メンタルドクター伝授! 「なぜ子どもにイライラしてしまうのか?」
AI時代を生き抜く 子育てメソッド。 心理学、脳科学の理論をベースに、パフォーマンスを最適・最大化してきた日本で随一のメンタルドクター伝授!
しつけ/育児
なぜ子どもにイライラしてしまうのか?
人間は、予期せぬことが苦手
人間は思ったとおりに事が進むことを無意識に望んでいます。
予期せぬことがとても嫌いで苦手です。
だからこそ、人は認知脳を働かせ、予定どおり運ぶように思考して計画を立てる生き物とも言えるでしょう。
日本は電車もきっちり時間どおりに来るし、発車もするし、生活も比較的安定して、日々予定どおりにだいたいのことが進む社会だし、それを実現できるだけの認知機能を有している国民とも言えるでしょう。
本書を読まれている皆さんも日本の方だとすれば、それが当たり前のように育って生きてきているはずです。
それが当たり前という脳で生活している大人が親になったとき、子どもに対しても認知の脳はそう考えて、接してしまいます。
「ちゃんと、きっちりするものだ」。
そうじゃないと、イライラします。
大人になる前にちゃんと、きっちりできるようにさせなきゃ・・・・・・と考え、またそうじゃない子どもの現実にイライラが募るなんてことになるわけです。
親の「正しさ」の押し付けが、子どもをロボット化させる
しかし、子どもが予定どおり、きっちり、ちゃんとできるのでしょうか?
そんな子どもがいたら、それは気持ち悪いでしょう。
親や大人がイライラして接すると、子どもは親のネガティブな感情を察して、ビビったり、ビクビクしながら、親と接してしまうようになります。
親としての願いはもちろんわかりますが、そうじゃないのが子どもです。
認知脳が優れた大人は、その自分の思考と感情を正当化するために、正しさという考えで、子どもに接しようとします。
ちゃんとしているほうが正しい、きちんとしているほうが正しい、予定どおりに進むのが正しいという論理です。
正しさは伝家の宝刀で、誰も逆らえません。
子どももその例外ではありません。
しかし、子どもをただ正しさの論理だけで動かそうとしていいのでしょうか?
予定どおりにいくのが正しい、計画どおりきっちりできれば正しい、という発想を子どもと子育てに当てはめていると、親はイライラばかりが増えるし、子どもは自由が減って、ロボットのようになってしまいます。
大人の正しさは、子どもの感性にとって正しいとは限らない
正しさを子どもに伝えるのも親の仕事の1つかもしれませんが、未熟な子どもに大人の正しさの論理が当てはまらないことも日々膨大に起きるはずです。
もちろん、予定どおりに進まないと、親は決してハッピーにはなれないかもしれませんが、正しさの論理で予定どおりを子どもに押し付けてしまうのはいかがなものでしょう。
子どもはむしろ予定どおりじゃない、無計画さと無秩序に楽しみと喜びと自由と遊びを感じている生き物です。
遊びゴコロは、子どもだからこその感性と言えます。
子育てを通して、親も遊びゴコロを少し取り戻してみてはいかがでしょう。
今後、正しさや予定どおりにだけで進んでいくロボットやAIやデジタル社会になっていったとき、このような感性こそ、人間が残すべき、大切なことだと実はわかるはずです。
そのような芽を、子どもの頃から親の考える正しさと便利さによって摘んでしまってはいけません。
親も忙しく、時間がなくて予定どおりに進めたい気持ちはよーくわかります。
しかし、子どもはそうじゃないところがすばらしいし、その子の将来のためにも、その予定調和ではない、遊びゴコロのような部分を、唯一そばにいる大人である親が理解してあげることが何よりも大切だと思うのですが、いかがでしょう?
「みんな未熟で、一生成長する」という発想で生きよう
親になったとたんにそんな思考がパッとできるはずはありません。
しかし、自分を含めて人間の仕組みを知って、
「子どもはそんなもんなんだ」
「子どものためにも、親はどう心掛けて思考していけばいいのか」
を少しずつ日々の生活の中で育んでいくことが子育てです。
だからこそ、「子育ては、親の人育て」でもあるわけです。
本書は子育てに奮闘する皆さんを責めたり、説教をするためのものではありません。
そんな仕組みを有しているものであって、どんな人も完璧ではなく、「一生未熟の中、親も保護者も一緒に育っていきましょう」というメッセージだと思っていただけたら幸いです。
スポーツドクター。メンタルコーチ。産業医。株式会社エミネクロス代表取締役。
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