公認心理師さんに聞いてみた!夫婦関係が悪いと子どもにどんな影響がある?(第1回)

―離婚・別居を考える前に知っておきたい“安全”の視点(公認心理師 / カウンセラー・田村俊作先生インタビュー)

インタビュー

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公認心理師さんに聞いてみた!夫婦関係が悪いと子どもにどんな影響がある?(第1回)

夫婦関係の“ギクシャク”や、家庭の中の“怒りの空気”。子どもは、そんな雰囲気をどんなふうに感じ取っているのでしょうか。そして、「もう限界かもしれない」と感じたとき、親がまず守るべきものとは――。

てつなぎの掲示板では、夫婦関係の悩みに関する投稿が約1000件以上投稿されていて、「喧嘩した後、普通に接することができない」「子どもの前で気まずくなる」「怒りっぽい夫を見て子どもが気をつかっている」など、家庭の“空気の重たさ”に悩む声も多く寄せられています。

てつなぎでは、こうした声に寄り添いながら、専門家と一緒に考える連載「公認心理師さんに聞いてみた」シリーズコラムを展開しています。

教育・福祉・メンタルヘルスの現場で約20年間支援を続ける、公認心理師・カウンセラーの田村俊作先生に、掲示板に寄せられたリアルな声をもとに、家庭や親子のテーマについてお話を伺いました。

今回は、夫婦関係のギクシャクが、子どもの心にどんな影響を与えるのか――。家庭に流れる“空気”と、そこにある“安心と安全”について、一緒に考えてみたいと思います。

“夫婦の沈黙”が子どもに伝えるもの —— 無視・気まずさの影響

てつなぎ編集部
夫婦関係がぎくしゃくしているとき、家庭の中には言葉にしにくい“重たい空気”が流れてしまいますよね。怒鳴り合うというより「口をきかない」沈黙が続くような…。そういうご家庭も少なくないのかなと思います。

てつなぎ掲示板の「夫婦喧嘩した後はどうですか?」(匿名/40代)では、夫婦喧嘩のあと、家庭の“気まずい空気”が子どもに伝わってしまうことへの悩みが綴られていました。

このような親同士の“無視”や“沈黙”といった「夫婦の不仲」は、子どもにどんな影響を与えるのでしょうか?

子どもは親の“空気の変化”を敏感に感じ取る

田村先生
1つは、お子さんの年齢によって、どう感じるかという“年齢の差”はあるのかなと思います。小学生くらいの子は「夫婦仲、悪いな...」「仲良くないな...」みたいに、“家庭の空気”をそのまま感じやすいんですよね。まだ“自分と家族が一体”という感覚が強いので、親の不仲を“自分のせい”のように感じてしまうこともあります。

でも、中学生くらいに年齢が上がると、「夫婦げんかしてるな〜」「大人同士でやってるな〜」みたいな感じで、“親の問題”として少し距離を置いて、“客観的”に見られるお子さんもいたりします。ある意味“割り切ってる”に近いのかも。

“ポジティブ”に感じてはいないでしょうけど、“ひどくネガティブ”に感じてもいない。“親の問題は親のこと”として受け止められる子も多いのかなという印象ですね。やっぱり成長によって感じ方も変わってきますから。「何歳ならこう」とは一概には言えないとは思いますが。

ただ、やっぱり“夫婦関係のズレ”っていうのは、子どもは感じやすいですよね。 「なぜそうなってるのか」っていうとこまでは分からないと思いますけど、“何かが違うな”っていう空気は、やっぱり感じているのかなと思います。

夫婦の沈黙や気まずさが続くとき、親はどうすれば?

てつなぎ編集部
家庭になんとなく“重たい空気”が流れていると、やっぱり子どもはそれを敏感に感じ取ってしまいますよね。そんな“気まずさ”が続く場合、親の向き合い方としてはどうするのが良さそうでしょうか?
田村先生
お互い人間ですからね...。お父さんもお母さんも、うまく感情を処理するっていうのは難しいんだと思います。時間が経てば経つほど、気まずい雰囲気になりやすいですよね。

でも、ずっとその空気が続くよりも、少しでも「気持ちを立て直していく姿」が見えると、子どもは安心すると思います。たとえば、普段の会話を少しずつ戻していくとか、いつも通り同じ食卓につくとか。そういう小さなことでもいいと思います。

子どもとしては、やっぱり「お父さんお母さん、仲いいな」って思えることが、安心につながるんだと思います。
てつなぎ編集部
確かに、無理に今すぐ完璧に仲直りしようとしなくても、いつもの“日常を少しずつ戻していく”ことが、子どもにとっての“安心”につながっていく気がしますね。

一方で、夫婦が「無理して仲良く見せること」って子どもにとってどうなの...?、と思う方もいるかもしれません。たとえば、子どもの前ではできるだけ普通にふるまおうとする...。そんな夫婦の“取り繕う関係”についても、聞いてみたいなと思います。

子どもの前で“取り繕う”ことにも意味がある

てつなぎ編集部
例えば、てつなぎ掲示板の「なんだかなぁ。」(匿名/30代)では、まわりと比べてしまう中で、“仮面夫婦としての日常”に孤独を感じる声も綴られていました。

こうした、あえて子どもの前で“普通にふるまう”いわゆる「仮面夫婦」の関係について、先生はどう見られてますか?
田村先生
そうですね。子どもが小さいうちは表面では分からないように見えても、中学生・高校生くらいになると親の関係の変化をなんとなく意識し、感じ取るようになるとは思います。

ただ、ある程度“取り繕っている”方がいいかもしれないですね。大きくなったら、少し気づく部分はあるだろうけど、わざわざ言う必要ないですしね。子どもに、お父さんお母さんの関係を話したり、家庭の問題をそのまま伝えたりする必要はないと思います。

やっぱりその子にとって“父であり、母である”という関係は、あまり崩さないようにしてもらうことが大事かなと思います。
てつなぎ編集部
「子どもが安心できる空気を保つ」ためには、“取り繕う”ことも、時には大切な工夫なのかもしれませんね。 完璧な親子関係や夫婦関係を目指すよりも、「どうすれば子どもが安心できるか」という視点を持つことが、何より大切なのだと感じました。

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