スタンフォード大学オンライン高校の校長が教える!――集中力を操る

記憶力・集中力・理解力・思考力を身につける100の勉強法を 最新の研究を元に解説します。 すべての勉強法に、今すぐ実践する方法も掲載。 脳の力を最大限に発揮させる、生活習慣や食事なども紹介。 子供から大人まで、一生役立つ情報が詰まった、勉強法の決定版です。『スタンフォード大学オンライン高校の校長が教える 世界の研究に基づいた 勉強法大全』(KADOKAWA)

教育

スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長/哲学博士/EdTechコンサルタント
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繰り返し読む、ノートをきれいにまとめる…その勉強法、実は非効率かもしれません。本書は世界中の研究成果から厳選した「正しい勉強法」を網羅。勉強の効率を劇的に高め、成果を最大化するための必読バイブルです。
星 友啓著書の『スタンフォード大学オンライン高校の校長が教える 世界の研究に基づいた 勉強法大全』(KADOKAWA)から一部転載・編集してお届けいたします。

【集中】集中力を操る

脳の意志力を節約し、
集中状態に入る技術

「やる気」は待っていても来ない

5秒ルール(着火法)

「勉強しなきゃ」と思っているのに、ソファーから動けない。TikTokを見続けてしまう。「あと5分したらやろう」と考えて、気づけば1時間が過ぎている。

この「動けない自分」を責める必要はありません。これは脳が「変化」を恐れ、ブレーキをかけているだけだからです。

カウントダウンで動きだす

このブレーキを強制解除する最強の技が、メル・ロビンズが提唱した「5秒ルール」。

やり方は、行動しようと思った瞬間に「5、4、3、2、1、GO!」とカウントダウンして、物理的に動き出すだけです。

なぜカウントダウンなのでしょうか?

脳には、無意識に動く担当(大脳基底核)と、考えて決める担当(前頭前皮質)があります。

私たちが「勉強しよう」と思った直後、脳は「面倒くさい」「失敗するかも」という言い訳を探し始めます。その猶予はおよそ5秒以内。

だから、言い訳が生まれる前に、カウントダウンで無意識の行動を止め、無理やり起動させるのです。

動くからやる気が出る

やる気は、行動した後に脳の側坐核という場所から分泌されるドーパミンによって生まれます。

つまり、やる気があるから動くのではなく、動くからやる気が出るのです。

5秒ルールは、その最初の着火剤として、脳の構造をハックするテクニックです。

実践ステップ
1

「勉強しなきゃ」という考えが浮かんだ瞬間をキャッチする。

2

すぐに心の中で(可能なら声に出して)「5、4、3、2、1」とカウントダウンする。

3

「GO!」と言った瞬間に、ロケット発射のように立ち上がる。

4

そのまま机に向かい、テキストを開く。

アドバイス

朝、布団から出られない時にも効果絶大です。このルールは「知っている」だけでは意味がありません。「5秒数えたら絶対に動く」という自分との決め事を一度でも破ると効果が薄れるので、ゲーム感覚で必ず実行するようにしましょう。

スティーブ・ジョブズが同じ服を着ていた理由

決定疲労の回避

Appleの創業者スティーブ・ジョブズが、いつも黒のタートルネックとジーンズを着ていたのは有名です。

バラク・オバマ元大統領も、スーツの色をグレーか紺に決めていました。彼らはおしゃれに気を遣っていなかったわけではありません。脳の「あるリソース」を節約していたのです。

それは「決定疲労」です。学習においては、「今日はどの科目からやろうかな」「どこのカフェに行こうかな」と自分で決めるのに迷う時間をなくし、行動をパターン化することが重要です。

バウマイスターの自我消耗の理論

アメリカで名を馳せる心理学者バウマイスターによれば、決断をするたびに、私たちの「意志力(ウェルパワー)」が消耗していきます。

有名な「空腹の裁判官」の研究では、仮釈放の審査を行う裁判官の判断を分析したところ、朝一番や昼食直後は約65%の確率で仮釈放を許可していましたが、夕方になり疲れてくると、許可率はほぼ0%だったのです。

