【掲示板の声×公認心理師】夫婦関係が悪いと子どもにどんな影響がある?(第1回)

―離婚・別居を考える前に知っておきたい“安全”の視点(公認心理師 / カウンセラー・田村俊作先生インタビュー)

インタビュー

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【掲示板の声×公認心理師】夫婦関係が悪いと子どもにどんな影響がある?(第1回)

怒り・イライラが続くとき —— 家庭の“緊張”が子どもに与える影響

てつなぎ編集部
言葉を交わさない“沈黙”の空気とは反対に、家庭の中に“怒り”や“イライラ”が続くケースもありますよね。

てつなぎ掲示板の「また言ったよ。」(3年以内に離婚したい人/40代)では、日常の出来事の中で怒りっぽい夫の態度に悩む様子が綴られていて、まさに“家族の中に流れるピリピリした空気”が伝わってきました...。

こうした“怒り”や“緊張”が続く家庭の中で、子どもはどんな影響を受けるのでしょうか。 また、親としてどんなことを意識できるといいのでしょうか?

夫婦喧嘩や“怒りの空気”が子どもに与える影響

田村先生
子どもは、親がイライラしていることに敏感なので、「親を怒らせないように気をつかう」っていうのは、やっぱりありますよね。

それが常日頃続くと、子どもは自分の気持ちを素直に出すことができなくなったり、「ああしたい」「こうしたい」っていうことが言えなくなる傾向になると思います。要は「我慢しすぎる」ってことを、覚えてしまう。

なので、大人になっても萎縮したりとか、自分の行動に自信を持ってできなかったりすることは多いと思います。
てつなぎ編集部
大人になっても、その影響はでやすいんですか?
田村先生
長く続けば影響はありますね。“大人の顔をうかがう”とか、“周りの人の顔をうかがう”という傾向も出てくると思います。
てつなぎ編集部
なるほど…。家庭の空気が張りつめていると、子どもは“怒らせないようにしよう”と自分を抑えてしまう傾向があるんですね。わかる気がします...。「本音を出すと空気が悪くなる」と感じてしまうと、子どもが安心して自分を表現できる場がどんどん減ってしまうようにも思います。

そうした“緊張した空気”が、親の「暴力」「モラハラ」といった形にまでもし発展した場合、子どもにはどんな影響があるのでしょうか?
田村先生
お父さんがお母さんに暴力をふるうようなケース、やっぱり多いですよね。その影響は本当に大きくなります。子どもが“親を怒らせないように”と、より強く“いい子”を演じたり。子どもは“常に我慢”することを覚えてしまうので、大きくなった時、やっぱりあまりいい影響ではないとは思います。

もうちょっと心理的な部分で言うと、夫婦げんかを子どもの前ですると「心理的虐待」に当たる可能性があるんです。

近年の虐待の統計を見ると、心理的虐待が一番増えてるんですけど、その理由のひとつが、警察や児童相談所が家庭に介入したときの中身が“夫婦げんか”だったというケースが多いからなんですね。

つまり、介入した時に“夫婦げんか”の場合は、児童相談所は「心理的虐待」として対応するんです。それだけ、夫婦喧嘩やモラハラ、家庭内の緊張が、子どもの心や発達に与える影響は大きいんですよ。

“怒り”の奥にある、疲れに気づく

てつなぎ編集部
やっぱり、子どもにとって“怒りの空気”は大きな心の負担になりますよね...。そして、 その“怒り”を抱えている親自身もまた、苦しさを感じているのかもしれませんね。

てつなぎの掲示板では「夫の沸点が低すぎてイライラする」(パピーさん/30代/2024.12.09)と、家庭の中で、常にイライラしている状態が続くことへの悩みが綴られていました。

こうした親自身の“怒りっぽさ”の背景には、どんな心理や状態があるのでしょうか?
田村先生
この書き込みの場合は、「頼み事をすると怒る」ということだから、多分お父さん自身も、仕事なのか何かわからないですけど、もうキャパがいっぱいなんだろうなとは思うんですよね。疲れなのか、ストレスなのか...。その“前提”となる部分も、一緒に良い方向を考えていくことが必要かなと思います。

たとえば、夫婦でお互いの好きなことを一緒にやってみるとか、少し一人の時間を持てるようにするのもいいと思います。どちらか一方ががんばりすぎることなく、お互いに“少し余裕を取り戻す”ことを意識できるといいですよね。
てつなぎ編集部
どちらか一方が我慢するのではなく、「そもそも家族全体が疲れているのかもしれない」と一歩引いて見ることも大切ですよね。

“怒り”や“イライラ”は、誰かを責めたいというよりも、「助けてほしい」「わかってほしい」というサインでもありますよね。そんなサインに気づけたとき、次に大切なのは“親自身の心をどう守るか”ということかもしれません。
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PROFILE

公認心理師

田村 俊作

公認心理師。教育現場でのカウンセリングを中心に、中学校や行政機関、地域の相談窓口などで子ども・保護者・大人の支援を行い、 スクールソーシャルワーカー、精神保健相談員としても活動。教育・福祉・保健医療・メンタルヘルスの現場を横断的に経験し、 現在は都内の学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)でスクールカウンセラーとして活動中。
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