スマホ全盛期の今だからこそ。「昔ばなしのちょい足し」が子どもの「生きる力」と「考える力」を伸ばす。
「毎日読めなくても大丈夫」——昔ばなしに育ててもらう、気負わない子育て
しつけ/育児
スマホ全盛期の今だからこそ。「昔ばなしのちょい足し」が子どもの「生きる力」と「考える力」を伸ばす。
てつなぎ編集部
「子どもに絵本や昔ばなしを読んであげたいけれど、毎日忙しくてなかなか続けられない……」 「スマホや動画ばかり見せてしまって、これでいいのかなと不安になる……」 日々の子育ての中で、そんなプレッシャーや罪悪感を抱えていませんか?
今回は、30年以上にわたり昔ばなしの語りや研究に携わり、ご自身も3人のお子さんを育ててこられた沼賀美奈子先生にお話を伺いました。
今回は、30年以上にわたり昔ばなしの語りや研究に携わり、ご自身も3人のお子さんを育ててこられた沼賀美奈子先生にお話を伺いました。
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◆『本当の頭のよさが育つ昔ばなしの魔法』を執筆された経緯
てつなぎ編集部
沼賀先生はこれまで多くの親子に「昔ばなしの語り聞かせの大切さ」を伝えてこられたと思いますが、今回『本当の頭のよさが育つ昔ばなしの魔法』をご執筆された経緯をお聞かせいただけますか?
沼賀先生
学生時代に師事した小澤俊夫先生との出会いから始まり、30年以上にわたり昔ばなしの研究や普及活動に関わってきました。一方で、私自身も3人の子どもを育てる中で、研究してきた昔ばなしの語り聞かせが育児の現場で非常に役に立つことを実感したんです。
私は大学で助手を務めた後、夫とともにIT系ベンチャー企業を約20年経営してきたという少し異色の経歴もあります。アカデミックな世界に留まらず、ビジネスの荒波に揉まれる現場や、自身のリアルな子育ての中で試してきたからこそ、「一般の方に本当に役立つ形に落とし込めるのは自分しかいない」と感じたのが執筆のきっかけです。
また、私自身が3回とも産後うつを経験し、追い詰められた時期に昔ばなしの語り聞かせに救われた経験があります。子育てに悩み、孤立しがちな親御さんの心が少しでも軽くなるきっかけになればという強い思いもありました。
私は大学で助手を務めた後、夫とともにIT系ベンチャー企業を約20年経営してきたという少し異色の経歴もあります。アカデミックな世界に留まらず、ビジネスの荒波に揉まれる現場や、自身のリアルな子育ての中で試してきたからこそ、「一般の方に本当に役立つ形に落とし込めるのは自分しかいない」と感じたのが執筆のきっかけです。
また、私自身が3回とも産後うつを経験し、追い詰められた時期に昔ばなしの語り聞かせに救われた経験があります。子育てに悩み、孤立しがちな親御さんの心が少しでも軽くなるきっかけになればという強い思いもありました。
てつなぎ編集部
研究者としてだけでなく、ビジネスの第一線や3人のお子さんの育児、そして産後うつという大変なご経験があったからこそ、語られる言葉の一つひとつに深い説得力と温かみを感じます。
◆「本当の頭のよさ」が指す力とは
てつなぎ編集部
本のタイトルにもある『本当の頭のよさ』とは、具体的にどのような能力を指しているのでしょうか?
沼賀先生
単なるテストの点数や学力、知識の多さだけではありません。実社会やビジネスの現場、そして子育てを通して感じるのは、次のような力です。
・考え続ける粘り強さ(グリット)や折れない力
・人の気持ちを想像する力
・失敗しても「これで終わりではない」と立ち上がる力
・ゼロから物事を立ち上げる力
・物事を俯瞰し、パターンや構造を捉える「抽象化力」
これらの力は、大人の社会を生き抜く上でも不可欠なものです。昔ばなしに触れることは、こうした生きる土台となる力を自然と育むことにつながります。
・考え続ける粘り強さ(グリット)や折れない力
・人の気持ちを想像する力
・失敗しても「これで終わりではない」と立ち上がる力
・ゼロから物事を立ち上げる力
・物事を俯瞰し、パターンや構造を捉える「抽象化力」
これらの力は、大人の社会を生き抜く上でも不可欠なものです。昔ばなしに触れることは、こうした生きる土台となる力を自然と育むことにつながります。
てつなぎ編集部
テストで測れる力以上に、社会に出てからの「折れない心」や「全体を俯瞰する力」こそが生きる力になりますね。AI時代だからこそ、より一層求められる本質的な力だと感じます。
◆デジタル全盛期に、あえてアナログな「昔ばなし」が必要な理由
てつなぎ編集部
現代はYouTubeや知育アプリなど、スマホ一つで刺激的なコンテンツに触れられる時代です。そんな今だからこそ、あえてアナログな「昔ばなし」が子どもに必要な理由は何でしょうか?