そうやって、疲れた脳は、リスクを取って判断するエネルギーがなくなり、「現状維持」という楽な選択肢に逃げてしまう。

勉強を始める前に「何をしようか」と迷うだけで、脳は疲れてしまい、肝心の勉強の中身が入ってこなくなります。

「月曜の19時は数学」などと、やることと時間を具体的に決めておく。

そうやって決定疲労を回避すると、あなたの脳のスタミナは温存され、難問に立ち向かうエネルギーを残しておけるのです。

実践ステップ
1

「曜日×時間」でやるべき科目を固定する。(例:火曜の朝は英単語、夜は数学)

2

着る服や食べるものを、ある程度パターン化する。(特に試験当日の朝など)

3

「次にやる教材」を机の上に置いてから寝る。

アドバイス

「If-Then プランニング」を活用しましょう。「もし(If)家に帰ったら(Then)、すぐにそれを開く」と決めておくと、脳が自動的に反応しやすくなり、迷うエネルギーを使わずに済みます。

目の前の携帯は使わなくても悪さをする

環境アフォーダンス

「勉強中はスマホを触らないようにしよう」。そう固く誓っても、机の上にスマホがあるだけで、なぜか気になってしまう。

これはあなたの意志が弱いからではなく、スマホが「私を見て!」という強力なシグナルを発しているからです。

このシグナルを専門用語で「アフォーダンス」と呼びます。ドアノブが「回すこと」を誘っているように、スマホは「触ること」を強烈に誘発しています。この誘惑に抗うには、物理的に環境を変えるしかありません。

脳パワーの無駄遣い「ブレイン・ドレイン」を避ける

テキサス大学の研究チームが行った実験が衝撃的です。

スマホを「机の上に伏せて置く」「ポケットに入れる」「別室に置く」の3つの条件でテストを行いました。どの条件でもスマホに触れるのは禁止。

それにもかかわらず、スマホが別室にあるグループの成績が圧倒的に高く、机の上にあるグループが最も低かったのです。

つまり、ただスマホが近くにあるだけで、脳は「スマホを見たい」という欲求を抑え込むために集中力のエネルギーを無駄遣いしていたのです。

意志の力で誘惑に勝とうとしてはいけません。勉強机には勉強道具だけを置く。

それだけで、脳のスペックは解放され、本来の力を発揮できるようになるのです。

実践ステップ
1

勉強を始める前に、スマホを別の部屋に置くかカバンの中の取り出しにくい場所に入れる。

2

マンガやゲーム機は、布をかけるか、視界に入らない場所に片付ける。

3

逆に、参考書やノートは「開きっぱなし」にして机に置いておく(勉強する行為をアフォードさせる)。

アドバイス

「20秒ルール」を使いましょう。悪い習慣(スマホなど)は「やり始めるのに20秒余計にかかる」ようにし、良い習慣(勉強など)は「20秒早く始められる」ように環境をセットするのです。
PROFILE

スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長/哲学博士/EdTechコンサルタント

星 友啓

1977年東京生まれ。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。 TexasA&M大学哲学修士、スタンフォード大学哲学博士課程修了。同大学哲学部講師として論理学で教鞭をとりながら、スタンフォード・オンラインハイスクールスタートアッププロジェクトに参加。2016年より校長に就任。現職の傍ら、哲学、論理学、リーダーシップの講義活動や、米国、アジアにむけて教育及び教育関連テクノロジー(EdTech)のコンサルティングにも取り組む。 著書に『スタンフォード式生き抜く力』(ダイヤモンド社)、『スタンフォード・オンラインハイスクール校長が教える子どもの「考える力を伸ばす」教科書』(大和書房)、『スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長が教える脳が一生忘れないインプット術』(あさ出版)、『スタンフォード大学オンライン高校の校長が教える 世界の研究に基づいた 勉強法大全』(KADOKAWA)など。
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