内向・HSCの子どもとの接し方!「競争が苦手」
引っ込み思案こそ、伸びしろいっぱい!洞察力、思考力、話を聞く力、信頼される力、感受性の高さ。2000人以上の親子の悩みを解決した元スクールカウンセラーが伝える内向・HSCの子どもとの接し方。
しつけ/育児
競争が苦手
外向的な子どもは他の子と競争することで、いつもよりやる気がでたり、がんばれる性質です。
しかし、内向・HSC型の子どもたちは、競争するとパフォーマンスが落ちる傾向があるといわれます。
学校や習いごとでは競い合うことが多く、競争を避けるのは難しいものです。
では、競争に直面した子どもに、どう対応してあげるとよいでしょうか。
苦手な競争をしないといけないとき
OKな接し方
〇子どもの取り組みを見て「よくがんばってるね」と認める
〇無理のない範囲で自分なりの目標を決める
NGな接し方
× 競争が苦手なんて情けないよ
× プライドが高すぎる
× 勝ったら欲しいものを買ってあげる
OKな接し方の解説
子どもの取り組みを見て「よくがんばってるね」と認める
内向型の子どもは誰かと競うことより、自分の中の目標設定にそってがんばることを好みます。
縄跳びや九九など、たくさん練習して地道な努力が必要な場合は、自分のなりたい姿に向かってコツコツがんばりますが、周りの子どもと比べて勝っても負けてもあまり気になりません。
絵画や習字作品、ダンスなどのパフォーマンスで評価されたときも、自分が納得できる出来栄えなら喜び、そうでないときはあまり喜びません。
このように、内向型の子どものライバルは子ども自身なので、子どもにその気がないのに「みんなやってるよ」「悔しくないの?」などと言ってやる気をださせようとしても難しいでしょう。
あまり競争に結びつけず、子ども自身の興味関心や意欲を引きだしてあげてください。
競争や人の評価に無関心な内向型ですが、親が認めてくれるとうれしいですし、やる気の源になります。
普段から、子どもが自分のペースで取り組む様子をしっかり見て、「よくがんばっているね」とはげましの声をかけてみてください。
子どもがどうなりたいと思っているのかや、そのためにどんな工夫をしているかなどについて聞いてみるのもおすすめです。
その工夫を微笑ましく思ったり、子どもながらにすごいと感心することもあるでしょう。
親にとっても子どものいいところを発見する機会になるはずです。
無理のない範囲で自分なりの目標を決める
HSC型は、競い合いを楽しめるような雰囲気のときは、競争を嫌がりません。
でもみんなが緊張しているときや、成績の悪い子が馬鹿にされたり、妬みや悪口があると落ち着かない気持ちになり、競争どころではなくなります。
このようなときは、子どもの気持ちをよく聞いてください。友だちの不安や緊張に共感してしまうこと、友だちを心配する気持ち、悪意ある友だちへの憤りがでてくるかもしれません。
もしくは、その嫌な雰囲気に影響を受ける自分に対するいらだちを感じている可能性もあります。
子どもの中で渦巻いている気持ちを親が聞いて受けとめると、子どもの気持ちが落ち着きます。
そのあとに、友だちがなぜ意地悪な言動をするのかを一緒に考えてみてください。
悪意を持って発言していると感じられる子にも、何か事情があるかもしれません。
意地悪な言動の理由を理解できたとしても、子どもが「やっぱり許せない」と思ってもいいのです。
自分や友だちの気持ちに向き合って整理することで、子どもの不安がやわらぎます。
子どもの気持ちが落ち着いたら、競争のときにどうしたらいいかについても話し合ってみましょう。
不安な気持ちのまま何もできないことが、子どもにとって一番つらいはずなので、無理のない範囲でその子なりの目標を一緒につくってみるのもひとつの手です。
「自分のペースで最後までがんばる」とか「友だちと一緒にがんばる」という目標もいいかもしれませんね。
このような試みを通じて、苦手な雰囲気でも集中する力をつける練習をしてみてください。
NGな接し方の解説
× 競争が苦手なんて情けないよ
子どもは競争し合いながら成長するというイメージを持つ人は多く、競争を嫌がると「気持ちが弱い」「情けない」と思ってしまいますよね。
しかし、子どもの中には他人と争うより、自分のペースで成長することを好む子もいて、どちらが優れているというわけではありません。
また、子どもにとって競争とは、競い合いを通じて退屈なことでも楽しめたり、がんばれたり、勝ち負けによるうれしい気持ちや悔しい気持ちを体験する活動です。
「勝たなければいけない」「負けるのはダメだ」のような大人の価値観を押しつけると、競争が無味乾燥で苦痛なものになるので控えましょう。
× プライドが高すぎる
負けることを嫌がって競争しない子どもには、「プライドが高すぎる」と思う人もいるでしょう。
子どもが負けることを受け入れられない理由は、悔しい気持ちをコントロールする力がまだ育っていない、負けたときにどうふるまえばよいかわからないという理由があります。
大人の思うプライドの高さ(自分に自信があり誇らしく思っている状態)とは異なります。
「プライドが高すぎる」という言葉には、たいした力もないのに失敗を怖がるなんて生意気だというニュアンスがあり、子どもは責められたと感じるので注意してください。
× 勝ったら欲しいものを買ってあげる
子どものやる気を引きだすために、ご褒美作戦を使いたくなりますよね。
でも、ご褒美作戦は、親の願い通りにいかないこともあります。
子どもの喜ぶご褒美が親の想定以上だったり、子どもの努力が親の期待に達しないままだったり、ご褒美なしにはがんばれなくなったりすることがあります。
子どものやる気は、内面から湧いてくるものです。
ご褒美で釣ると、子ども自身の気持ちを見失ってしまう危険もあります。
臨床心理士/公認心理師/元東京都スクールカウンセラー。
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