沼賀先生
昔ばなしには、世界中で何百年も受け継がれてきた「物語の型(パターン)」があります。例えば困難に直面したときに仲間や援助者が現れ、試練を乗り越えていくといった構造です。
こうした型が頭や無意識に入っていると、子どもは日常でピンチや失敗に直面したときでも「もう終わりだ」と絶望せず、「次はどう展開するだろう」「きっと助けが来る」と捉えられるようになります。また、具体と抽象を行き来する力(抽象化力)も自然に身につきます。
デジタル機器やSNSの世界は視野が狭くなりがちで、行き詰まりを感じやすい面もありますが、絵も文字もない昔ばなしを聞いて頭の中に情景を思い描く体験は、子どもの想像力を刺激し、「別の世界や選択肢がある」という心の逃げ場や回復力を育んでくれます。
なお、デジタルコンテンツを完全に排除する必要はありません。スマホを見せることがあっても、そこに少し昔ばなしの読み聞かせを「ちょい足し」するだけで、刺激による影響を和らげる効果があることも研究で分かってきています。
こうした型が頭や無意識に入っていると、子どもは日常でピンチや失敗に直面したときでも「もう終わりだ」と絶望せず、「次はどう展開するだろう」「きっと助けが来る」と捉えられるようになります。また、具体と抽象を行き来する力(抽象化力)も自然に身につきます。
デジタル機器やSNSの世界は視野が狭くなりがちで、行き詰まりを感じやすい面もありますが、絵も文字もない昔ばなしを聞いて頭の中に情景を思い描く体験は、子どもの想像力を刺激し、「別の世界や選択肢がある」という心の逃げ場や回復力を育んでくれます。
なお、デジタルコンテンツを完全に排除する必要はありません。スマホを見せることがあっても、そこに少し昔ばなしの読み聞かせを「ちょい足し」するだけで、刺激による影響を和らげる効果があることも研究で分かってきています。
てつなぎ編集部
「物語の型」が子どもの心に残るで、困難を乗り越える力になるのですね。「完全にデジタルを禁止しなくていい、ちょい足しでいい」というお話には、救われる親御さんも多いはずです。
◆読み聞かせを継続するコツ
てつなぎ編集部
「毎日読み聞かせをしようと思っても、忙しくてなかなか続けられない」という悩みをよく耳にします。継続するためのコツはありますか?
沼賀先生
「毎日続けなければ」と気負わないことが一番です。親がプレッシャーを感じて追い詰められてしまうのが、子どもにとっても一番よくありません。
・3日坊主を繰り返せばいい: 途切れても、気が向いたときにまた再開すれば十分継続です。 ・本を開かなくてもいい: 疲れているときは本を読まず、でたらめな昔ばなしを語り聞かせるだけでも、音声コンテンツに頼っても構いません。 ・触れること自体が「読書体験」: 子どもが本をかじる、なめる、破く、いつでも、何歳からでも大丈夫です!あるいは部屋に積んである(積ん読)だけでも、すべて立派な読書体験です。「本を読もうとしてくれた」という親の姿勢だけでも子どもには伝わっています。
・3日坊主を繰り返せばいい: 途切れても、気が向いたときにまた再開すれば十分継続です。 ・本を開かなくてもいい: 疲れているときは本を読まず、でたらめな昔ばなしを語り聞かせるだけでも、音声コンテンツに頼っても構いません。 ・触れること自体が「読書体験」: 子どもが本をかじる、なめる、破く、いつでも、何歳からでも大丈夫です!あるいは部屋に積んである(積ん読)だけでも、すべて立派な読書体験です。「本を読もうとしてくれた」という親の姿勢だけでも子どもには伝わっています。
てつなぎ編集部
「本をかじったり積んであるだけでも読書体験」という言葉には、目から鱗が落ちる思いです!「ちゃんとしなきゃ」という親の肩の荷がふっと軽くなりますね。
◆読み聞かせを始めるタイミング
てつなぎ編集部
読み聞かせは、いつから始めるのがよいのでしょうか?「もう大きくなってしまったから遅いのでは」と心配する声もありますが……。
沼賀先生
いつでも、何歳からでも大丈夫です!
