障がいを持つ子どもを育てる人のためのライフデザイン――子育てのネガティブ思考から抜け出す

発達障がいの子を社会人になるまで育ててきた著者が試行錯誤してわかった、自分も子どもも優先する こう考えればよかったんだ!を全部。

発達/発育

作業療法士
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息子に障がいがあることを受け入れるまでに、さまざまな葛藤がありました。

息子が不憫だと思ったし、その息子を育てる自分も不幸だと考えることもありました。

さざなみのように押し寄せてくるネガティブな思考に、心を掻き乱されることがあったのです。

ネガティブな思考から抜け出せない理由の一つに、障がいがある子どもを育てる親がなりやすい「マインドセット」があります。

もし、子どもの成長への責任を感じすぎているのなら、「子どもにとって親は成育環境の一要素にすぎない」という視点を持ったほうがいいでしょう。

そのほうが余計なプレッシャーを感じなくて済むし、広い視野を持って子どもの成長や、そのための環境について考えられます。

このマインドセットを修正すると、子どもが置かれている環境を客観的に見られるようになります。その中で、自分が親としてどのような存在であればいいのか、自分にしかできない支援とは何なのか、を考えればいいのです。

③「育ててあげているのだから、子どもに言うことを聞いてほしい」

子どもに「なぜ(親である)自分の言うことを聞けないのか」という怒りを瞬間的に感じることがあります。

子どものためを思う気持ちを理解してもらえないことに落胆することもあるでしょう。

「子どもは親の言うことを聞くもの」という認識は、私たちが上の世代から刷り込まれたマインドセットです。

養ってあげている親の言うことは聞くべきだという訳ですが、これは少し間違っています。

子どもは自分の意思でこの世に生まれてきたわけではありません。親がそう望んだのです。

子どもは親に養ってもらいたくて生まれてきたわけではないのです。

誰の、どのような意見を聞くかは、子ども自身が判断することです。

もしかしたら、親に限らず人の言うことや、自分にとって都合の悪いことは聞けないだけかもしれません。

もちろん障がいの影響も考えられます。

子どものためを思い、愛情を持って話して聞かせることもありますが、子どもが必要ないと判断すれば、意味なく終わってしまいます。

一方で、「親の言うことを聞く子どもがよい」という風潮も、現実離れしているのではないでしょうか。

社会に出れば、自分の身を守るために、まわりの意見とは異なる行動をしなければいけないこともあります。

社会的ポジションが上の人の言うことを、無条件に聞かなければならないと思い込んでいる子どもが、もしそのまま大人になったら。

施設や就労先でいいように扱われ、自分を犠牲にすることになります。

伝えたいことがあるときは、子どもの反応に期待しすぎないことです。

障がいのために、その場ですぐに言葉や態度で反応できないこともあるし、成長したあとになって、その意味を理解することもあります。

④「障がいがある自分の子どもはかわいそうだ」

この感情は、親なら誰しも一度は抱くのではないでしょうか。

私は今でも、そういう気持ちになることがありますが、子どもに特別な愛情を持っているのだから仕方ない、と思うことにしています。

一方で、子どもは少し違った感覚を持っているかもしれません。

自分の人生と他人の人生を比べることはできないからです。

仮に、生まれつき視覚障がいのある子どもがいるとします。

親からすれば不憫に思うのですが、目が見える世界を知らない子どもにとっては、それが今の人生とどう違うのか、具体的に理解することや比較することはできません。

そう考えると、じつは障がいのために自分が「かわいそう」だと思っている子どもはあまりいないのかもしれません。

ただ、親が子どもに「かわいそう」というレッテルを貼ってしまうと、子どもも自分のことを「かわいそう」だと認識してしまうかもしれません。

本当は比較できない他人の人生と比べて、子どもにも自分にも「かわいそう」というレッテルを貼ることにメリットはないのです。

point

ネガティブなマインドセットを意識して修正する。

PROFILE

作業療法士

クロカワ ナオキ

医療の分野で20年以上のキャリアを持つ作業療法士。結婚2年目で授かった子どもに広汎性発達遅滞があり、仕事をしながら子育てに取り組む。子どもが10歳になる頃、子育ての時間を確保するために管理職を降りてパートタイム主夫として2年間を過ごす。趣味はアート鑑賞。2023年よりnoteで「障がいを持つ子どもを育てる人のためのライフデザイン」の記事を書きはじめる
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