スタンフォード大学オンライン高校の校長が教える!――記憶力を最大化する
記憶力・集中力・理解力・思考力を身につける100の勉強法を 最新の研究を元に解説します。 すべての勉強法に、今すぐ実践する方法も掲載。 脳の力を最大限に発揮させる、生活習慣や食事なども紹介。 子供から大人まで、一生役立つ情報が詰まった、勉強法の決定版です。『スタンフォード大学オンライン高校の校長が教える 世界の研究に基づいた 勉強法大全』(KADOKAWA)
教育
繰り返し読む、ノートをきれいにまとめる…その勉強法、実は非効率かもしれません。本書は世界中の研究成果から厳選した「正しい勉強法」を網羅。勉強の効率を劇的に高め、成果を最大化するための必読バイブルです。
星 友啓著書の『スタンフォード大学オンライン高校の校長が教える 世界の研究に基づいた 勉強法大全』(KADOKAWA)から一部転載・編集してお届けいたします。
【記憶】記憶力を最大化する
パッと覚えて、
一生忘れない方法
テストは「嫌なもの」ではなく「最強の学習ツール」
テスト効果
「来週テストをします」という先生の言葉。教室中から重いため息が漏れる。テストは「実力を図るツール」。自分の足りない実力が明らかにされてしまうのは気が重い……。
しかし、それは大きな誤解です。テストは成績をつけるための道具ではなく、「記憶を定着させるための最強の学習ツール」としてとらえるべきなのです。
読み返しより50%も高く記憶が定着
これを決定づけたのが、ワシントン大学の実験です。まず、学生に科学的な文章を読ませ、その後2つのグループに分けて学習させました。
●Bグループ(テスト群):テキストを1回読み、その後3回、何も見ずに思い出すテストを受ける。
直後のテストでは、直前に読み込んでいたAグループの方が成績が良い傾向にありました。しかし、1週間後のテストでは結果が大逆転し、テストを受けたBグループの方が、Aグループよりも約50%も高いスコアを叩き出したのです。
読むだけだと忘れやすい
また、読むだけのグループは、時間の経過とともに読んだ内容を急速に忘れていきましたが、テストを受けたグループは記憶がしっかりと定着していました。これを「テスト効果」と呼びます。
読めば「わかったつもり」にはなりますが、それは短期的な記憶として一時的に保管されるだけで、すぐに消えてしまうのです。
一方、脳にテスト形式で「思い出す」負荷をかけると、記憶の司令塔である「海馬」が、その情報を「長期保存すべき重要なもの」と判断します。海馬は、脳に入ってきた情報を一時的に整理する役割を担っていますが、何度も呼び出される情報は、記憶の保管庫である「大脳皮質」へと送られ、長期の記憶として定着するのです。
前の日に学んだことの確認テストをする。
学んだことの「予想問題」を自分で作る。(「先生ならここをどうひっかけるか?」と考えてクイズを作る過程で、理解が深まる)
友達同士で問題を出し合う。(楽しみながらやる最高のリトリーバル)
アドバイス
間違えることを大歓迎してください。テストで間違えて「くそっ、間違えた!」と悔しがった記憶は、感情が伴うため、強烈に記憶に残ります。間違いは「失敗」ではなく、記憶を強固にするための「接着剤」です。「一夜漬け」が必ず失敗する科学的理由
スペーシング
「テスト前日に徹夜で詰め込めば、なんとかなる」。そう考えて朝まで勉強した経験は誰にでもあるでしょう。確かに翌日のテストは乗り切れるかもしれません。しかし、その知識は1週間後や1ヶ月後にはきれいに消え去っています。
受験勉強や資格試験のような長期戦で勝つには、「スペーシング」が不可欠です。スペーシングとは、一旦学んだら少し時間(スペース)を空けて思い出す勉強法のこと。この勉強は、学んだことを短期間で繰り返し思い出す方法よりも、記憶の定着率がバツグンに高まります。
時間を空けてシナプスを固定化
実際に、これまでの研究で、復習までの間隔が記憶の保持期間に大きく影響することが繰り返し示されました。
脳の中で情報を伝える「神経細胞(ニューロン)」同士のつながりが太くなり、安定するまでには物理的な時間が必要です。
一夜漬けのように短期間で情報を詰め込もうとすると、情報のつなぎ目である「シナプス」の受け入れ容量がいっぱいになってしまいます。
そこに新しい情報が入ってきても、古い情報を上書きして消してしまうだけで、一旦学んだものが「自分のもの」として脳に深く刻まれることはありません。
忘れかけた頃がちょうどいい
逆に、少し時間を空けて、記憶が薄れかけた頃に「あれ、なんだっけ?」と思い出すと、脳は「この情報は何度も必要とされる重要なものだ」と認識し、記憶の定着を一段階上げます。
これを繰り返すことで、記憶は短期貯蔵庫から長期貯蔵庫へと移動します。「忘れること」は悪いことではなく、次の学習効果を高めるための準備期間なのです。
学習した翌日(24時間以内)
の3日後
の1週間後
の1ヶ月後
アドバイス
ベストな復習タイミングは、忘れかけた頃です。完全に忘れてしまったと思う直前、少し苦労して「うーん……あ、出た!」と思い出せるギリギリのタイミングこそが、脳にとって最も負荷がかかり、成長するゴールデンタイムです。同じ練習ばかり続けると「バカ」になる?
インターリービング
数学のテスト勉強をする時、「今日は二次関数の日」と決めて、二次関数の問題ばかりを20問解く。翌日は「確率の日」にする。
このような「ブロック学習」は、学校の授業や教科書によく使われていますが、実は実践的な力をつけるには非効率です。
反対にやるべきなのが、異なる種類の問題を混ぜて解く「インターリービング(交互学習)」です。
同じものだけVS色々混ぜる
実際に、学生に数学の問題をブロック学習とインターリービングで学習させて比較した研究があります。
●インターリービング群:「球」「円錐」「立方体」などの問題がランダムに混ざった状態で学習する。
学習中は、同じ公式を使い回せるブロック群の方が正答率が高かった(89%)のですが、1週間後の最終テストでは、インターリービング群の正答率(63%)が、ブロック群(20%)を圧倒しました。なんと3倍以上の差がついたのです。
問題を識別する力を養う
ブロック学習では、問題を解く前に「今は円錐の練習だ」などとわかっているため、「どの公式を使うか」を考える必要がありません。
思考停止状態で公式に当てはめる作業をしているだけです。
一方、ランダムに問題が出されると、「これはどの立体の問題か?どの公式を使うべきか?」という見分けるプロセスが必要になります。
テスト本番で問われるのは、計算力以上に、この「解法の見極め力」なのです。
混ぜて学習することで、脳は常に違いを比較・分析し、柔軟な応用力を身につけることができるのです。
サンドイッチ学習:一つの単元が終わったら、あえて以前習った別の単元の問題を間に挟んで解く。
ランダム演習:問題集を解く時、第1章から順番にやるのではなく、ページをランダムに開いて目についた問題を解く。
ごちゃ混ぜテスト:英語なら、現在完了形、受動態、仮定法が混ざった問題を解くことで、文脈から文法事項を判断する力を養える。
アドバイス
インターリービングを行うと、最初は間違いが増え、勉強が難しく感じて「全然進まない」と焦るかもしれませんが、それは脳が汗をかいている証拠です。「練習での苦労は、本番での楽につながる」と信じて、あえて茨の道を選んでください。スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長/哲学博士/EdTechコンサルタント
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