周りの教育熱に流されない!我が家だけの「潰れない」ルートの選び方
子どもが沈まない 親が無理しない 小中高大受験戦略
教育
周りの教育熱に流されない!我が家だけの「潰れない」ルートの選び方
「てつなぎ」に集まる親のリアルな葛藤
てつなぎ編集部
現在の大学受験は、半分近くの枠が「総合型選抜(旧AO入試)」へとシフトしています。このような入試形態の変化を踏まえたとき、いまの未就学児や小学生のお子さんを持つ親としては、単に「ペーパーテストの勉強一本槍」ではなく、日頃からどういった接し方や経験をさせてあげるべきなのでしょうか。
じゅそうけんの伊藤先生
これからの総合型選抜で最も評価されるのは、「ある一つの興味に対して、どれだけ深く自発的に掘り下げてきたか」というプロセスと、「それを自分の言葉で他者に伝えるプレゼン力」です。こうした能力は、高校3年生になってから詰め込みで身につくものではありません。 親御さんに求められるのは、子どもに勉強を強制することではなく、子ども自身が「もっと知りたい!」と熱中できるフィールドを数多く用意してあげることです。 もし小学4年生くらいで塾に入れてみて「この子はペーパーテストの競争には向いていない」と判断したなら、そのルートからは潔く撤退するのも戦略です。塾をやめれば数百万円の資金が浮きますよね。その浮いたリソースをすべて使って、習い事や旅行、ボランティアなど、リアルな原体験を徹底的に積ませてあげる。その中から本当に熱中できるテーマが見つかれば、高校生になったときにその実績を武器にして、総合型選抜で難関大学に堂々と合格していくことができます。これからはそういう時代になっていくと思います。
てつなぎ編集部
よくメディアなどで「ビリギャル」のように後半から一気に大逆転して難関校に合格するストーリーも注目されますが、やはり中学受験において、小4段階での適性を無視して後半からの奇跡的な大逆転を期待するというのは難しいのでしょうか。
じゅそうけんの伊藤先生
「ビリギャル」のような大逆転劇は、科目数を絞って対策できる大学受験だからこそ成立した特異なケースです。対して中学受験は4教科を総合的に底上げする必要があり、小学4年生の入塾段階での成績やクラス位置から、最後まで大きな変動を起こさずに受験を迎えるケースが全体の8〜9割を占めます。全員が死に物狂いで勉強している中で、一番下のクラスからトップ校へ大逆転合格するようなことは、基本的にはほぼありません。 ですから、模試を受けてみて偏差値が30〜40台のまま、子ども自身も勉強が苦痛そうであれば、無理に過酷な競争を続けさせる必要はありません。それならば一度思い切って公立中学への進学に切り替え、浮いたリソースを子どもの個性を伸ばす課外活動や原体験に投資する。これからの「総合型選抜」という評価軸を考えれば、その方が長期的な人生戦略として、はるかに賢明で豊かな選択肢になります。
これからの時代を生きる親御さんへのメッセージ
てつなぎ編集部
単に一つのレールにしがみつくのではなく、子どもの適性を見極めてルートを柔軟に選択していく視点がいかに大切か、非常によく分かりました。
それでは、受験という環境の中で、途中で潰れてしまう親子と、無理をせず伸び伸びと実力を伸ばしていける親子の決定的な違いはどこにあるとお考えですか。
それでは、受験という環境の中で、途中で潰れてしまう親子と、無理をせず伸び伸びと実力を伸ばしていける親子の決定的な違いはどこにあるとお考えですか。
じゅそうけんの伊藤先生
これまで数多くの家庭を見てきて確信しているのは、最終的に「子どもの意志をどこまで尊重できているか」という点です。 親が主導権を握り、お尻を叩いて管理するスタイルをとれば、小学生の間は目先の偏差値や合格という結果を出せるかもしれません。しかし、親の強制力によって合格した子たちの多くは、進学した後の10代後半で燃え尽き症候群のようになり、一気に失速してしまうケースが非常に多いんです。子ども自身の中に「自分の意志でこの人生を生きている」という主体性がないため、自己肯定感を著しく傷つけてしまうからです。 小学校の低学年のうちはある程度の誘導が必要ですが、多感な時期においては、親のエゴやプライドを一度捨てて、我が子が下した決断を信じて尊重してあげること。これが、子どもの才能を長期的に伸ばし、家族の絆を壊さないための最も重要なポイントだと思います。
てつなぎ編集部
親の過度な期待やコントロールによって、進学後に親子関係に深い亀裂が入ってしまったり、子どもが苦しんでしまうようなケースは、具体的にどういった家庭環境に起こりやすいのでしょうか。
じゅそうけんの伊藤先生
圧倒的に多いのは、母親と子どもの間、特に「母親と娘」の組み合わせにおいて関係性がこじれやすい傾向があります。
というのも、現代の中学受験における実質的なサポートの主導権を握っているのは、やはり圧倒的に「お母さん」であることが多いからです。塾の送り迎えから、お弁当作り、毎月の保護者面談まで、母親が文字通り二人三脚で子どもと受験を併走します。
特に我が子が「娘」である場合、同性であるがゆえにお母さん側が自分自身の過去の人生を娘に重ね合わせて自己投影しやすく、心理的な距離が近くなりすぎてしまう。その結果、過干渉になってしまうわけです。
僕の知り合いの30代の女性で、誰もが羨むような名門中学を出て、誰もが知る大手企業で働いている、客観的には完璧なエリートキャリアを歩んでいる方がいます。しかし彼女は今でも「母親とは絶対に顔を合わせたくない、連絡も取りたくない」とはっきりと拒絶しているんです。その原因を紐解くと、やはり中学受験時代の家庭環境にありました。母親から常に「あなたが良い成績を出して、良い学校に行かない限り、私はあなたを我が子として認めない」というような、条件付きの愛情しか注がれなかった。その恐怖と抑圧の記憶が、大人になった今でも消えない傷として残ってしまっているんです。
