“「おかげさまで」を思いつこう”子どもの脳を発達させるトレーニング

発達が気になる、不登校、すぐキレる……どんな子も「生活環境の改善」で劇的に変わります!

発達/発育

発達脳科学者。小児科医・医学博士。公認心理師。子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。
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脳を発達させるトレーニング 「おかげさまで」を思いつこう

「おかげさまで」を思いつこう

家庭生活では毎日「やらなければならないこと」が蓄積していきます。

それを「お互いを尊重して協力しあう体制」を保ちつつ、いつも家族が分担しておこなえているなら問題は起こらないのですが、どうしても「やらなければならないこと」がバランスよく分担できない場面が生じてしまいます。

そんな時、ネガティブに捉えがちな脳でいると、ついつい不満や心配が募ってしまい、被害的な気持ちになりがちです。

口をついて出てくる言葉も相手を責めたりなじったりするものになってしまい、相手はさらにあなたの言葉や態度に対して不快な気持ちを持ち、怒りや悲しみをぶつけてくる。

それに直面したあなたはさらに困惑し、被害的な気持ちが募り、相手を責め、なじる・・・これでは「お互いに楽しむ、ポジティブな家庭の雰囲気」からはかけ離れた悪循環に陥ります。

ネガティブな脳をなるべくポジティブに転換するためのキーワードが「おかげさまで」です。ちょっとこじつけ!?と思うようなことでも、「おかげさまで」を頭につけると、なんとなく本当にありがたいように思えてきます。

一番大切なことは、「おかげさまで」を子どもの前で親が言葉にすると、いつの間にかミラーニューロンによって子どもにもその考え方が刷り込まれることです。

「おかげさまで」の訓練を意図的にしていると、いざ子ども自身にネガティブなことが起こった時にも、親子でなんとかして「おかげさまで」とポジティブに考える癖がつくのです。

「そういう癖をつけると、困難に立ち向かう根性がつかないのでは?」というご質問をよく受けますが、まるで逆です。

例えば受験に失敗したなどネガティブなことが起こった時に、おかげさまでの考え方がつくられていない脳では、「こんな自分は全然だめだ、価値がない。これ以上どうしようもない」という否定の思考しか浮かびません。

しかし、「〇〇のおかげでよい結果になった」という経験と考え方がつくられている脳では、たとえはじめは落ち込んだとしても、過去の記憶や経験を呼び起こし、前頭葉で「では、この失敗をばねにして次は成功を手にして『あのとき失敗をしたおかげで、今私はこの成功を手にできた』と思えるようになれるよう、頑張ろう。きっとできる!」という思考がつくられやすくなります。

お互いに楽しむ、ポジティブな家庭の雰囲気が、一生涯、あなたの子どもを困難から救うのです。

ペアトレ

本当はいろいろ不満があっても親は一枚上手、先を行く存在でいます。なんとしてでも笑顔でポジティブな態度を子どもに伝えることが使命と心得、できる範囲で「おかげさまで」を思いつく癖をつけましょう。

PROFILE

成田奈緒子:発達脳科学者。小児科医・医学博士。公認心理師。子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。
上岡勇二:臨床心理士・公認心理師・子育て科学アクシススタッフ。

成田奈緒子・上岡勇二

成田奈緒子(なりた・なおこ)
発達脳科学者。小児科医・医学博士。公認心理師。
子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。
1987年神戸大学卒業後、米国セントルイスワシントン大学医学部や筑波大学基礎医学系で分子生物学・発生学・解剖学・脳科学の研究を行う。2005年より現職。
臨床医、研究者としての活動も続けながら、医療、心理、教育、福祉を融合した新しい子育て理論を展開している。著書に『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春出版社)、『高学歴親という病』(講談社)、『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』(共著、講談社)、『子どもにいいこと大全』(主婦の友社)など多数。

上岡勇二(かみおか・ゆうじ)
臨床心理士・公認心理師・子育て科学アクシススタッフ。
1999年、茨城大学大学院教育学研究科修了した後、適応指導教室・児童相談所・病弱特別支援学校院内学級に勤務し、子ども達の社会性をはぐくむ実践的な支援に力を注ぐ。
また、茨城県発達障害者支援センターにおいて成人の発達障害当事者や保護者を含めた家族支援に携わる。
2014年より現職。著書は『子どもが幸せになる正しい睡眠』(共著、産業編集センター)『ストレスは集中力を高める』(芽ばえ社)。

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発達脳科学者。小児科医・医学博士。公認心理師。子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。
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