一児の母でもある臨床心理士・公認心理師の吉田先生へインタビューVOL.1

100点の親を目指さなくていい、51点の親を目指して

しつけ/育児

臨床心理士/公認心理師/元東京都スクールカウンセラー
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スクールカウンセラー経験15年以上の臨床心理士/公認心理師であり一児の母でもある吉田美智子先生へインタビュー


#01 吉田美智子先生インタビューVOL.1「100点の親を目指さなくていい、51点の親を目指して」

#02 吉田美智子先生インタビューVOL.2「怒りは大切な感情。「体」と「心」の繋がりを意識した大人のアンガーマネジメント」

100点の親を目指さなくていい、51点の親を目指して
てつなぎ
本日は「声かけで伸ばす内向的な子のすごい力」の著者で、臨床・公認心理士としてもご活躍されている「はこにわサロン」代表の吉田美智子(よしだ みちこ)先生にお越しいただきました。
よろしくお願いいたします。
吉田先生
よろしくお願いいたします。
てつなぎ
声かけで伸ばす内向的な子のすごい力」を読ませて頂きました。内向的な子どものタイプの話から各タイプの子どもたちの話まで盛りだくさんの内容でした。特に各タイプの子どもたちに対する力を伸ばすために必要な接し方のノウハウの説明など親にも子どもにも多くの学びがある一冊だなというのが率直な感想です。
先生が今回こちらの書籍を執筆された背景は何だったのでしょうか。
吉田先生
ありがとうございます。現在、他の媒体で子育てのお悩み相談を受けているのですが、その中に「内向的な子ども」に関するものがありました。相談を受けた段階でもう少し掘り下げてみると子どもが内向的であることに悩まれている親御さんが想像以上に多くいらっしゃいました。それまで「内向的」というのは一つの性格であって、決して短所ではないと思っていました。もちろん今でも思っています。「内向的」というのは短所ではなく、本当はとても素敵な性質なのです。そういったところをもっともっと伝えることができたらいいなと思っていたときに出版社とのご縁もあり、執筆させて頂きました。
てつなぎ
書籍にも「内気さや感じやすさは大切な個性」とありましたね。本当にその通りだなと・・・。内向的な子も外向的な子も長所はたくさんあるけど、課題も何かしらある。その課題と向き合うときに親は100点を目指す必要はなく、51点であれば及第点と書かれていてとても印象に残っています。書籍を読まれて心が軽くなった親も多くいらっしゃると思います。

先生はカウンセラーになる前は一般企業にお勤めされていて、そこから心理臨床の道を選択されたわけですが、その経緯をお伺いしてもよろしいでしょうか。
吉田先生
元々は事務職からスタートしたのですが、途中で仕事内容がマーケティングに変わったんですね。マーケティングは専門外でしたので、知識やスキルを上げるためにめちゃくちゃ働きました。それこそ足りていないところは24時間働くことで埋めるみたいな感覚です。それはそれで当時は楽しかったですし、成果が出ると本当に嬉しかったわけですが入社して16年が経った頃にその先のキャリアを描けなくなって、そもそもこの働き方を続けていける自信がなくなりました。仕事に対して燃え尽きた感もありました。
そこで「もうたくさん働いたし、一回休もう」と決めてしばらく休んだわけですが、何しても全くやる気が湧かない時期が続きました。どうしたものかと思っていたときにたまたま図書館で手にした河合隼雄先生の本が凄く心に響いたんです。シンプルに「こんな仕事をしたい!」と思えたんです。そこからアルバイトしながら大学院に通って臨床心理士、公認心理士の資格を取得しました。
てつなぎ
退職されて、アルバイトをしながら大学院に通って資格を取得され、すごいバイタリティです。
吉田先生
当時、37歳くらいだったと思います。大学院の卒業は39歳とか40歳なわけですよ。今思い返しても、アルバイトしながら大学院のお金を貯めながら数年間よくがんばったなと。
てつなぎ
さらには資格もしっかりと取得されて、今はカウンセリング業もそうですし、メディアでもご活躍されています。 先生が心理士をやられていて、特に意識をされて取り組まれていることは何でしょうか。
吉田先生
元々は前職を退職した後の私のような不全感を抱えている大人の役に立ちたいと思っていました。臨床心理士になってからはありがたいことに教育畑とのご縁が広がりました。そこで子どもや親と出会う機会が増えていき、自然と大人向けのカウンセリングだけではなく、親子向けのカウンセリングも増えていきました。
大人向けと親子向けの二本柱なわけですが、今回の書籍執筆を通して、「適切な養育とは何か」ということを今まで以上に深く考え、意識するようになりました。一生懸命に子育てをしていて愛情たっぷりに子どもに接しているつもりでも知らないうちに不適切な養育を行っているということは思っている以上に多いのかなと思います。とは言っても、子育て中のお母さん、お父さんは毎日精一杯子育てをやっているわけです。カウンセリングをしてみるとこれ以上、努力できることは何もないというレベルまで頑張っている方も多くいらっしゃるわけです。そういった方に「もっと良くしてください」ではなくて「まずは肩の荷を減らしましょう」と伝えたい。そして、肩の荷を減らすためには、大切なこともたくさんあるので、そこは一緒に優先順位を整理していきましょうという発信をもっともっとしていきたいですね。
てつなぎ
親の心の余裕がなくなると、書籍にも書かれている「望ましくない子育て」というものをついやってしまう親御さんは多いかもしれません。親は100点を目指す必要はなく、ほどほどの親、点数にするなら51点の親になれたら及第点というメッセージが多くの親に届くと良いですね。
吉田先生
そうですね。ただ、中には100点でないと不安になって余裕を無くす親も多くいらっしゃいます。98点の子育てをしていて、残りの2点を何とか埋めたい・・・その気持ちも分かります。ただ、2点足りていないから私の子育てはダメだなんて思う必要は全くありません。「51点でも大丈夫ですよ」と伝えると最初はフリーズしちゃう親もいらっしゃいますが、一緒に今の状況を確認しながら一つひとつ優先順位の整理をしていくと親も子どもも全然問題ない。むしろ親子間で生まれる納得感や満足感が上がっていることを実感してもらえます。
てつなぎ
親子間で納得感や満足感が上がっていくことを実感できるなんて私も先生のカウンセリングを受けたくなります。
PROFILE

臨床心理士/公認心理師/元東京都スクールカウンセラー

吉田美智子

東洋英和女学院大学大学院人間科学研究科臨床心理領域修了・心理学修士/テンプル 大学大学院経営学部修了・経営学修士/専修大学文学部英米文学科卒業。
外資企業勤務後、心理臨床の道を志す。臨床心理士の資格取得後は、東京都・神奈川県・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年はこにわサロン東京を開室。
主な技法は、ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析。読 売新聞、日経新聞、日経ウーマン、 PHP子育てなどメディアでも活躍中。

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臨床心理士/公認心理師/元東京都スクールカウンセラー
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