「がんばらなくても家事がまわるしくみ」――子どもに関する家事のしくみ化
料理、洗濯、掃除、買い物、片づけ……。 やってもやっても終わらない家事に追われて、自分のやりたいことはいつも後回し。 「今日も何もできなかった」と、ため息をついてしまうことはないでしょうか。 本書は、5人の子どもをほぼワンオペで育てながら、 自分のやりたいこともあきらめずに続けてきた著者がたどり着いた、 「がんばらなくても家事がまわるしくみ」 を紹介する一冊です。
家事
家事に追われて一日が終わっていませんか?本書は、家事を「しくみ化」し暮らしを心地よく整える「ごきげん」ルールを徹底解説。家事をラクにして、自分のやりたいことも楽しむためのヒントが満載です。
『がんばらない家事 やりたいことは全部やる!ラクして整う「ごきげん」ルール』から一部転載・編集してお届けいたします。
子どもに関する家事のしくみ化
家事以上に正解がない!?不安を「ごきげん循環」に変える
「子どもに関する家事」は、1ステップでおさめるには無理があることは承知ですが、その他の家事と同じ考え方でしくみ化できる部分は多々あります。
ただ、ほかの家事とちがって、よくも悪くも心が動きやすいことが大きな特徴です。
毎日のお弁当、
プリントの管理、
提出物の締め切り、
習い事や学校行事の把握、
体調や気分の変化への対応、
そして子どもを通じた人間関係などなど。
洗濯や掃除のように「時短でラクで簡単に!!」をゴールにすると、なぜか自分を責めることにつながりやすい。
それは、育児は家事に比べて思い入れが強く、子どもの行動は親の責任と感じやすいからかもしれません。
私自身も、5人の子育てまっさかりのときは、ほかの家事そっちのけで子どもに全振りしても、間に合っていない日々でした。
親として自分の判断に自信が持てず、情報をいくら集めても、本や講座で学んでも、その不安は消えない。
見えない未来を勝手に心配して、寝かしつけたあとはぐったり疲れて立ちあがれない夜も何度も体験しました。
でも、子どもたちが成長し、私自身も仕事や学びを重ねる中で、あることに気づいたのです。
子どもに関する家事は、“親の正解を探すもの”ではなく、“子どもが安心して自立していく環境を整えるもの”。
完璧な判断を目指すよりも、親がごきげんに笑ってそばにいること。
不安で先まわりするのではなく、信じて任せて見守ること。
そう考えるようになってから、私の中の緊張が少しずつほどけていきました。
子どもに関する家事を、「不安を増やす作業」から「ごきげんがめぐるしくみ」へ。
この章では、ほかの家事以上に正解がない子どもに関する家事を、どうやって抱え込まず、循環させていくかを考えていきます。
「ゆずれないもの」を決める
わが家にとって、子どもに関する家事のゆずれないものは、
「安心空間で、幸せになる力が育つ」
です。
幸せになる力とは、自分の人生で何が起ころうとも、工夫して人とつながりながら、自分で自分を幸せにできる力です。
子どもに関する家事は、いつも「効率化」が一番のゴールとは限りません。大人からすると非効率に見えることが、そのときのわが家の正解になることもあります。
子どもと一緒に料理をつくる
子どもの「自分でしたい」を見守る
子どもたちが考えて決めるのを待つ
親から見たらもっとラクで簡単な近道があっても、本人が納得いくようにさせてみるということが答えになるときもあるのです。
とはいえ、それは親の心にゆとりがあってこそ、できること。
だからこそ、「しくみ化できるところ」「子どもに任せていいところ」は、できるだけ効率化していく。
子どもに手をかけたいところに、ちゃんと心と時間を使えるように。
そんなゆとりを生み出すことも、わが家の大切な「子どもに関する家事」だと思っています。
1
ギューッとへらす
モノをへらす
子どもが生まれると、モノは一気に増えていきますよね。
くりかえしになりますが、モノが増えるたびに、管理・確認・判断が積み重なります。
子どもとの有意義な非効率時間を楽しむためにも、やはりできるだけモノをへらせるほうが理想です。
●「成長スピードに合わないモノ」をへらす
サイズが限られるフォーマル服や年齢制限つきの知育おもちゃなど、すぐにサイズアウト・不要になるモノは増やしすぎないことを意識しました。
具体的には、服は大人も子どもも1シーズンにつき2~3セットまでを基本にしています。
子どもの場合、年齢や習い事によって着替えが多めに必要になることもあるので絶対ではないですが、日常で着まわす服は多くても3セットで十分です。
●「用途がかぶるモノ」をへらす
似たような文房具、服、教材を厳選し、「お気に入りを少数精鋭」にすることで、選ぶ・探す・片づける手間をへらしました。
「お気に入り」は、親のお気に入り・子どものお気に入り両方を意味します。まずは親がモノを厳選する思考をとりいれて、年齢に応じて子どもにも伝えていく。こうすることでスムーズに考え方を親子で共有できました。
●「一時的にしか使わないモノ」をへらす
ベビーバスや入学式の服など期間限定のモノは、レンタル・おさがり・シェアで対応。ほかにも、ピアノの発表会のドレスはレンタルにしたり、制服をおさがりにしたりしました。
●「本人が管理できない量のモノ」をへらす
わが家は子どもが多いので各自の「自分のスペース」が決められています。そこに収まるぶんだけ、自分のモノを厳選するルールにしました。子ども1人のスペースはロフトベッドとその下のデスクまわりと収納。そこに管理できる量を守るというルールがありました。
●「用途を終えたモノ」を速やかにへらす
使い終えたものは、感謝をしながら手放していきます。
かさばる学習机、ロフトベッドなどは、軽トラック1台でまとめて廃品回収に出しました。ランドセルや制服などは子どもたちとどうしたいか話し合い、必要とされている国に送ったり、リサイクル業者に託したりしました。
column
「モノが少ない」はかわいそう?