せっかく世間から見れば素晴らしい学歴を手に入れたとしても、その代償として一生の親子関係を破綻させてしまっては、一体何のための受験だったのか分かりません。親の過度なエゴによるコントロールは、子どものその後の人生に非常に暗い影を落とすリスクがあるということを、知っておいていただきたいです。
というのも、現代の中学受験における実質的なサポートの主導権を握っているのは、やはり圧倒的に「お母さん」であることが多いからです。塾の送り迎えから、お弁当作り、毎月の保護者面談まで、母親が文字通り二人三脚で子どもと受験を併走します。
特に我が子が「娘」である場合、同性であるがゆえにお母さん側が自分自身の過去の人生を娘に重ね合わせて自己投影しやすく、心理的な距離が近くなりすぎてしまう。その結果、過干渉になってしまうわけです。
僕の知り合いの30代の女性で、誰もが羨むような名門中学を出て、誰もが知る大手企業で働いている、客観的には完璧なエリートキャリアを歩んでいる方がいます。しかし彼女は今でも「母親とは絶対に顔を合わせたくない、連絡も取りたくない」とはっきりと拒絶しているんです。その原因を紐解くと、やはり中学受験時代の家庭環境にありました。母親から常に「あなたが良い成績を出して、良い学校に行かない限り、私はあなたを我が子として認めない」というような、条件付きの愛情しか注がれなかった。その恐怖と抑圧の記憶が、大人になった今でも消えない傷として残ってしまっているんです。
せっかく世間から見れば素晴らしい学歴を手に入れたとしても、その代償として一生の親子関係を破綻させてしまっては、一体何のための受験だったのか分かりません。親の過度なエゴによるコントロールは、子どものその後の人生に非常に暗い影を落とすリスクがあるということを、知っておいていただきたいです。
てつなぎ編集部
胸が締め付けられるような、非常に重みのあるお話ですね。それでは最後に、いま我が子の受験や教育環境のことで日々悩み、焦りを感じている「てつなぎ」の多くの親御さん、特にお母さんたちに向けて、メッセージやエールをいただけますでしょうか。
じゅそうけんの伊藤先生
中学受験の渦中にいるお母さんたちに、これだけは本当に強くお伝えしたいです。小学校4年生からの3年間、毎週のように塾のテストの成績で席順が変わり、常に偏差値という数字だけで我が子の価値を測られるような環境に身を置いていると、どうしても「この受験の成否が、この子の人生のすべてだ」という錯覚に陥ってしまいがちです。
ですが、冷静になって客観的な事実を見てください。中学受験の合否で、その子の将来の人生のすべてが決まるなんてことは絶対にありません。
仮に第一志望に届かず、地域の公立中学校に進学することになったとしても、その後に素晴らしい出会いを経て、伸び伸びと自分の才能を開花させ、幸せで豊かな人生を歩んでいる子たちなんて、世の中には山ほど存在します。
受験の渦中にいるときは、視野が狭くなって「もう我が家の人生は終わりだ」くらいに絶望してしまうお母さんも多いですが、受験が終わって一歩外に出てみれば、誰もが「なんであのとき、あんなに狭い数字の世界だけで我が子を追い詰め、自分も苦しんでいたんだろう」と笑って振り返ります。
ですから、どうか目先の偏差値だけで我が子のすべてを判断せず、もっと広い視野を持って、我が子のありのままの存在を愛してあげてください。過剰に加熱しすぎず、親子の笑顔と心の健康を第一に守りながら、この受験期を温かく走り抜けていっていただけたらなと思います。
ですが、冷静になって客観的な事実を見てください。中学受験の合否で、その子の将来の人生のすべてが決まるなんてことは絶対にありません。
仮に第一志望に届かず、地域の公立中学校に進学することになったとしても、その後に素晴らしい出会いを経て、伸び伸びと自分の才能を開花させ、幸せで豊かな人生を歩んでいる子たちなんて、世の中には山ほど存在します。
受験の渦中にいるときは、視野が狭くなって「もう我が家の人生は終わりだ」くらいに絶望してしまうお母さんも多いですが、受験が終わって一歩外に出てみれば、誰もが「なんであのとき、あんなに狭い数字の世界だけで我が子を追い詰め、自分も苦しんでいたんだろう」と笑って振り返ります。
ですから、どうか目先の偏差値だけで我が子のすべてを判断せず、もっと広い視野を持って、我が子のありのままの存在を愛してあげてください。過剰に加熱しすぎず、親子の笑顔と心の健康を第一に守りながら、この受験期を温かく走り抜けていっていただけたらなと思います。
てつなぎ編集部
いま数字のプレッシャーの中で孤独に悩んでいる多くの親御さんにとって、心の底から救いになる大変貴重なお話でした。本日は本当にありがとうございました!
じゅそうけんの伊藤先生
ありがとうございました。
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PROFILE
受験総合研究所代表
1996年生まれ。早稲田大学卒業後、大手金融機関に就職するも、人生をかけて受験と向き合うために2021年に退職。2022年にじゅそうけん合同会社(現:株式会社JSK)を立ち上げ、教育機関向けに広報支援サービスを展開する。また、高学歴1000人以上への受験に関するインタビューや独自のリサーチで得た情報を、各種メディアで毎日発信している
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