内向・HSCの子どもとの接し方!「クラスで発表できない」
引っ込み思案こそ、伸びしろいっぱい!洞察力、思考力、話を聞く力、信頼される力、感受性の高さ。2000人以上の親子の悩みを解決した元スクールカウンセラーが伝える内向・HSCの子どもとの接し方。
更新日:
吉田 美智子:
臨床心理士/公認心理師/元東京都スクールカウンセラー
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内向・HSCの子どもとの接し方!「クラスで発表できない」
クラスで発表できない
親が子どもにクラスで発表してほしいと願う気持ちには、「失敗を恐れずにチャレンジできる人になってほしい」や「自分の意見を言える人になってほしい」という思いが込められています。
子どもが発表するかどうかは、先生の雰囲気づくりやクラスメートの顔ぶれといった子どもの性質以外の要因も関係しますから、無理強いせずにチャンスを待つことも大切です。
クラスで積極的に発表してほしいとき
〇「経験を重ねると言えるようになるよ」と将来像を伝える
〇「自分が安心できるときに、 がんばればいいよ」と伝える
× みんな発表しているよ?
× 恥ずかしがらないで
× 失敗を怖がるのはよくないよ
× 成績が落ちちゃうよ
「経験を重ねると言えるようになるよ」と将来像を伝える何事もじっくり考えて、独自の視点がある内向型は、クラスに貢献できるよい意見を持っています。
でも、考えることに時間がかかるのでタイムリーに考えをまとめられなかったり、みんなと違う意見を主張する勇気が湧いてこなかったりと発表することへのハードルが高いのも事実です。
「別にわたしが言わなくてもいいんじゃないか」と消極的になったり、面倒くさくなったり、あきらめてしまうこともあるでしょう。
このような態度は「よくない」と言いたくなりますが、まずは子どもの長所を認めるところから始めましょう。
内向型の子どもは、大人の言うことを鵜呑みにせずに自分で考える特徴があります。
これは、子どもの何よりの長所です。「大事に育てていこうね」と伝えてください。
学校でも、発表する・しないはいったん置いて、子どもが自分でしっかり考えることを優先するように話しましょう。
そのうえで、「こんなにしっかりと自分の考えがあるのだから、いい発表ができるようになるよ」、「今は勇気がなくて言えないことも、少しずつ経験を重ねると言えるようになっていくものなんだよね」と成長の道筋と将来像を示してください。
「学校はその練習の場だね」と言い添えると、子どもが自分で考えて、少しずつ努力するようになっていきます。
「自分が安心できるときに、がんばればいいよ」と伝えるHSC型の子どもは、安心してふるまえる関係性の中では、失敗を恐れずに自分から発表することができます。
でも、失敗を笑ったり責めたりする雰囲気や、陰で馬鹿にする人間関係があるときは落ち着かなくなります。
クラスの雰囲気を読んで、みんなに求められている発言をしたり、萎縮して何も言えなくなったりするのです。
まずは、子どものパフォーマンスが、周囲の雰囲気に大きく影響されることを子どもの性質だと認めてください。
「雰囲気が悪いと誰だって自分の意見を言えなくなるよね」「自分が安心できる雰囲気のときに、またがんばればいいね」と伝えてあげましょう。
そして、不安を感じる雰囲気の授業の過ごし方について、親子で考えてみてください。
人は誰でも不安だと目の前のことが手につかなくなるものだというスタンスは崩さずに、「でも、それだけだと悔しいから、できることをやってみない?」と提案します。
先生の話をしっかり聞く、ノートはしっかりとるなど、子どもができることを一緒に考えてあげましょう。
何かに集中することで、不安や緊張にのみ込まれずに過ごせる経験を重ねると、子どもは少しずつ不安をコントロールする力をつけていけます。
× みんな発表しているよ?
誰かと比べる言葉は、「あなたにもできるよ」と応援したつもりでも「なぜあなたにはできないの?」という批判として子どもに伝わってしまいます。
これらの言葉は、子どもが嫉妬や劣等感を覚えたり、いらだちや怒りを生んだりします。
子どもが自信をなくすので注意してください。
「あなたにもできると思うな」と、親が子どもを信じる気持ちをシンプルに伝えてあげましょう。
× 恥ずかしがらないで
× 失敗を怖がるのはよくないよ
恥ずかさや失敗を怖いと感じる気持ちは自然なものですから、否定してはいけません。
不安な気持ちを否定されると、子どもは不安をのみ込むようになります。
その様子は一見不安を克服しているように見えますが、蓋をしているだけなので、今後のチャレンジを避けるようになってしまいます。
× 成績が落ちちゃうよ
授業中に積極的に発言することは、意欲的な授業参加と評価されます。
逆に発表できないと、成績に影響することがあるかもしれません。
ただ、成績で脅して発表を無理強いすると内向型は反発して、HSC型は過度に成績を気にするようになります。
たとえその場はがんばれても、持続することは難しく、自信をなくしたり、よけいに発表を避けるようになることもあるので控えましょう。
臨床心理士/公認心理師/元東京都スクールカウンセラー。
外資企業勤務後、心理臨床の道を志す。臨床心理士の資格取得後は、東京都・神奈川県・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年はこにわサロン東京を開室。
主な技法は、ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析。読 売新聞、日経新聞、日経ウーマン、 PHP子育てなどメディアでも活躍中。
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