子どもは、流行りのモノをほしがったり、必殺「みんな持ってる」作戦を使うこともあるかもしれません。
対して親は「子どものころ買ってもらえなかったことが、ずっと悲しい思い出になったらかわいそうだ」とついつい思ってしまいがち。
ですが、子どもはモノが少ないほうが集中力や創造性を発揮しやすいという研究データがあるそうです。
また、ある程度の制限があることで、限られた環境で工夫するようになり、問題解決力、忍耐力、自己調整力も育まれます。
つまり、わが家のゆずれないもの「幸せになる力が育つ」ためには、モノは少ないほうがいい場合もある。
「足るを知る」「モノを厳選し、管理できるスキルが身につく」
「モノがなくても、楽しみを生み出せる力が育つ」
これらはすべて、子どもたちが人生を歩んでいくうえでの大切な宝物になると、私は考えています。
動作をへらす
生まれたての赤ちゃんは、ただひたすら大人の手を必要とします。
このときは本当に大変ですが、人生の中でとにかくあっというまに過ぎていく特別な時間なので、せっかくならできるだけどっぷりと楽しんだほうが勝ちだと私は思ってきました。
ですが、子どもたちが成長するにつれて、方針も方向転換。
年齢に応じて、子どもたちが自分でできるように「しくみ化」していくことで、劇的に動作をへらしていくことができます。
●「親が準備する動作」をへらす
朝、起こす前に服を並べてあげる、忘れ物がないかチェックするなどの「親が先まわりする動作」をへらします。一度困る経験をさせて、一緒に「どうすればいいか」を考えます。
どこまで任せるかは年齢に応じて本人責任に移行していきます。
わが家の目安は、5年生の野外学校のころには、1週間分の準備を自分で完全にできること。日々「自分のことは自分で」を育てていきます。
何度も忘れてしまうものなどは、本人と話し合ってチェック表をつくってみるなど、「できるようになるしくみ」を一緒に考え、トライアル&エラーをくりかえして共に成長していきました。
●「毎回声をかける動作」をへらす
「歯磨きした?」「宿題やった?」と聞けば聞くほど、人はうんざりする生き物。チェックリストをつくったり、ハンカチ・ティッシュ・マスク・名札などの定位置を決めて、そこから取っていきやすいようにしておくなど、「親が声をかけなくてもやれる」環境をつくります。
●「やり直しさせる動作」をへらす
洗濯物干しや学校の課題、片づけ方など「この完成度はちょっと・・・・・・」と思うことも多々あります。が、ひとまず完成度はいったんおいて「自分でやった」を尊重します。
もちろんフォローが必要な場合もあると思いますが、必ずしも毎回でなくていい、というのが私の考えです。
親が100パーセントフォローしなくても、子どもはちゃんと成長します。
思考(迷う時間、ストレス)をへらす
「子どもに関する家事」においては、“思考”こそが最大の時間ドロボーなのではないでしょうか。
とくに1人目の育児となると、親も初体験のことばかり。親としての自信のなさから、考えても仕方ないことをどれだけ考えるでしょう。
でもそれは、親として子どもに向き合っている証拠です。
子どものことで疲れるほど考えたなら、まずはそんな自分を認めてあげていいと思います。
ただ、やりすぎは禁物。次の方法でへらしていきましょう。
●「正解を探し続けるストレス」をへらす
ほかの家庭・SNS・専門家が正解としているものにふりまわされず、学びながら成長できたら100点としました。情報に惑わされそうになったら、「正解はいろいろあるよね~」と流しています。
●「失敗させてはいけないストレス」をへらす
子どもにとっての失敗は、成長への大切な経験。子どものころこそ、いっぱい失敗して、成長の糧にできます。
①命に関わること、②人の尊厳を深く傷つけること、③犯罪や重大な違法行為でない限り、とりかえしのつかない失敗はまずありません。
●「親にすべての責任があるストレス」をへらす
親は管理者ではなく、環境を整える人。足りていないところがあれば、しくみを考えるだけでいい。子どもの可能性は、親ごときがどうにかできるものではありません。
●「不安で先まわりするストレス」をへらす
不安の97%は起こらないというデータがあります。
また、日本人は世界一「不安」を感じやすいDNAを持っているそうです。
大きすぎる不安は、親と子のごきげんを奪っていきます。
子どもはちゃんと乗り越える力を持っていると信じて、いらぬ不安は手放しましょう。
2
クルッとまわす
マニュアル化
「幸せになる力」には、「自立」が不可欠です。
