医師が伝える!免疫力の新常識(砂糖)

「普通の免疫」を維持するために ドクターがクリニックで効果を出している74のメソッド

健康/病気

医師・医学博士。ナチュラルアートクリニック(四ツ谷)院長。統合医療ドクター。麻酔科指導医、麻酔科専門医、救急専門医、抗加齢医学専門医。
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Sugar[砂糖]シュガー

●砂糖などの単純糖質は免疫面でも問題

●単純糖質は、血糖値の乱高下や、腸内細菌叢のバランス異常を引き起こす

●人工甘味料も免疫に不利に働く

単純糖質と複合糖質

糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたものであり、単純糖質と複合糖質の二種類があり ます。

複合糖質はご飯や小麦、芋類などに含まれるデンプン(多糖類)が主となります。

単純糖質は砂糖類やお菓子類、果物に含まれ、単糖類、二糖類が主になります。

砂糖の主成分はショ糖という二糖類で、ショ糖はブドウ糖と果糖という単糖類が2つ結合したものになります。

ちなみに単糖とは、糖類の最小単位であり、二糖は単糖が2つくっついたものです。

単純糖質の摂りすぎは、虫歯や肥満を引き起こすだけでなく、免疫面でも問題です。 高血糖 が持続する糖尿病の方は免疫力が弱く、感染症にかかりやすい、重症化しやすい、がんになりやすい、という特徴があることからも、糖分(砂糖)の摂りすぎが免疫を弱らせる可能性があることがわかると思います。

そこで、糖分の摂りすぎが免疫を弱らせるメカニズムをいくつか説明します。

糖分が白血球のビタミンCの利用を邪魔する

VitaminCの項で白血球がビタミンCを積極的に取り込み、大量に利用することで免疫力を維持していることを書きました。

しかし血中に糖分(ブドウ糖)が多い場合、それがうまくいきません。

白血球がビタミンCを細胞内へ取り込む際に、ビタミンCとブドウ糖は分子構造が似ているため、ブドウ糖とその入り口(GLUTという)を競合してしまうのです。

よってブドウ糖が多い(血糖値が高い、糖分摂りすぎの)状況では白血球が必要なだけのビタミンCを取り込めず、免疫機能が低下するというのがメカニズムのひとつです。

血糖値スパイクと血糖値の乱高下は強いストレスに

砂糖などの単純糖質は、血糖値の乱高下を繰りかえす血糖値スパイクを引き起こすことがあり、血糖値スパイクとそれに引き続く血糖値の乱高下が起こった場合、人体に強いストレスを与えます。

血糖値が急上昇するタイミングではインスリンの過剰分泌が起こります。

その後急激な血糖の降下が起こります。

この際、人にとって血糖値の急降下は生命の危機でもあるため、今度は血糖値を上昇させるホルモンが一気に分泌されます。

それがコルチゾール、ノルアドレナリン、アドレナリンといったストレスホルモン、交感神経緊張ホルモンです。

強いストレスを感じたのと同じように交感神経が優位な状態となり、心身を緊張させます。

高血糖もコルチゾール過剰も交感神経緊張も、すべて免疫には不利に働きます。

リンパ球の機能が落ち、数も減ります。

単純糖質は腸内にも悪影響を及ぼす

またその影響は腸内にまで及びます。

砂糖などの単純糖質とコルチゾールの過剰は腸内におけるカンジダ菌の増殖因子、悪性化因子となります。

糖質がカンジダ菌の餌になり、コルチゾール過剰が免疫を落とします。

さらにコルチゾール過剰による腸粘膜萎縮効果も相まって、増殖、悪性化したカンジダ菌により、ディスバイオーシス(病的な腸内細菌叢のバランス異常)やリーキーガット症候群を引き起こし、免疫力の低下をきたします。

同様に交感神経緊張も悪玉菌増殖をきたし、腸内から免疫力の低下を起こします。

人工甘味料は免疫細胞の遺伝子を変化させる可能性も

では、砂糖を避けるために人工甘味料なら良いかというとそうではありません。

人工甘味料も、腸内細菌叢を乱すディスバイオーシスを引き起こし、ブドウ糖耐性からの高血糖状態を作り出し、免疫には不利に働きます。

それ以外にも、人工甘味料は直接免疫細胞に影響し、免疫細胞の遺伝子を変化させてしまう可能性が指摘されています。

細菌に対し高度に敏感に反応してしまうこともあるそうです。

人工甘味料によりディスバイオーシスが起こるのも、免疫細胞が腸内細菌に対し過敏に働いてしまった結果の一部かもしれません。

細菌以外にも我々の体細胞に対して免疫が過敏に攻撃をしてしまう可能性も否定できません。

PROFILE

医師・医学博士。ナチュラルアートクリニック(四ツ谷)院長。統合医療ドクター。麻酔科指導医、麻酔科専門医、救急専門医、抗加齢医学専門医。

御川 安仁

1995年岡山大学医学部卒業。あらゆる薬剤やテクニックを用いて、「人間の生理機能を意図的にコントロール」することで「体を守る」医療を習得。災害派遣医療チーム(DMAT)のチームリーダーとして東日本大震災に出動。国立国際医療研究センター救急部臨床研修指導医、川口市立医療センター救命救急センター医長、愛宕病院ER・救急蘇生センター救急部長などを歴任。独自の理論「ハイブリッド栄養医学」を構築。副腎疲労やうつ症状、アレルギーがんなどを治療。2015年開業。メディア出演多数。

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医師・医学博士。ナチュラルアートクリニック(四ツ谷)院長。統合医療ドクター。麻酔科指導医、麻酔科専門医、救急専門医、抗加齢医学専門医。
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