精神科医が教える 折れない心の育て方――こんなときは こうしよう

ふにふに生きる力が武器になる!レジリエンス=心の回復力は、親が与えられる最高の贈り物!強くしなやかな芯が育つ。

親子関係

精神科専門医。産業医。公認心理師。
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こんなときは
こうしよう

望んで始めたことを「やめたい」と言い出したら、選択肢を一緒に考える

それがやめたい理由なのであれば、もしかしたら別の曜日のクラスに変えれば続けたくなるかもしれない。

先生に相談して対策を考えてもらうことや、別の教室へ通う選択をすることができるかもしれません。

悩みの中にいるとどうしても視野が狭くなり、極端な選択しか思いつかなくなってしまいがちです。

そこを保護者がフォローして、最善策を検討してみてください。

そのうえで、最終的にやめる決断をしたのなら、現実的なことをたんたんと伝え、この先のことを話しておくことも大切です。

「道具をそろえたり、月謝を払ったりするのに、このくらいのお金がかかったんだよ。だから、次に別の習い事を始めるときには、またこれくらいのお金がかかることは知っておいてね」といったことを示すのも、子どもに責任ある選択をさせるうえではけっして悪いことではないと思います。

こんなときは
こうしよう

ペットを飼いたいと言われたらルールづくりを徹底する

「ペットを飼いたい!ちゃんとお世話するから!」と子どもにせがまれて迎えたペット。

でも、結局世話をしているのは保護者だけ......。

そうなってしまうのは、最初にルールづくりをしていないことに原因があります。

ペットには命があって、世話をしないことは命に関わってきますから、きちんと話し合って、誰が・いつ・何を担当するかを細かく決めておく必要があります。

家族それぞれに苦手なことや、時間の制約などがあるでしょうから、できることとできないことを洗い出し、一緒にすり合わせていきましょう。自分に何ができて、何ができないのかを、子どもは把握しきれていないことがあるからです。

毎日決まった時間に、適量のエサを用意するのはむずかしいけれど、近所を散歩させることならできる。

帰宅が遅いから散歩はできないけれど、朝にペットのトイレを掃除することはできる。

家族みんなのできることとできないことをリストアップしていき、役割分担とルールを全員で共有しておくことが大切です。

飼いたいあまりに、「自分が全部やるから!」と子どもは大風呂敷を広げてしまいがちですが、本当にできるのかを家族会議で冷静に話し合いましょう。

その結果、まだ飼えないという判断をすることがあってもいいのです。

その場合は、飼えない理由は何なのか、何をクリアすれば飼えるようになるのかを考えておきましょう。

「中学生になって、ひとりで散歩に連れていけるようになったら飼おうね」など、どうすれば飼えるのかがわかっていれば、いったん飼わない判断をしたとしても、その後に希望が持てるはずです。

こんなときは
こうしよう

失敗は当事者として考えさせるチャンス

友だちの家に遊びに行って、机の上にあったプラモデルを壊してしまった。

借りていたゲーム機を落として壊してしまった。

そんなピンチに遭遇したとき、保護者はどう対応すればいいでしょうか。

まずは、壊してしまった理由をていねいに子どもに聞くことです。

故意に壊したのと、偶然壊してしまったのとでは、大きな差があります。

とはいえ、どちらにせよ、壊れてしまったことは受け入れ、どうするか考えねばなりません。

ここで「謝りに行こう」と親が先に促すのではなく、本人に「どうしたらいいと思う?」と尋ねましょう。

「謝らなきゃいけない」と思っているのなら、いつ、どう謝るのがいいかを一緒に考えたり、謝るときに保護者についてきてほしいかを聞いてみたりします。

あくまで主体は子ども、保護者はサポート側にまわる意思を見せます。

困ったときに保護者が助けてくれるという安心感は必要ですが、何でもかんでも保護者が後始末をするのは、子どもから当事者意識を奪うことにつながります。

親が謝ってくれればOK、親同士で解決してもらえばOKと子どもが思ってしまわないようにしましょう。

ここでもやはり、自分で考えさせることを大切にしてください。

失敗は誰にだってあることです。

それをどう解決に導くのか、保護者からヒントをもらいながらでも、まずは自分なりに考えてみる。

それがもし間違ったやり方だったら、保護者が軌道修正を手伝う。

子どもをひとりにすることなく、寄り添い、ひとりで考えさせるのです。

その経験は、成長の糧となるでしょう。

解決ができてもできなくても、子どものチャレンジを認めて、このプロセスをほめてあげてくださいね。

PROFILE

精神科専門医。産業医。公認心理師。

藤野 智哉

1991年生まれ。精神科専門医。産業医。公認心理師。 秋田大学医学部卒業。幼少期に罹患した川崎病が原因で、心臓に冠動脈瘤という障害が残り、現在も治療を続ける。 学生時代から激しい運動を制限されるなどの葛藤と闘うなかで、医師の道を志す。 現在は精神科病院勤務のかたわら、医療刑務所の医師としても勤務。 障害とともに生きることで学んできた考え方と、精神科医としての知見を著作やSNSで積極的に発信しており、メディアへの出演も多数。 主な著書に『「誰かのため」に生きすぎない』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『自分を幸せにする「いい加減」の処方せん』(ワニブックス)などがある。
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