!噛む力が子どもの脳を育てる』から一部転載・編集してお届けいたします。
年齢別アドバイス食育編
6か月~2歳(乳歯ができあがるまで)
もし、離乳食の段階を飛ばしてしまうと、早食い・丸呑み・ため食いというクセがついて大人になってしまう可能性があります。
また、窒息の危険性も高まります。
そこで、ここからは離乳食の各ステージと歯や口の状態、その時期に習得する動きを説明します。
その離乳食のステージに無理に進んでいないかどうかをチェックする参考にしてください。
①離乳食初期(くちびる食べ)5~6か月
離乳食を始めるタイミングは、舌を出す反射が弱くなり、大人が食べているものに興味を示したころになります。
ヨーグルト状のものをのせたスプーンをくちびるの下から持っていき、下くちびるの上にのっけるようにします。
最初、上くちびるは動きませんが、食べ物をとらえるような動きを覚えていきます。
スプーンを口の中に入れて、上あごにこすりつけたりしないようにします。
「おいしいね」と笑顔で声をかけながら、スプーンを運びます。
赤ちゃんに食べてもらうことに一生懸命になりすぎないように、「食べてくれたらラッキー」というくらいに思っておきましょう。
この段階では、口に入ったらくちびるを閉じて、そのまま飲み込むことができればよいでしょう。
②離乳食中期(舌食べ・押しつぶし)7~8か月
前歯が生えてくると、今までのように舌が前に出にくくなります。
舌は前後の運動をしてきましたが、舌の筋力がついて、いよいよ上下運動も加わります。
この段階では、食べ物をのせて舌を上げる動作ができるようになり、上のあごの歯ぐきに押しつけてつぶして食べるようになります。
大人の親指と人差し指ですぐつぶれる、絹ごし豆腐のような硬さで食事を準備しましょう。
スプーンを横に使うと、くちびるを使って取り込みやすくなります。
舌が動いてしっかりつぶして食べるので、おっぱいのときよりもずっと刺激されて、あごも大きく広がります。
押しつぶして食べていると、口の端を左右に引くように口を結ぶ動きが見られます。
この動きがないと、つぶさずそのまま飲み込んでいますので、硬さやスプーンにのせる量を確認しましょう。
③離乳食後期(歯ぐき食べ・すりつぶし)9~11か月
舌が上下左右にも動くようになり、自由に動かせるようになります。
そして、食べ物を奥の歯ぐきでかんで唾液と混ぜて、ひとつのまとまり(食塊)を作れるようになっていきます。
歯ぐき食べの時期は、バナナくらいの硬さが目安です。繊維が強い食べ物は、ゆでたり、すりつぶしたりしましょう。
この食べ方ができるようになると、食べているときに、口の端が片方だけきゅっと引いて見えるようになります。
片側の歯ぐきですりつぶしている動きで、くちびるが引っ張られます。
このすりつぶす動きを覚える段階をマスターしないで先を急ぐと、丸呑みしやすくなります。
自分の手で食べられるようになると、大人の介助に拒否が出てきますが、これは脳の発達が順調なしるしなので気にしないでOKです。
このころ、くちびるの動かし方も上手になってきますので、コップ飲みにもチャレンジしていきましょう。
④離乳食完了期(かじりとり・手づかみ食べ)12~18か月
口に食べ物が入り、舌で唾液と混ぜながらかんでひとつのまとまり(食塊)にして、のどに送り込んで、ゴックンと飲み込む。この一連の動きは身についてきました。
1歳ごろに前歯のかみ合わせが完成しますが、歯ですりつぶすことはできません。
手でつかんで食べることは、目と手と口の協調運動です。
脳が発達してきて、試行錯誤の学習を経て、やっとできることなのです(万歳!)。
このころ、前歯でかじりとって、ひと口の量の感覚を覚えていきます。
また、テーブルや床が汚れて大変な時期です。投げたり、落としたり、こぼしたり……(涙)。
思い返すと、わが家では牛乳のコップがしょっちゅう倒れて、テーブルから滴り落ち、床に“白い池”ができていました。
拭いても拭いても牛乳臭くて、あれには参りました。
でも、「急がば回れ」です!!!
十分に手づかみ・かじりとりのトレーニングを積んでもらいながら、口いっぱいに詰め込む「ため食い」にならないように声をかけていきましょう。
「お口の中が空っぽになってから次を入れようね」「ゴックンしてから次だよ」というように。
つかんだ指先が口の中に入らなくなったら、手づかみ食べをマスターできてきています。
また、スプーンなどの道具を使って食べることも始めます。
卒乳は、日本小児歯科学会では1歳半ごろを推奨しています。
これは、おっぱいを飲むときの舌を前に出す(もともと反射で備わっていた)動きが長く残らないでほしいということや、歯並び・むし歯の観点からです。
いろいろな味にチャレンジするころなので、先ほどの遊離糖の話の続きを少ししますね。
100%果汁飲料や野菜ジュースは遊離糖が含まれていて、おやつの分類です。
アメリカ小児科学会では、1歳までは避けるべき、3歳までは最大でも120ミリリットルとしています。
ですから、飲ませなくて済むなら飲ませないほうがよいですし、しょうがない場合は薄めて飲ませるのがいいでしょう。
甘いものでご機嫌を取るのは厳禁です。
歯科医師・歯学博士。「親子のためのはははクラブ」「こどもはいしゃアカデミー」主宰。株式会社Dental Defense代表取締役。
医師・脳生理学者。東邦大学医学部名誉教授。セロトニンDojo代表。
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