話し合える親子関係へ「子どもから自分の行動を責められたとき」

自身も不登校を経験し、現在はカウンセラーとして1万人以上の事例に携わった今野先生による 子どもを受容する声がけの本。

親子関係

不登校・引きこもり専門カウンセラー
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子どもから自分の行動を責められたとき

「学校に行けない子どもに伝わる声がけ」 P148

この会話のポイント

気持ちに寄り添えなくてごめんね

子どもから過去のことを強い口調で責め立てられると、かっとなって「だって○○だったんだから、仕方ないでしょ!」「私だって○○だったんだから!」と同じように強い口調で返してしまいがちです。

「そんな前のこと今言われても困る」というのが、親御さんの正直な気持ちでしょう。

けれども、もし「悪いことしたな」と思うのであれば、まずは率直にその気持ちを伝えてください。

ご自身に悪いところがなかったとしても「つらかったんだね」「そうだったんだね」と、できれば、まずはお子さんの主張を受け容れていただきたいです。

学校を休ませたら勉強が遅れちゃう、進学できなかったらどうしようって不安だったの

自分の思いや気持ちを伝えるのであれば、子どもの気持ちを受け容れる言葉の後にしましょう。

子どもから当時の言動の理由を求められたときも、同様です。

「でも」「だって」など否定や言い訳のような印象につながる接続詞は避け、フラットに伝えるようにしましょう。

ただし、どんなに正直な気持ちであっても、あなたの言葉が子どもにとって納得できるものかどうかは、また別の話です。

でも、それはそれとして割り切っていいでしょう。

自分の言葉の意図が100%相手に伝わるわけではないですし、伝わらないほうが当たり前です。

「子どもが気持ちをぶつけてくれて、コミュニケーションがとれた」という事実を大切にしてください。

私は学校に行ってほしいって思ってる でも、あなたの気持ちも大切にしたいから一緒に話し合いたい

過去の言動に対する謝罪をしても、子どもが「どうせ今だって○○だと思ってるくせに!」とさらにかぶせてくるケースも、非常に多いです。

それに対する答えは、本音でいいと思います。

「私は○○と思っている」とアイメッセージで伝えればいいのです。ここで子どもの気持ちを収めるために嘘をついても、親自身の心にわだかまりが残ってしまいます。

「過去はこうだった。今の私はこう思っている。それは子どもの意見とは違うかもしれない。でも、子どもが無理やり私の意見を変えることはできないし、私も子どもを無理やり変えたいわけではない」という気持ちで、自分自身にも、お子さんに対しても正直に向き合っていただきたいです。

アイメッセージで本音を伝えた上で、「あなたの気持ちも大切にしたいから、話し合いたい」と続けてもいいかもしれません。

子どもとしても「自分の存在を尊重してくれている」という安心感につながるからです。

結論が出なくてもいいのです。

むしろ、簡単に結論は出ないでしょう。

お互いの思いを伝え合い、きちんと話ができたということが、大きな成果だと思います。

親にできること

親自身も覚えていないかなり前の、本当にそんなことを言ったのか確かめることもできないことを持ち出されて、怒りをぶつけられる。

親御さんは「今さら?」「そこまで怒る?」と不思議に感じ、戸惑いを覚えるかもしれません。

そう思うのは仕方がないとしても、そのままお子さんに伝えないほうが賢明かもしれません。

子どもは「自分にとってはすごくショックなことだったのに、親にとってはそんなに軽いものだったんだ」と感じ、さらに苦しむ結果になったケースもたくさんありましたし、私自身も経験しています。

子どもが過去のことを持ち出して感情を吐き出す理由は、子ども自身が過去と向き合おうとしているからです。

親への怒りだけでなく、自身が抱いていた劣等感や自己否定にも向き合おうとするケースもあります。

子どもにとって、このように自身や過去と向き合う時期は、ひとりの人間として自立するためにも非常に大事です。

子どもにとってはつらい時期となりますが、自分なりに納得したり、否定的な思いにケリがついたりしたときに初めて、前を向いて歩き出せるからです。

感情を出さずに自身の中で完結させる子もいれば、清算期が長く続く子もいるなど子どもによってケースはさまざまですが、この時期を超えると子どもの心は安定してきます。

親御さんにとってもつらい時期になるかもしれませんが、「回復までには過去の清算期というステップがある」「それは子どもに必要な時期」だという知識があると、対応もしやすくなるかと思います。

今野先生のひと言

お子さんからどんなに責められても、親御さんは親御さんなりにお子さんのためを思って子育てをなさってきたと思います。「悪かったな」と思うなら謝ることも大切ですが、自分自身を責めすぎないことも、とても大切です

PROFILE

不登校・引きこもり専門カウンセラー

今野 陽悦

10代の頃に不登校や引きこもりを経験し、どうにかして現状を変えたいとカウンセリングを受講しながら、自身もカウンセリングや心理学を学ぶ。そこでさまざまな手法と出会い、多くの人の愛と助けで徐々に心の葛藤から解放される。 引きこもり時代の自分と同じように悩んでいる人の力になりたいと、自身の経験を通じて、20歳の頃から不登校・引きこもりなど子どもの問題を専門としたカウンセラーとして活動を開始。子どもの気持ちに寄り添い、一緒に解決していくカウンセリングスタイルが話題となり、のべ1万件を超えるカウンセリングを行う。 カウンセリング活動のかたわら、無料メールマガジン「不登校・引きこもりのお子さんを持つ親御さんのための親子関係講座」(購読数約7万人)を発行し、不登校・引きこもりの改善に向けての情報発信にも力を入れている。
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