【掲示板の声×公認心理師】子どもが「学校に行きたくない」と言ったら?休ませるか迷ったときに見たい4つのサイン
「学校に行きたくない」と言われたら、休ませる?様子を見る?子どもの心や行動に現れる4つのSOSサインを、公認心理師と見ていきます。
学校
【掲示板の声×公認心理師】子どもが「学校に行きたくない」と言ったら?休ませるか迷ったときに見たい4つのサイン
「学校に行きたくない」と言われたとき、親としてどう向き合えばいいのでしょうか。
休ませたほうがいいサインなのか、それとも様子を見ていいのか。ただの気分の波なのか、体調のサインなのか、それともいじめが絡んでいるのか...。そう考えれば考えるほど、「休ませるべき?」「もう少し様子を見るべき?」と迷ってしまう親も多いと思います。
2025年に発表された文部科学省の調査によると、小・中学校で「不登校」とされる子どもは35万3,970人となり、12年連続で過去最多を更新しています。
児童生徒の自殺者数も、2025年に538人となり、過去最多を更新しました。長期休業明けの9月1日前後は、日別で見ると1年のうちでもっとも件数が多くなる傾向があり、「9月1日問題」として知られています。文部科学省は2026年、夏休みに入る前の段階から自殺予防の対策を進めるよう、学校現場に通知を出しました。
もちろん、子どもの「学校に行きたくない」という一言だけで、深刻な状態だと判断することはできません。だからこそ、その言葉を軽く受け流すのでも、必要以上に深刻に捉えるのでもなく、その背景に何があるのか、どんなサインが出ているのかを見ていくことが大切です。
子どもが「行きたくない」と口にしたとき、その気持ちを置き去りにしないこと。最終的にどうするかを決めるのは保護者ですが、「教育機会確保法」や「こども基本法」といった法律も、支援にあたって子ども本人の意思を尊重するよう求めています。
この連載【掲示板の声×公認心理師】では、てつなぎ掲示板に寄せられた声と、公認心理師・田村俊作先生の言葉を照らし合わせながら、子育て中の親のモヤモヤを少しずつほどいていきます。
今回は、「学校を休ませたほうがいい?」と迷ったときに見ておきたい子どもの7つのサインについて、全2回に分けて田村先生に伺います。
第1回では、前日のそわそわや登校しぶり、特定の授業への不安、先生への恐怖など、日常の中に現れる4つのサインを一つずつ見ていきます。
夏休み明けの「行きたくない」|見過ごせないサインとの違い
本来であれば学校の時間ですが、今息子は私の目の前にいます。うすうす感じていたのですが、今日はっきりと学校に行きたくないと言いました。休んでいいよとだけ言いました。本音は行きたくない理由を聞きたいし、学校に行って欲しいとも思っています。なんて声掛けをすればいいんでしょうか?
(「息子の行き渋りが始まりました」/匿名さん・30代
投稿を見る)
一方で、その「行きたくない」の背景に、無理をさせないほうがいいサインが隠れていることもあります。
では、どこまでが「よくある行きたくない」で、どこからが“見過ごせないサイン”なのでしょうか。まずは、学校へ行く前日の夜に現れる変化から、田村先生に伺っていきます。
こうした様子が見られたとき、まず何をしてあげればいいのでしょうか?
まずは安心できる環境を整える
それでも、そわそわして落ち着かない、眠れないといった状態が強く出ている場合は、「明日、無理しなくていいんじゃない?」っていう声かけはしてもいいのかなと思います。
「明日、学校嫌だな」はただのぼやき?見極めるポイント
ただ、眠れない、食欲がないなど、体にも変化が出ている。小さい子なら、お母さんにずっとくっついているような、怯えている様子がある。そういう場合は、注意して見てあげたほうがいいと思います。身体的にも精神的にも強く出ているようであれば、無理はさせないことです。
逆に「嫌だな」と言いながらもゲームしたりテレビを見て笑ったりしているようであれば 、ある程度は感情をコントロールできているのかなと思うので、そのぐらいなら、そこまで心配しなくていいと思います。
ほかにも、親が注意して見ておいたほうがいい変化はありますか?
食欲・睡眠・表情|見逃さないでほしいポイント
サイン②「行きたくない」をよく言うようになった|その言葉、どう受け止める?