自立はすぐにできるものではないですが、できるようになるまでは時間を投資することが、長い目で見たら何よりものしくみ化だと私は感じます。
最初はしっかり時間をとって、
やり方
モノの置き場所
流れ
を整えておくことで、子どもは少しずつ自分でできる力を身につけていきます。
わが家の場合は、一番上の子に最大投資することでどうにか5人を育てられたと思っています。
給食当番の服のアイロンがけ、洗濯物干し、お味噌汁づくり、ミシンを使った雑巾づくり、学校の本読みのチェックなど、上の子にていねいに時間をかけて教えます。
そして、それを上の子が下の子に教えていく。
その形で、家族全員の自立と家事のしくみ化ができた気がします。
完成度は、さておきですが(笑)。
どの家事を選ぶかについてですが、いきなり難しいことを任せる必要はありません。
比較的分担しやすく、失敗しても困りにくいものから始めます。
たとえば、
● トイレ、お風呂掃除
● 洗濯物干し
● お米研ぎ
● お味噌汁づくり
● 玄関の靴そろえ
● カトラリーの準備
こうした家事は、手順がシンプルで毎日くりかえすため、マニュアル化・ルーティン化にとても向いています。
ここでいうマニュアル化とは、細かく教え込むことでも、完璧を求めることでもありません。
子どもたちが「見れば迷わず一人でできる」ように、環境を整えておくことを目指します。
ルーティン化
子どもに関する家事の中でも、多くの方が悩むのが「片づけ」ではないでしょうか。
わが家にとってもニガテ項目である「片づけ」に関しては、「朝と晩の片づけルーティン」をしくみ化したことで成功しました。
わが家は朝全員がそろっているときにお掃除タイムがあります。
この時間にすべての部屋に掃除機がまわるので、自分の部屋の床にあるものはすべてその前にあげておく必要があります。
毎日このルーティンにすると、「掃除機の時間までには片づけておかなきゃ」という意識が家族の中に自然と生まれます。
日に日に習慣化されて「常に片づいた状態」をキープしやすくなりました。
夜は夕飯の前に「ホテルのような空間でごはんにしよう!」を口グセに、全員でホテル空間を目指して(だいぶ遠いですが)片づけタイムを習慣にしました。
時間にして5分ほど。長くても10分までとしています。
どちらも、「家族全員がそろっている時間に、毎日短時間の片づけタイムを設定する」ことが、一番効果的だったと感じています。
分担化
4月になると、わが家では家事の分担に関する家族会議が開かれます。
小学校、中学校、高校、大学と進学するにつれて、生活リズムや習慣によってそれぞれのやりやすい時間帯が変わります。
そのため、どの家事を誰が担当するかは、各自の希望や意見を聞いて、話し合って決めています。
夜のお皿洗いはきょうだいで完全曜日固定化しています。
習い事などで帰宅の早い日・遅い日によって決めたり、イレギュラーな用事が入ったときはそれぞれで話し合って交代したりしています。
家族間でもこうしたコミュニケーションを気持ちよくとれることは、何よりも大切な学びになっていると感じています。
3
ポトッとツヤだししてみたす
洗濯ならアロマを一滴。
料理なら毎日のデザートや、ちょっと変わった一品。
掃除ならハッカ油の香りや、蛇口・鏡をピカッと光らせること。
では、子どもに関する家事の「ツヤだし」は何かというと、私にとっては、
子どもと一緒に家事をする毎日そのものを、宝物として味わうこと
でした。
子どもが小さいころ、家はしっちゃかめっちゃかで、毎日私は子どもたちを「生きさせる」のに精いっぱいで、夜にはぐったりしていました。
それでも、洗濯物を一緒にたたんだり、料理を手伝ってもらったり、テーブルを拭いてもらったりする時間を、私はできるだけくらしの中に入れてきました。
もちろん、効率だけでいえば遠回りです。
でも、その遠回りの中で、子どもたちは「幸せは自分たちでつくれる」「自分は人の役に立てる」という感覚を、少しずつ身につけていったように思います。
今、中学生から社会人になったわが子たちは家事を特別なことではなく、息をするように自然にします。
その姿を見ると、あのしっちゃかめっちゃかな日々こそが、何よりもの「幸せのしくみ化」だったのかもしれないと思うのです。
子どもに関する家事を「みたす」には、子どもと一緒にくらしをつくる時間を味わうこと。
その毎日は忙しくて大変だけれど、あとから振り返ると、家族の土台になる宝物になるのだと思います。
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