一児の母でもある臨床心理士・公認心理師の吉田先生へインタビューVOL.2

怒りは大切な感情。「体」と「心」の繋がりを意識した大人のアンガーマネジメント

しつけ/育児

臨床心理士/公認心理師/元東京都スクールカウンセラー
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2000人以上の親子の悩みを解決した元スクールカウンセラー吉田美智子先生にインタビュー


#01 吉田美智子先生インタビューVOL.1「100点の親を目指さなくていい、51点の親を目指して」

#02 吉田美智子先生インタビューVOL.2「怒りは大切な感情。「体」と「心」の繋がりを意識した大人のアンガーマネジメント」

怒りは大切な感情。「体」と「心」の繋がりを意識した大人のアンガーマネジメント

てつなぎ
親子間で納得感や満足感が上がっていくことを実感できるなんて私も先生のカウンセリングを受けたくなります。 今、意識されてやられていることで今後の活動の幅はどんどん広がっていくと思うのですが、先生の中で目標にしていることや、広げていきたい具体的な活動などはございますでしょうか。
吉田先生
出版して思ったことですが、精神論だけだと納得感もないし、時には反感を持たれることもあります。今の心理学は自律神経の働きであったり「体」と「心」を繋げて説明する傾向がより強くなっています。例えば、「この人は何でこんなに怒っているのだろう」「何でこんな行動をするのだろう」「何で落ち着きがないのだろう」「何で朝起きれないのだろう」といったことを自律神経の働きと心の働きの繋がりを見ながら説明していくといった流れです。今後は、この「体」の働きと「心」の働きの繋がりの部分を掘り下げていく活動をもっともっと広げていきたいですね。

もう一つは、「怒りのテーマ」についてです。まず前提として、怒りはとても大切な感情なので無くしたいわけではありません。ただ、お母さんがいつも子どもに怒ったり、イライラしたり、物に当たったりすると親子関係は悪くなります。それはとても残念なことだと思うんです。ですから、程よくきちんと怒るときは怒るし、ただ感情のままに怒ったりはしない。大人のアンガーマネジメントに着目した発信も行っていきたいと考えています。
てつなぎ
確かに体の働きと心の働きの関係性の論理的説明があると相談された方の納得感もありますし、色んなケースにおける対処法も見つかりやすいですね。
アンガーマネジメントの発信で救われる親は多数いるのかなと個人的には思っています。当社が運営している「子育て中の本音を吐き出す掲示板てつなぎ」でも絶えない話題になっています。イライラして子どもやパートナーに当たってしまった、怒らなくていいことで怒ってしまったなど、多数の投稿があります。
吉田先生
親の気持ちはとても分かります。子どもの癇癪の声は親がイライラするようにできているじゃないですか。その声を聞くと、いの一番に何とかしないといけないと思う訳です。途中でもちろんイライラもしますよね。とはいえ、子どもも癇癪になる理由があるんです。ですから、その理由を理解して、子どもが癇癪に行かない道筋を想定して、回避するための方法の準備をしていく。その道筋や回避方法などは発信していきたいですね。
あとは、親はどうしても子どもに対して高い能力を望んでしまう。各年齢における理想像のようなものが巷にはいっぱい溢れているのでそこと比較してしまう。周囲との遅れを気にし始めると、この遅れはどんどん膨らんで大人になるころには全く追いつけないものになっているのではないかと不安になってしまいます。不安になる気持ちももちろん分かりますが、まずは冷静に子どもの個性を大切にして、個性に合わせたコミュニケーションを取ることの方がとても大切だと思います。
てつなぎ
とてもタメになります。「てつなぎ」の投稿を見ていても100点を目指すことに疲れているユーザーが多いのかなと感じます。様々な投稿内容を見てみると周りに比べて劣っているという事実よりも周囲から周りの子どもたちと比べたときに自分の子どもが劣っていると思われることを気にする親も一定数以上いるのかなと感じています。そういうことに疲れて「応援」「共感」「尊重」といったコンセプトのてつなぎに集まってきているのかとは思います。人の目は確かに気になるけどあなたが思っている程、人はあなたのことを分かっていないと思うから気にしなくていいんだよみたいなメッセージを出せていければなと思っています。先生の周りはどうですか?
吉田先生
人からどう思われるかを気にする方はいらっしゃいます。子どもができていないのは親のせいみたいな 子どもができないのは親がちゃんとやってないからと思われることを怖がっている親も確かにいます。 子育てに対して社会の目はまだまだとても冷たいと思います。例えば、電車で騒いでいる子に対して冷ややかな目を向けるし、親に対してはもっと冷ややかな目を向ける。電車に乗るだけでもプレッシャーですよね。とにかく自立できる子どもを育てなければならない。親も苦しいですよね。
てつなぎ
周囲の目が苦しいと思っている親は相当数いると思います。先日、てつなぎにもこんな投稿がありました。親子で帰宅中の話なのですが、親が子どもの5メートルほど前を歩いていて、後ろで子どもが転んだんですね。それを見た親が、5メートル先から子どもに向かって「大丈夫?ゆっくりでいいから歩いておいで」と言った訳です。それに対して、近くにいた年配の方に「何ですぐに子どもの所まで行かない?放置されて子どもがかわいそうだ」と言われ・・・・その親はとてもイヤな思いをしました・・・と。知らない人にそんなことをいきなり言われたら確かにイヤな思いはしますよね。
吉田先生
こういうのは本当に腹が立ちますよね。もうこれは余計なことだと思う。
てつなぎ
腹立ったとしてもその年配者の方に「余計なお世話」と直接は言うことができない。だから投稿をしたと思うんです。なかなか自分の子育てに自信を持てないし、社会からの目もきつい・・・そんな親たちに向けて先生からメッセージなどありますか。
吉田先生
まず、今この時代に子育てをしているだけで、100点を超えているわけです。すでに合格点を超えているのでその後の優劣はあまり競わなくてもいいのかなと思いますが、そこは子育てです。日常の生活において「子どものできた、できない」で一喜一憂することはたくさんあると思います。「子育ては苦しいことと楽しいことが両方来る”苦楽しい(くるたのしい)”」と河合隼雄先生もおっしゃっていました。苦しいこともいっぱいあるけど、楽しいこともいっぱいあるのであまり思いつめずに程よく楽しくやっていきましょう。繰り返しになりますが子育てをしているだけで100点を超えているわけですから。
てつなぎ
子育てをしてるだけで100点を超えている・・・子育て中の全ての親に対して勇気を与えますね。 先生のメッセージが多くの方に届いて欲しいと思います。。 本日はありがとうございました。
PROFILE

臨床心理士/公認心理師/元東京都スクールカウンセラー

吉田美智子

東洋英和女学院大学大学院人間科学研究科臨床心理領域修了・心理学修士/テンプル 大学大学院経営学部修了・経営学修士/専修大学文学部英米文学科卒業。
外資企業勤務後、心理臨床の道を志す。臨床心理士の資格取得後は、東京都・神奈川県・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年はこにわサロン東京を開室。
主な技法は、ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析。読 売新聞、日経新聞、日経ウーマン、 PHP子育てなどメディアでも活躍中。

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