幼稚園に行きたくない…という3歳息子。今までもたまに言っていて、別の話してるうちに普通に行くモードになるパターンだったけど。今日は何度か行きたくないと言い、理由を聞いても特に何も言わず… 単に夏休み明けでおうちで遊ぶモードなだけなのか、どうなのか…どう対応していいかわからず。
(「幼稚園に行きたくない」/ヨタママさん・40代
投稿を見る)
言葉だけでなく、行動にも目を向ける
「学校に行きたくない」って言われると、親としてはどう返していいのか分からなくて、焦ることもあると思います。でも、子どもはわがままで言っているわけでも、親を困らせたくて言っているわけでもなく、自分の中で消化しきれない不安を吐き出して、心のバランスを取っているっていうこともあります。
そう考えると、「行きたくない」と吐き出せていること自体は、悪いことではないと思います。
「どうする?」より、まず受け止める
「そうだよね、しんどいよね。大人もしんどいもん」って。
子どもって、「行きたくない」とけっこう軽く言うこともあるじゃないですか。 本当はつらくても、そんなに重たくしたくない気持ちがあったり、親に心配をかけたくなくて、あえて軽く言ったりすることもあるかもしれません。
だからこそ、言葉だけで判断するのではなく、言葉と表情や行動をセットで観察することが大切だと思います。
サイン③ 特定の授業・行事の前だけ強く嫌がる
図工が嫌だから明日は学校に行きたくない。「不器用だからイヤだ」と私に言ってきた息子。
この発言に私はどう寄り添えばいいの?って、一瞬フリーズした瞬間に夫が会話に入ってきた。
「工作?あれな。上手に作らなくていい。明日は一番ぐちゃぐちゃなヤツを目指してこい」
「下手に見られるのが嫌」「うまくできない自分が怖い」評価されることからくる息子の恐怖をごっそり外してた。
(「怖さを外すという子育て」/共働きワンオペ3児ママの独り言さん・40代
投稿を見る)
「傷つきたくない」自分を守ろうとする心理
この投稿にあった「不器用だから嫌だ」っていうのも、その場面で自分が傷つくことを避けたいということなんですよね。
たとえば、みんなの前で発表するのが嫌だったり、運動会で「走って負けたらバカにされるかもしれない」と思ったり。失敗することや、失敗を人に見られることが怖いという場合もあります。
特に完璧主義の傾向がある子は、失敗を人に見られることを怖がって、避けたがる傾向が強くなることもあります。ほかにも、音や人混みが苦手といった感覚過敏が関係している場合もあるかもしれません。
そうやって自分を守ろうとする“逃避行動”なので、ある意味で妥当な反応だと思うんですよね。
📘 編集部注:「逃避行動」について
逃避行動とは、不安や恐怖を感じる場面を避けることで、自分を守ろうとする心の働きのことです。
背中を押すことと、環境を変えることの両方が必要
まずは「何が苦手なのか」「何が嫌なのか」をポイントで聞いてあげることも大事。そのうえで、本人が気持ちを切り替えられそうであれば、少し背中を押してあげる。そうやって子ども自身が乗り越えて成長していくことも必要ですからね。
一方で、環境を変えることが必要な場合もあります。できそうであれば、学校にも協力してもらって、その子が過ごしやすい環境に変えてもらうことも一つだと思います。
背中を押してあげることと、環境を変えること、その両方を考えながら、学校と保護者が目線を合わせていくことが必要かなと思います。
それでも強く嫌がる場合、“これ以上無理をさせないほうがいい”と判断する目安はありますか?
無理をさせない目安は、体や日常生活の変化
見極めるポイントは、やっぱり身体症状だと思います。
サイン④ 先生の言葉や態度に怯えるようになった
長男の学年主任がちょい強め。遅刻をしたんだけど「ルール守れや」って叱責されたらしい。
私が怒ったときより怖かったというからそれなりに刺さったんだと思う。これがきっかけで、「学校に行きたくない」とか言い出したどうしようと思うわけよ。来年、この先生が担任だったらって思ったら、ちょっと不安になってしまって。さっき学校に、「できれば担任は外してほしい」と伝えた。これって過保護になるんかな?もしかして、私はモンペの類に入るんかな?
(「これは過保護ですか?」/共働きワンオペ3児ママの独り言さん・40代
投稿を見る)
先生への恐怖の程度をどう見るか
小学校だと、学級担任が一人なので、なかなか難しいところですよね。中学校のように教科担任制であれば、「その授業だけは出たくない」ということもあるでしょうし、その時間だけ相談室や保健室に行ったり、少し休んだりする方法もあると思います。
そういう形で、子どもがどこまでならできそうなのかを考えながら、学校とすり合わせていくことも必要なのかもしれませんね。
一方で、この投稿者さんのように、学校へ相談したくても「過保護だと思われないかな」「モンスターペアレントだと思われないかな」と不安になる親もいると思います。 こうした親の心理については、どう捉えますか?
「過保護」「モンペ」と思われるのが怖い
まとめ|「行きたくない」の言葉だけで判断しない
子どもに「学校に行きたくない」と言われると、親としては「休ませる?」「行かせる?」と、すぐに答えを出したくなってしまうかもしれません。
でも、第1回を通して田村先生が繰り返し伝えていたのは、「行きたくない」という言葉だけで判断しないことでした。
眠れているか、食欲はあるか、いつもどおり好きなことを楽しめているか。表情や行動に変化はないか。そして、特定の授業や先生など、何かを強く怖がっていないか。
「行きたくない」という言葉をまず受け止めながら、いつもの子どもと何か違うところはないかを見ていくことが、ひとつの判断材料になりそうです。
では、腹痛や頭痛などの体調不良が続く場合や、いじめが疑われる場合はどうすればいいのでしょうか。
第2回では、体に現れるSOSや友人関係・いじめ、そして「消えたい」「死にたい」といった見過ごせない言葉が出たときに、親はどう向き合えばいいのか。引き続き田村先生に伺います。
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