話し合える親子関係へ「子どもが物を壊したり、自分を傷つけたりするようになってきたとき」

自身も不登校を経験し、現在はカウンセラーとして1万人以上の事例に携わった今野先生による 子どもを受容する声がけの本。

親子関係

不登校・引きこもり専門カウンセラー
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子どもが物を壊したり、自分を傷つけたりするようになってきたとき

「学校に行けない子どもに伝わる声がけ」 P98

この会話のポイント

大丈夫?こんなになっちゃうくらいあなたは苦しいんだね

大声で叫んだり、物を壊したり、自傷行為をしていたり。

実はこの時期の子どもにはわりとよく見られる行動だったりします。

マンガのように落ち着いて「大丈夫?」と言えればベストかもしれませんが、特に初めてこうした行為を目の当たりにした場合には、到底冷静ではいられませんよね。

「何やってるの!」「やめなさい!」と声を荒げてしまうのもよくわかります。

自傷行為の場合は特に、「死んじゃったらどうするの!」「傷が残っちゃうでしょ!」といった反応をしがちです。

ですが、子どもからすると「そんなことわかってるよ」「そっちがここまで追い込んだんでしょう?」、あるいは「してやったり」というようなことを思っていることも多いです。

その場は力ずくでやめさせられるとしても、また子どもが繰り返すケースも少なくありません。

やはり、大事なことは受容なのです。

まずはいったん、深呼吸を。

数回ゆっくり繰り返すことで、副交感神経が優位になって気持ちは落ち着いてきます。

自身のショックが収まってきたら、子どもに寄り添い、また自身にも言い聞かせるように「こんなに苦しいんだね」と受け止める言葉をかけられるといいですね。

うまく話せなくてもいいから、気持ちを聞かせてもらえる?

「あなたのことを心配しているよ」という気持ちを子どもに示すためにも、大事な言葉となります。

もちろん、「うるせえ!」「ほっといてよ!」と返ってくるケースもよくあります。

その場合は深追いせず、「心に余裕があるときに聞かせてね」というひと言をかけられたらいいと思います。

「どうせ言ったって、わかってくれないでしょ!」と返ってきた場合は、子どもからのメッセージだととらえるようにしてください。

「今まで何回も話そうとしたけれど、理解してくれなかった」という蓄積された苦しみがあらわれている言葉だからです。

親御さんとしては、そんなつもりはないかもしれません。

ですが、「途中で遮られた、否定された、受け流された」という記憶があるからこそ、このような言葉が出てくるのでしょう。

私自身も含め、そういった経験をもつ子どもは非常に多いです。

今度こそ、最後まで黙って話を聞き切ってください。

親御さんには納得いかない内容や主張に感じる部分もあるかもしれませんが、ここでは〝子どもの気持ち"として受け容れるように心がけることが大事です。

思いを吐き出すことができれば、子ども自身の気持ちはスッキリするでしょう。

また、「最後まで自分の話を聞いてくれた」という事実は、親への信頼を取り戻すきっかけにもなるかと思います。

親にできること

この時期の子どもは「どうしたらいいかわからない」「自分の気持ちを理解してもらえない」といった気持ちと闘っており、非常に苦しんでいる状態にあります。

今まで親の言うことを比較的よく聞いていた集団タイプの子でも、親の言いつけや価値観がどんどん積み重なり、重荷となって苦しむこともあります。

そうした整理のつかない感情が爆発して破壊や自傷という行動にあらわれるケースも、よく見られます。

単に感情を爆発させているケースもあれば、「親を困らせたい」「暴れることで親に言うことをきかせたい」という意図があるケースもあります。

私もカウンセリングの現場で、破壊や自傷行為をする子どもをたくさん見てきました。

心の中のモヤモヤが収まらなかったり、怒りの感情を相手にアピールするために、ドアをバーンと閉めたり、教科書を床に投げつけたりすることは、実は不登校にかかわらず、思春期の子どもにはよくあることです。

破壊や自傷は、そうした行動の程度が激しくなった状態であるといえます。

学校に行けない負い目や、また学校に戻らなくてはいけないというプレッシャーから、徐々に行動がエスカレートしていくこともあります。

そんなとき、「やめなさい!」と叱っても、子どもの心は傷ついてしまいます。

「つらいね」「痛いね」「どうしたらいいのかわからないんだね」と寄り添い、あまりにひどい場合は病院や自治体に相談することを検討してもいいと思います。

自殺未遂や、家庭内暴力になる前に、専門知識をもったプロに頼ることが解決の近道になる場合もあるということを、知っておいてください。

もちろん、破壊や自傷行動がない子もたくさんいますが、「あり得ること」として心に留めておくと、いざというときの心構えになるかと思います。

もしかしたら、この本を読んでいるあなたも、10代の頃にイライラして物に当たったり、自分を叩いてしまったりといった経験があるかもしれませんね。

そんなとき、あなたは、親からどんな対応をされましたか?本当はどんな対応をしてほしかったですか?

当時の自身の様子や心の状態を思い起こすと、より落ち着いて対応できるかもしれません。

今野先生のひと言

「こんなことをするなんて」と悲観するのではなく、「そんな時期がきたんだな」と受け容れることで、親御さんも冷静になれます

PROFILE

不登校・引きこもり専門カウンセラー

今野 陽悦

10代の頃に不登校や引きこもりを経験し、どうにかして現状を変えたいとカウンセリングを受講しながら、自身もカウンセリングや心理学を学ぶ。そこでさまざまな手法と出会い、多くの人の愛と助けで徐々に心の葛藤から解放される。 引きこもり時代の自分と同じように悩んでいる人の力になりたいと、自身の経験を通じて、20歳の頃から不登校・引きこもりなど子どもの問題を専門としたカウンセラーとして活動を開始。子どもの気持ちに寄り添い、一緒に解決していくカウンセリングスタイルが話題となり、のべ1万件を超えるカウンセリングを行う。 カウンセリング活動のかたわら、無料メールマガジン「不登校・引きこもりのお子さんを持つ親御さんのための親子関係講座」(購読数約7万人)を発行し、不登校・引きこもりの改善に向けての情報発信にも力を入れている。
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