スネ夫は『気遣いのプロ』だった!――「スネ夫力」の隠れた本質
「自慢ばかりする」「お世辞が多いお調子者」など、ちょっと嫌みなキャラというイメージが強いスネ夫。しかし実は、相手をほめる気配り力や空気を読むセンスが抜群の世渡り上手だったのです!人生に役立つ、スネ夫流・生きかた術をご紹介します。
人間関係
スネ夫は、ただゴマをすっているわけではありません。相手を観察し、喜ぶポイントを見つけ、気持ちよく動いてもらう方法を知っていた。人をホメることは相手のためだけでなく、自分の人生の得にもなる。
本書では、長年『ドラえもん』の全作品を研究してきた著者が、そんなスネ夫の言葉や行動を徹底分析。「ホメ力」「人の心を読む力」「信頼される話し方」「世渡り力」「夢を実現する考え方」など人生を少しラクに、そしてうまく進めるためのコツを読み解きます。
横山 泰行著書の『ポケット版「スネ夫」という生きかた』から一部転載・編集してお届けいたします。
愛されることこそ、「スネ夫力」の隠れた本質
「スネ夫力」と聞くと好戦的なイメージを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、
実は「みんなから愛される」のが「スネ夫力」の隠れた真髄です。
かつて「愛され女子」ということばが流行りました。
一見受け身に聞こえますが、人生を前向きに生きる、実は大変ポジティブなことばです。
「好かれる人ほど、仕事の成績が上がったり、寿命が延びたり」という研究報告もあります。
他人に好かれると気分がよくなり、自ずと脳も活性化してイキイキと働くようになるというのです。
誰もがみな、好かれて気分がよくなったほうが、幸せなはずです。
また、アメリカ大リーグのワールドシリーズや、プロバスケットボール(NBA)を分析したところ、気分が前向きなチームほど、圧倒的に勝率が高いという結果も出ています。
もし人から愛されなかったら・・・・・・。
たとえどんなに優れた性質や能力を持ち合わせていても評価されずに、不遇だったり孤独を感じたり、生きることをつらく感じてしまうでしょう。
「女子」に限らず、老若男女を問わず人間にとって愛されることは実に大切なことなのです。愛されるコツを、ぜひスネ夫に学んでみてはいかがでしょうか。
豊臣秀吉とスネ夫の意外な共通点
私のような古い人間は、「愛される」といえば「人たらし」ということばが思い浮かびます。
簡単に言うと、相手の心理を読んで喜ばせ、自然と人に好かれるようになるということです。
歴史上の人物でいえば、豊臣秀吉が有名です。
「寒い日に、仕えていた織田信長の草履を温めて出した」というエピソードは、あまりにも有名です。
秀吉とまではいきませんが、学校や職場や家庭など、読者のみなさんが置かれた環境のなかで自分の立ち位置をうまくつかみ、人間関係をより円滑に実りあるものにしてもらいたいという願いもあって、本書は生まれました。
スネ夫が教えてくれるのは、まさに人間関係を円滑にするコツなのです。
「口がうまいこと」になんとなく抵抗があるという方は、ゴマをするというよりも、すべての人に気を配っていると考えるようにすればいいのではないでしょうか。
目下の若い人にも優しい心を発揮すれば、それを「ゴマすり」だとは誰も考えません。
みんなが幸せな気分になれば、気のきいた言い方は悪いことではないと思うのです。
大人も顔負けのスネ夫の優れた観察力
人間関係をコントロールできる「人間通」であることも、「スネ夫力」の大きな要素。
スネ夫は、子どもながらに立派な「人間通」です。ジャイアンの行動パターンや思考回路を完全につかみ、思い通りに「操縦」している、といえばわかりやすいでしょうか。
冴えわたるカンと機転のよさで、ジャイアンの怒りに震えるこぶしを下ろさせたり、大音量での迷惑なリサイタルを中止させたり。
稀有な能力を発揮するスネ夫は、仲間たちに感謝されることもしばしばです。
「自分もこんなふうに人間力を発揮できれば」と、うらやましく感じる方が多いでしょう。
また、彼はこんなことばも残しています。
「ウソをつくだろ。それがばれそうになって、ごまかすためにまたウソをつく。ウソがどんどんふくらんで、手におえなくなるんだ」(『てんとう虫コミックス大長編ドラえもん第1巻「のび太の恐竜」』(小学館)より引用)
まるで、苦労した社長さんの回想録にでも出てきそうなセリフです。10歳の子どもの発言とはとても思えない含蓄の深さではありませんか。
大人びたスネ夫は、現実感覚にも優れています。
「今の世の中でものをいうのはお金だよ。それと頭とルックスさ」(『てんとう虫コミックスドラえもん第23巻』(小学館)より引用)
シビアな彼のセリフには、まったくドキリとさせられます。もちろん、これは作者一流の「風刺」であり、私たち大人に向けて投げかけられる問題提起でもあるのでしょうけれど。
現代社会を生き抜く「スネ夫力」を今すぐ手に入れよう!
私がスネ夫を愛してやまないのは、彼がそんな厳しい現実を見据えながらも、現実を否定するのではなく受け入れ、屈せずに立ち向かう強さを持っているからです。
大人にならないとなかなか見えてこないかもしれませんが、社会には多くの不条理や不完全なことがあります。
だからといって、逃げたり、ふてくされたり、批判ばかりしていても、自分の人生をよくすることにはなりません。
人生とは、どこかで腹をくくって、真正面から立ち向かわないと好転しないものなのです。
以前「リア充」(実際の生活や人生が充実しているという意味)ということばが流行しました。
私はスネ夫を見るたび、「リア充」を目指すたくましさを感じ、のび太とは違った意味で励まされずにはいられません。
もちろん人間としてのアラはありますが、それらを差し引いても、彼の生き抜こうとする強さには魅力を感じます。
苦境を切り開こうとするポジティブさは、万人の心を打つものです。
ちょっとマジメな話になってしまいましたね。
最後に、「恋愛の局面においても『スネ夫力』が助けになる」と申し添えておきます。
スネ夫と女子の共演シーンのほとんどに、口説きの名ゼリフが登場するといっても過言ではありません。
たとえば「花を愛する人は心のキレイな人だって」(『てんとう虫コミックス・ドラえもんカラー作品集第6巻』(小学館)より引用)なんて、気になる女子に向かって堂々とホメてしまうのです。
スネ夫がもし現実世界で存在したら、くやしいことですが超モテ男子になることは間違いないでしょう。
本書は、2012年に『「スネ夫」という生きかた』として発刊しましたが、今回『ポケット版「スネ夫」という生きかた』というタイトルに変更し、手に取りやすい新書サイズに生まれ変わりました。
ぜひ、たくさんの方に読んでいただければ嬉しい限りです。
さあ、スネ夫のことばを軸に『ドラえもん』を読み解いていきましょう。
スネ夫はいつでも喜んで、あなたの人生の参謀(ブレーン)になってくれるはずですよ。
「スネ夫力」を磨くことは、あなたの心や人間関係を磨くことにもつながるのです。
一度しかない人生、明るく楽しく戦略的に生き抜きましょう!!!!
富山大学人間発達科学部名誉教授。 教育学者(教育学博士)。
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