医師が伝える!免疫力の新常識(睡眠)

「普通の免疫」を維持するために ドクターがクリニックで効果を出している74のメソッド

健康/病気

医師・医学博士。ナチュラルアートクリニック(四ツ谷)院長。統合医療ドクター。麻酔科指導医、麻酔科専門医、救急専門医、抗加齢医学専門医。
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Sleep[睡眠]スリープ

●睡眠ホルモンであるメラトニンは、強力な免疫調節作用、ミトコンドリア保護作用などを持つ

●眠れない人は就寝時のメラトニン分泌が十分ではない可能性がある

●睡眠時間は7~9時間確保するのが理想

十分な睡眠が感染症から守ってくれる

十分に眠ることで、心身を休息させることができ、結果的に免疫機能を維持することができます。

睡眠ホルモンであるメラトニンは、強力な抗酸化作用、抗炎症作用、免疫調節作用、抗糖化作用、ミトコンドリア保護作用を持っています。

このメラトニンが、寝ている間に脳の松果体や体の末梢の細胞内ミトコンドリアから分泌され、脳や体の酸化した細胞や免疫細胞をリセットします。

新型コロナ感染においても睡眠時間が1時間伸びると感染率が1%低下するという報告もあります。

睡眠時間と風邪の発症率の関係を調べたこんな研究報告があります。

被検者を、(a)5時間未満睡眠グループ、(b)5~6時間睡眠グループ、(c)6~7時間睡眠グループ、(d)7時間以上睡眠グループと、睡眠時間別に4つのグループに分け、7日間ホテルで過ごしてもらいました。

その後、被検者をわざと風邪ウイルスに曝露させ、さらに6日間ホテルで過ごしてもらいました。

その結果、風邪症状の発症率は以下のようになったのです。

【風邪の発症率と睡眠時間】

(a)5時間未満睡眠グループ45%

(b)5~6時間睡眠グループ30%

(c)6~7時間睡眠グループ23%

(d)7時間以上睡眠グループ17%

このように、睡眠時間が長くなるにつれて発症率は低下しました。

睡眠が免疫と感染症に及ぼす影響が明らかにわかる研究です。

この研究でもう一点ご理解いただきたいのは、敢えて風邪ウイルスに曝露させても、免疫が一番弱っているグループでさえ45%の発症率であるということ。

すなわち、ウイルスが付いただけではそう簡単に発症はしないということです。

免疫が守ってくれているので、ウイルスが付いても知らぬうちに排除されているということです。

少ないメラトニン、コルチゾール過剰が不眠の原因に

睡眠と免疫の話に戻ります。現代社会では、不眠を訴える人が少なくありません。

この場合、就寝時にメラトニンが十分に分泌されていない可能性があります。

それ以外にも、コルチゾールという活性化ホルモン(ストレスホルモン)が夜間にも分泌されている場合もあります。

コルチゾールは覚醒ホルモンですので、就寝時には十分に下がりきっていないといけないのです。

しかし、ストレスを抱えていたり、体内に炎症があるような場合は、それに対抗するため夜間でもコルチゾールが高めのことがあります。

就寝時にメラトニンが出ていなくて、コルチゾールが放出されている場合は、ダブルパンチで眠れなくなってしまうのです。

そして、メラトニンの低下、コルチゾールの過剰、そのいずれもが免疫力の低下を起こす要因となります。

私のクリニックでは不眠を訴える患者さんが多く、そのような方にはメラトニンとコルチゾールを測定し、どのようなパターンの睡眠障害なのかを判断し対処します。

睡眠時の脳波を測り、睡眠のパターンを把握し、対処を考えることもあります。

年齢や体質、普段の生活パターンにもよりますが、7~9時間の睡眠時間は確保したいところです。

朝陽の光を浴びて覚醒してから14~16時間後にメラトニンが出始めます。

ですから就寝時間について理想をいえば、メラトニンが出始める夜9時頃。

少なくとも午前0時を超えず、その日のうちには床につくようにしましょう。

睡眠不足解消に生活をマネジメント

まずは日々の就寝時間と起床時間をスケジュールに落とし込み、夜の過ごし方に気を配りましょう。

夜8時以降はできるだけ間接照明や暖色系の照明に切り替え、明々とした白色光は避けます。

入浴は就寝1~2時間前に済ませ、体温を一時的にあげます。

そうすると体温(深部体温)が下がってくる頃に眠りやすくなります。

テレビ、コンピュータ、スマートフォンは、少なくとも就寝1時間前から見ないようにします。

これらのブルーライトはメラトニンの産生を減らしてしまいます。

眠るときはできるだけ光をなくすようにしてください。

寝室は暗いほど良い睡眠になります。

理想は真っ暗です。

朝は太陽光が入るようにカーテン、ブラインドなどで工夫しましょう。

また、就寝前に瞑想をするなどのストレス解消アクションをルーティンに組み込むのも効果的です。

こうしたほんの少しの習慣が人生を変えるのだという報告が多くあります。

Sungazingを含め、いろいろ試しても眠れない場合は専門家にサポートしてもらうと良いでしょう。

PROFILE

医師・医学博士。ナチュラルアートクリニック(四ツ谷)院長。統合医療ドクター。麻酔科指導医、麻酔科専門医、救急専門医、抗加齢医学専門医。

御川 安仁

1995年岡山大学医学部卒業。あらゆる薬剤やテクニックを用いて、「人間の生理機能を意図的にコントロール」することで「体を守る」医療を習得。災害派遣医療チーム(DMAT)のチームリーダーとして東日本大震災に出動。国立国際医療研究センター救急部臨床研修指導医、川口市立医療センター救命救急センター医長、愛宕病院ER・救急蘇生センター救急部長などを歴任。独自の理論「ハイブリッド栄養医学」を構築。副腎疲労やうつ症状、アレルギーがんなどを治療。2015年開業。メディア出演多数。

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医師・医学博士。ナチュラルアートクリニック(四ツ谷)院長。統合医療ドクター。麻酔科指導医、麻酔科専門医、救急専門医、抗加齢医学専門医。
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