【掲示板の声×公認心理師】“これっていじめ?”と迷い続ける親へ(第2回)

学校が動かないとき、親はどう向き合えばいい?

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【掲示板の声×公認心理師】“これっていじめ?”と迷い続ける親へ(第2回)

てつなぎ編集部
なるほど……。「いじめだ」と訴えることで解決を求めたい気持ちは親として当然だと感じる一方で、その言葉がかえって子どもの居場所を遠ざけてしまうこともある。
そのジレンマの中で、どうしたら「子どもの安心」を真ん中に置いて動けるのか。先生の視点を聞いて、改めて考えさせられました。
それでも、正当な方法で訴えても動いてもらえない、という現実があります。次は、追い詰められた末に「もう晒すしかない」と感じてしまう、その背景にある絶望の話です。

「学校が動かないなら晒すしかない」|SNS拡散と"社会的死刑"のリスク

てつなぎ編集部
声を上げること、相談することの大切さはわかっている。でも、正当な方法で訴えても動いてもらえなかった末に、「もう誰も助けてくれない」という絶望に追い込まれてしまう保護者や子どもたちもいます。
そうした状況の中で、近年増えているのが「いじめ動画の拡散」という問題です。
追い詰められた末に「晒すしかない」と感じてしまうのは、どんな心理からなんでしょうか。ネット上では、「学校が動かないなら仕方ないよね」と共感する声も少なくありません。
田村先生
追い詰められると、"制裁"を含めた「正義感」になっちゃうんでしょうね。気持ちはわかるんですけどね……。それで「いいね」とかつくとね、またテンションが上がって、有能感というか、やってやったぞみたいな感覚になってしまうというのもあるのかもしれない。
ただ、"デジタルタトゥー"ですからね。誰かが住所でも特定したら一発ですし、やりすぎると、それこそ加害者だった子が今度は被害者になって、もし自殺なんてことになってしまったら悲惨ですから……。
てつなぎ編集部
確かにそうですよね……。
田村先生
学校のいじめとは別に、ネットに拡散されたことで自殺に追い込まれたケースも実際に起きていますからね。いわゆる"社会的死刑"みたいなものですよね。
てつなぎ編集部
法的リスクについては、どうお考えですか。
田村先生
法的責任を問われた人もいますし。訴えられることもあるし、子どもも大人も関係なくそういうリスクはありますからね。
晒すっていうことはプライバシーの問題もあるし、結果的に自分自身も追い詰められることになりかねない。そのリスクは知っておいた方がいいかもしれない。
だからこそ、学校や弁護士などを通じて、正当な方法で主張していく方がいいのかなとは思いますけどね。もしそういうのを見つけたら、やっぱりね、反応しないとか広めないってことは大事なのかなと思います。

【編集部注:SNSでの拡散にともなう法的リスク】

個人を特定できる動画や画像をSNSに拡散する行為は、たとえ「いじめの告発」目的であっても、名誉毀損罪(刑法230条)、侮辱罪(刑法231条)、プライバシー侵害(民事上の損害賠償請求)、肖像権侵害などに問われる可能性があります【※5】。
加害者・被害者を問わず、未成年者であっても法的責任の対象となります。
いじめの被害を訴えたい場合は、法務省「子どもの人権110番」(0120-007-110)や、各都道府県の弁護士会が設けている子どもの人権相談窓口など、第三者の専門機関を通じた方法も検討してみてください【※6】。

てつなぎ編集部
「反応する前に立ち止まる」。当たり前のようでいて、感情が動いている瞬間にはとても難しいことかもしれません。
正当な方法で訴えても動いてもらえなかった末に、拡散という選択肢しか残らなかった、という方もいると思います。拡散されたことで問題が明るみに出て、いじめが解決したり、救われた命もあるのも事実です。
一方で、それが新たな被害の連鎖を生んだケースも存在します。正解は一つではないとは思いますが、もし見かけたときは、反応する前に少し立ち止まってみる意識は、一人ひとりが持てるといいですよね。
最後に、「いじめかどうかわからない」「学校も動いてくれない」「何が正解かわからない」。そうやって立ち尽くしている親御さんへ、田村先生からのメッセージを伺いました。

答えが出ないまま立ち尽くしている親へ|「親が味方だ」という確信を渡す

てつなぎ編集部
いじめかどうかわからない。学校も動いてくれない。何が正解かわからず立ち尽くしている。そんな保護者へ、最後にメッセージをいただけますか。
田村先生
何が正解かわからず立ち尽くしている姿こそが、お子さんとしては、親に愛されてるなっていうね、いろいろ考えてくれてるんだろうなって感じられる、ということだと思います。
その時は、大荒れの雨のような状態なのかなと思うから、そういった嵐が過ぎ去るのを待つっていうのも一つなのかな。
あとは、お子さんにとって、友達が敵になったり、先生が敵になることはあるかなとは思うけど、「親が自分の味方だ」という確信があれば、お子さんは必ずまた立ち上がれると思います。
「何かあったら言ってね」とか「大丈夫だよ」「いつも味方だよ」っていう言葉を伝えることが、親御さんとしてできる役割の一つなのかなと思います。
あとは親御さんもちゃんとリラクゼーションすることですね。頑張りすぎないこと。抱え込まないで、それこそ相談できる人に相談することが大事かなと思います。
まあたまに学校の連絡も1週間ぐらい拒否ってもいいですし。「ちょっとすいません。疲れちゃって……」っていう保護者もいますからね。
てつなぎ編集部
「立ち尽くしているその姿が、愛情の証だ」というお話が、とても印象的でした。
今回、田村先生のお話をうかがって心に残ったのは、こんな言葉たちです。
「いじめゼロ」よりも、ちゃんと数字を出している学校の方が信用できる
「ここからがいじめ」と線を引くより、その子自身がどう感じているかに目を向ける
「人格」ではなく「行為」に焦点を当てて伝える
「これはいじめだ!」と対立する前に、「子どもが安心して通える環境を」と一緒に考える
拡散ではなく、正当な方法で。反応する前に立ち止まる
友達や先生が敵になっても、「親が味方だ」という確信があれば、子どもは立ち上がれる
どれも、すぐに「正解」を出してくれる言葉ではないかもしれません。
でも、「これって、いじめなの?」と迷いながら、それでも子どものそばに立ち続けている親御さんにとって、少しだけ肩の力を抜くきっかけとして届いていたら嬉しいです。
そして、もし今、一人で抱え込んでいる方がいたら、どうかご自身のリラクゼーションも忘れずに。
田村先生、本日はありがとうございました。
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▶︎ 【掲示板の声×公認心理師】実家に帰るとつらいのはなぜ?「毒親かも?」親との関係に悩む大人へ
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PROFILE

公認心理師

田村 俊作

公認心理師。教育現場でのカウンセリングを中心に、中学校や行政機関、地域の相談窓口などで子ども・保護者・大人の支援を行い、 スクールソーシャルワーカー、精神保健相談員としても活動。教育・福祉・保健医療・メンタルヘルスの現場を横断的に経験し、 現在は都内の学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)でスクールカウンセラーとして活動中。
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