お腹の中にいる胎児のころから始めてもよいですし、逆に幼少期にまったく読んでこなかったとしても、中学生や高校生、大学生、さらには大人になってから始めても十分に意味や楽しさがあります。大学の授業で学生に「家で家族やパートナーに昔ばなしを読んでみて」と促すと、読んだ側も読んでもらった側も新鮮な楽しさを実感して戻ってきます。
「これまで読んでこなかったから手遅れ」ということは一切ありません。いつから、どこから入っても効果や面白さを受け取ることができます。
お腹の中にいる胎児のころから始めてもよいですし、逆に幼少期にまったく読んでこなかったとしても、中学生や高校生、大学生、さらには大人になってから始めても十分に意味や楽しさがあります。大学の授業で学生に「家で家族やパートナーに昔ばなしを読んでみて」と促すと、読んだ側も読んでもらった側も新鮮な楽しさを実感して戻ってきます。
「これまで読んでこなかったから手遅れ」ということは一切ありません。いつから、どこから入っても効果や面白さを受け取ることができます。
てつなぎ編集部
「何歳からでも遅くない」と言っていただけると、思春期のお子さんを持つご家庭でも「今からでもやってみようかな」と前向きになれますね。
◆今後、力を入れていきたい活動
てつなぎ編集部
先生が今後、特に力を入れていきたい活動について教えていただけますか?
沼賀先生
昔ばなしの語りや読み聞かせを通じて、日々の育児に追われて大変な思いをしている親御さんたちの心が少しでも楽になるような発信や活動を続けていきたいと考えています。これまで行ってきた図書館などでの講演も含め、本の内容や昔ばなしの力を必要としている現場へ届けていきたいです。
てつなぎ編集部
孤立しがちな現代の子育ての中で、親御さんの心をほぐし、支えとなるような活動が全国に広がっていくことを私たちも心から応援しています。
◆子育てに向き合う親御さんへのメッセージ
てつなぎ編集部
最後に、日々悩みながら子育てに向き合っている親御さんに向けて、エールやアドバイスをお願いします。
沼賀先生
「親が一人で子どもを完璧に育て上げなければならない」と抱え込まないでください。
子どもは、親以外の大人や保育者、そして本や昔ばなしといった「物語」など、多様な環境のなかで育っていくものです。自分だけでなんとかしようとせず、いい意味で「昔ばなしに育ててもらう」「物語に預ける」という気持ちを持ってみてください。
親御さんが自分を追い詰めず、昔ばなしや周囲の力を借りながら、少し肩の力を抜いて子どもと向き合える時間が増えることを心から応援しています。
子どもは、親以外の大人や保育者、そして本や昔ばなしといった「物語」など、多様な環境のなかで育っていくものです。自分だけでなんとかしようとせず、いい意味で「昔ばなしに育ててもらう」「物語に預ける」という気持ちを持ってみてください。
親御さんが自分を追い詰めず、昔ばなしや周囲の力を借りながら、少し肩の力を抜いて子どもと向き合える時間が増えることを心から応援しています。
てつなぎ編集部
「昔ばなしに育ててもらう」「物語に預ける」という考え方は、頑張りすぎてしまう親御さんにとって大きな心の拠り所になりますね。本日は温かく、実践的なお話を本当にありがとうございました!
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PROFILE
昔ばなし研究者/大学講師
忙しい毎日の中で、研究と IT ベンチャー共同経営、3児の育児を両立させてきた実体験から、寝る前の5分、昔ばなしを読み聞かせることが「親子の救い」になることを発見。「どんなに忙しくても、5分あればなんとかなる。その時間が子どもの本当の頭のよさを育み、親の心も優しくときほぐしてくれる」と実感し、時代に流されない昔ばなしの知恵を子育てに生かす活動を行っている。昔ばなし研究の第一人者・小澤俊夫氏に師事。
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